お好み夜話-Ver2

美魔女体験

日曜日にテレビのバラエティ番組を見るともなく見ていたら、「樫木裕実」という人が出ていた。

「カーヴィーダンス」というダイエットのプログラムをヒットさせた人だそうな。

なんでももう50歳なのに、もっとずっと若くみえるその顔を見て、ハッと昔のことを思い出した。


そう、あれは27、8年前のこと。

都内某所の高級住宅地の駅前に、9階建ての賃貸マンションがあった。

当時そのマンションや他のビルやアパートを所有している会社で、宅地建物取引主任者として契約更新などの業務を担当していた。

まあ守秘義務があるけれど、もうかなり前のことだし、肝心なことは明らかにしないから衝撃的なことだけを書こうと思う。


マンションの上層階の3DKに住んでいた男性が2年ほど家賃滞納をしていて留守がち、見かけはその筋の人みたいな崩れた印象で、会社は困り果て裁判所に供託していた。

で、ある日強制執行の手続きが決まり裁判所から執行官が来て、マンションの一部を差し押さえるので上司とともに手伝いに駆り出された。

玄関のブザーを押して待つことしばし、上半身裸の男性がけだるい感じであらわれ、執行官が書類を呈示して強制執行に同意させた。

靴を脱いで室内に入った我々の目に、寝室のダブルベッドに横になっている女性が見え、ことが終わったか途中の生々しい状況に思わず顔を見合わせてしまった。

だが執行官は冷徹に、和室の中からすべての物品を運び出してくださいと我々に命じ、上司とふたりでタンスやらがらくた同然のホコリだらけのモノをどんどん室外に出して部屋を空っぽにしたのだった。

その状態を男性に確認させ、襖を締めてそれを赤紙で封印した。

人ごととはいえ、べたべた張られた赤紙は切なく、とことんまで落ちるという悲哀がヒシヒシと伝わってきた。

執行官とともにその部屋を後にする時、寝室に居た女性がしどけない姿で顔を見せ、そのやさぐれた印象とは裏腹にドキッとするほど色っぽかったのでまた我々は顔を見合わせてしまったのだった。


そんなことがあってからしばらくして、会社の顧問弁護士の事務所でその時の女性と対面した。

明るい室内であらためて見る女性の顔は、やさぐれた印象などは微塵もなく、ピンクのプリントのTシャツにホワイトジーンという若々しい服装だった。

弁護士が中心になって話を進めて小一時間、女性はペコリと頭を下げて事務所を出て行ったので、たまらず弁護士にあの女性はいくつなのかと聞いてみたら、40代半ばだという。

どう見たって20代半ばぐらいにしか見えなかったので、またまた上司と顔を見合わせて驚いた。


その女性の顔と雰囲気がテレビに出ていた「樫木裕実」という人にそっくりだったので、つい昔の話を思い出してしまったのだ。

ああいう女性のことを最近では美魔女というんだろう。

確かにびっくりするほどの若さだったが、弁護士の話では彼女の魔性に男性がやられてしまったのだという話だった。

現に、部屋を差し押さえられた男性はその後、覚せい剤所持の現行犯で大捕り物の末逮捕された。

そしてそんなことがあったのに、件の女性はそのマンションの近くにこざっぱりとした飲み屋をオープンさせた。

何事もなかったように店の前でお客さんと挨拶を交わす和服姿の女性は、まちがいなく美魔女だった。

もちろん「樫木裕実」さんとは何の関係もないが、そんなことを思い出してしまったのだ。

27、8年前に40代だったのだから今生きていれば70歳をとうに過ぎている。

もし現在でも美貌を保っていたら、それは持って生まれたものだと思う。

「ハマちゃん」や「タカちゃん」なんかイチコロでやられちゃうだろうな。

すごいものです、女性は。

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