千住大橋を渡り「八紘一宇」の石碑の隣のマンション建設現場を右折、細い道を進むと天王公園に出る。
公園を通り過ぎてT字路を右に折れ、隅田川の堤防沿いに進むと左手に「アンチ・ドーピング研究所」なる怪しげな施設がある。
それを通り過ぎるとアクロシティEポートに突き当たる。
足を止め、そびえ立つ高級マンションを見上げる。
ここが事件の現場だ。
1995年3月30日、警察庁長官「國松孝次」が何者かに狙撃されて瀕死の重傷を負った現場かここ、南千住のアクロシティ。
天下の警察庁長官が南千住なんかに住んでいたことをこの時初めて知った。
世はまさに「オウム真理教」の地下鉄サリン事件で騒然としている時、このオヤジはお勤め人で、前夜に飲みすぎてフレックスタイムをいいことにいつもより1本遅い千代田線に乗ったため事件に巻き込まれなかったのだが・・・。
未曾有のテロ事件で警察がオウムの施設サティアンに踏み込むニュースが連日報道される中、警察庁長官が狙撃されたのだった。
警察はやがてオウム関係者を逮捕するが嫌疑不十分で容疑者は起訴されず、警察庁長官は大手術の後無事退院し、そのうち事件のことはなんだかうやむやになって忘れてしまった。
あの事件はどうなったんだろう❓
先日南千住の本屋で買って一気読みしたのは、
「宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年」だ。
「事実は小説より奇なり」と言うが、まさにこの本は半端な警察小説より、かあちゃんの大好きな人殺しドラマなんかより数万倍もスリリンクで面白く考えさせる。
著者は機動捜査隊主任・班長・捜査第一課主任・係長・管理官・理事官を歴任、築地署副署長・滝野川署長・第九方面本部副部長を務め2016年に勇退したという経歴の持ち主。
長年捜査に関わり、容疑者と心を通わせた当事者でなけりゃわからない事実の積み重ねは圧巻‼
当時はまるで知らなかったが、警察庁長官を撃った銃が「コルトパイソン357マグナム」の8インチ銃身で、銃弾はナイクラッド・ホローポイントだと知りさらにビックリ。
いったいどんな奴がこんな銃で警察トップを撃ったのか⁉ そしてなぜ立件できずに時効を迎えてしまったのか⁉
23年に渡る執念の捜査の記録は、いい加減なネットの書き込みを一掃する決定版だ。
読んでいて映像が浮かぶ筆力に、いつか映画化されるんじゃないかと期待する。
アクロシティの周りをゆっくり走り、容疑者の逃走経路をたどって23年前の風景を思い描き、特別捜査本部のおかれた南千住警察署の前を通り過ぎた。
事実は小説よりも奇なり、現在No. 1のノンフィクションだった。
最新の画像もっと見る
最近の「読んでナイト」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事