プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 高橋秀実「趣味は何ですか?」

2025年02月16日 | ◇読んだ本の感想。
いつもの高橋秀実節。
「趣味は何ですか?」と訊かれた時に答えに詰まったことから始まって、
高橋秀実は趣味を探求する旅に出る。(←嘘)
この人は対象に肉薄して取材していくスタイルだから、数々の趣味に自ら挑戦する。
そんなに変なものはなかった。ぱっと見には。

蕎麦打ち。ヨガ。登山。ガーデニング。切手。消印。
……本を返してしまったので忘れたが、20種類くらいあったかな。

高橋秀実は内省的で、基本的には同化しないタイプ。
蕎麦打ちなら蕎麦打ちをやってみるんだけど、同化はせず、結局距離を取る。
まあこういったら本人は不満だろうけど、どちらかというと揶揄の視線で見てるよね。

高橋秀実は、むしろその趣味をやらない理由を見つけてしまう。
気弱にツッコむ。まあこういう結論になったらその趣味をやる気にはなりませんな。
これはこの人のいつもの芸風なので、この部分を楽しんでいただきたい。
現役でその趣味を楽しんでいる人は若干バカにされたように感じるかもしれないが。

ある程度面白いので、何か趣味でも持たないと……と思っている人は
ぜひ読んでみてください。……とは大嘘。
この本を読んでも多分趣味は見つかりませんから。




※※※※※※※※※



――が、とりあえずこの本を読んで衝撃だった内容は他にある。

「武士道」は山鹿素行が無役の武士の暇をつぶすために作った。

漫然と読んでいたので、えーっ!と驚いた。
……が、前に戻って読みなおすことはしなかったので、事実かどうかは不明。
前述の通り、本をすでに返してしまったので内容を改めて確認は出来ない。

まあ噂程度に考えていていい話なので、あまり信じてしまうのもね。
妥当な言い方だと、山鹿素行が武士道についての見解をまた一つ付け加えた、
くらいに考えておいた方がいいでしょう。

武士道はね。かっこ良くて嫌いじゃないんだけどね。
近年あまりにも理想化されすぎてる気がするのよね。
あんまり理想化されてしまうと、結局は現実との乖離が始まって、
それはフィクションになってしまう。
が、武士は実際にいた存在だから、それがフィクションと意識されることなく
人々に根を下ろしてしまう。

坂本龍馬なんかも同じでしょう。
現行のイメージは実際よりだいぶ快男児寄りになっていると思う。
だからといって実害があるわけではないかもしれないが、
実害がないからといって、全てについて奔放なイメージを語り始めると
果てしなく実体と離れていくから。
……歴史には出来るだけスタンダードを求めていきたい。

とはいえ、「聖徳太子はいなかった」とか言われると。
わたしは聖徳太子が厩戸皇子でもかまわないし、大いに理想化されているだろうとは思うが、
「いなかった」とまで言われるとちょっと困っちゃうなあ。

まあ武士道や聖徳太子の異説について、それほど関連図書を読みたい気はしない。
理由は、……面倒だから。どれが史実か、とかそういう細かいところだけを
気にするようになると、歴史の面白みは薄れますよね。
なのでわたしは王道の学者が書いてくれた「最低限これだけはいえるといって良いだろう」
という大変慎重な部分の本を主に読んでいきたいと思います。

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