そんなに見たいとは思わなかったんだけど、12月の半ばで映画館のポイントが切れる予定で、
他に見たい映画がなかったための苦渋の選択。
12月半ばに「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」「聖☆おにいさん」が気になっているが、
ちょっと遅いのよねー。もう一週間早かったら良かったのに。
しかし銭天堂の方は様子見をする。わたしは天海祐希はかなり好きなんだけど、
この人の出演作選びは合わないのよねー。面白くないかもしれない。
「聖☆おにいさん」は、ドラマはちょっと見て退屈だったけど、
映画はもう少し力を入れてくれて面白い予定なので。(原作マンガは面白いし、
設定も良いし役者も大丈夫。ドラマが退屈だったのは制作陣の怠慢。……か予算不足)
それはさておき、この映画、けっこう面白かったです。
「八犬伝」といいつつ、八犬伝自体は劇中劇ですね。
いい選択だったと思う。八犬伝って基本的に極彩色の伝奇物だから、
大人が見るには少々ツライ物語。
劇中劇以外の部分は、滝沢馬琴の(うっすらとした)伝記。
葛飾北斎との会話劇。そんなに大したことを喋ってるわけではないが、
役所広司と内野聖陽の空気感で面白く見られた。
対して劇中劇の方は若手を多用し、がっつりファンタジー。冒険活劇。いうたら戦隊物。
2.5次元という言葉が脳に去来していた。
実際戦隊物に出た役者も多かったようだ。そしてみな若くてイケメンなので、
……見分けはつかないのであった。
映像的には派手で良かったかも。
衣装デザインや色合い、セット(CG)は浮世絵がだいぶ参考にされていたね。
特に源八と信乃の大屋根の捕り物なんかはそうだった。
屋根の崩れ方はいかにも不自然だったが、むしろあれは人外の力が働いているんだろうと
納得出来た。
わりと細かいところまで作ってた印象。
鶴屋南北の赤い目とか。そのわりに舞台中の奈落に人っ子一人いない、という描写には
違和感があったが。
2番目の家の柱が一本だけ新しいのも、リフォームを表しているんだとしたら芸が細かい。
だが1番目の家の、あの視点から向かいの2階の窓が見えるのは違和感。
それから、2番目の家に引っ越した時、引き出しや冊子がまったく同じように
積んであるのは違和感。
まったく同じにすることでこだわる馬琴の性格を表そうとしたのかもしれないが、
そしたら広くなったんだし、素直に本棚を使って欲しかったわね。絵面が同じになるし。
玉梓の化け物表現は適度に抽象化され、きれいで良かった。
珠もきれいで良かった。あまりグロく作らなかったことも奏功。
玉梓は栗山千明だったんですね。3回くらい人格が変わってて、
最初は処刑された人、次になんだっけ?なんかもう一つ出て来て、
最後は怪物に変わる。……が、1回目は誰これ?と思ってて、2回目でもわからなくて、
実は最後は大塚寧々だと思って見ていた。まあ今回特殊メイクが大活躍してはいたが、
大塚寧々と栗山千明を間違えるようではあきませんわ。
役所広司もすっかり大物になって、それほど食指が動く役者ではなくなっているけど、
今回の内野聖陽との掛け合いは面白く見られた。
馬琴は、もっと偏屈で強圧的でうっとうしい造型でも良かったかも。
わたしのイメージでしかないが、嫁のお路には無理強いしたんじゃないかと思うんですよね。
お路が申し出たことにすれば美談だけれども。
まあでもこの映画で馬琴がうっとうしいと、見るのがうっとうしくなるので
これくらいで良かったのか。
浜路がもう少し美女でも良かった。信乃が美形で、それにつり合うくらいの美女で良かった。
ちょい役だからこそ余計。原作ではもう少し重い役柄ですけどね。
今回の八犬伝は相当にダイジェスト版だから。
寺島しのぶも相変わらず癖の強い芝居を……。すっかり癖者役者として定着してますね。
最後もああやって死ぬのか。しぶとい。きれいに死なせる手もあったろうになあ。
黒木華はぴったりかもねー。しかし無学の女に見えるかどうかは微妙。
磯村勇斗はわたしが見るドラマにけっこう出ている。
が、わたしの予想よりは普通になった。もっと癖の強い役者になると思っていた。
まあ癖の強い役は数的に限られてますからね。
全体的にストーリーはダイジェスト化が成功。
しかしああいう作り方すると、「全部全部悪いのはアンタ(里見義実)のせいやんか!」と
いいたくなるわね。伏姫が八房に連れ去られるのも、玉梓に里見家が呪われるのも、
全部口の軽さによる災い。アンタが悪い。
八房はもう少し可愛げを加えて欲しかったなあ。
でかい犬で迫力はあるべきだけど、八房は伏姫をほんとに好きだったんだよ。
そういう部分を描いて欲しかった。その方が厚みが出ませんでしたか。
まあまあでも、期待しないで見に行ってこのくらい面白ければ重畳。
あんまり食指が動く映画がない昨今、半年に一度くらいは見たい映画に不自由しないように
なればいいな。
他に見たい映画がなかったための苦渋の選択。
12月半ばに「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」「聖☆おにいさん」が気になっているが、
ちょっと遅いのよねー。もう一週間早かったら良かったのに。
しかし銭天堂の方は様子見をする。わたしは天海祐希はかなり好きなんだけど、
この人の出演作選びは合わないのよねー。面白くないかもしれない。
「聖☆おにいさん」は、ドラマはちょっと見て退屈だったけど、
映画はもう少し力を入れてくれて面白い予定なので。(原作マンガは面白いし、
設定も良いし役者も大丈夫。ドラマが退屈だったのは制作陣の怠慢。……か予算不足)
それはさておき、この映画、けっこう面白かったです。
「八犬伝」といいつつ、八犬伝自体は劇中劇ですね。
いい選択だったと思う。八犬伝って基本的に極彩色の伝奇物だから、
大人が見るには少々ツライ物語。
劇中劇以外の部分は、滝沢馬琴の(うっすらとした)伝記。
葛飾北斎との会話劇。そんなに大したことを喋ってるわけではないが、
役所広司と内野聖陽の空気感で面白く見られた。
対して劇中劇の方は若手を多用し、がっつりファンタジー。冒険活劇。いうたら戦隊物。
2.5次元という言葉が脳に去来していた。
実際戦隊物に出た役者も多かったようだ。そしてみな若くてイケメンなので、
……見分けはつかないのであった。
映像的には派手で良かったかも。
衣装デザインや色合い、セット(CG)は浮世絵がだいぶ参考にされていたね。
特に源八と信乃の大屋根の捕り物なんかはそうだった。
屋根の崩れ方はいかにも不自然だったが、むしろあれは人外の力が働いているんだろうと
納得出来た。
わりと細かいところまで作ってた印象。
鶴屋南北の赤い目とか。そのわりに舞台中の奈落に人っ子一人いない、という描写には
違和感があったが。
2番目の家の柱が一本だけ新しいのも、リフォームを表しているんだとしたら芸が細かい。
だが1番目の家の、あの視点から向かいの2階の窓が見えるのは違和感。
それから、2番目の家に引っ越した時、引き出しや冊子がまったく同じように
積んであるのは違和感。
まったく同じにすることでこだわる馬琴の性格を表そうとしたのかもしれないが、
そしたら広くなったんだし、素直に本棚を使って欲しかったわね。絵面が同じになるし。
玉梓の化け物表現は適度に抽象化され、きれいで良かった。
珠もきれいで良かった。あまりグロく作らなかったことも奏功。
玉梓は栗山千明だったんですね。3回くらい人格が変わってて、
最初は処刑された人、次になんだっけ?なんかもう一つ出て来て、
最後は怪物に変わる。……が、1回目は誰これ?と思ってて、2回目でもわからなくて、
実は最後は大塚寧々だと思って見ていた。まあ今回特殊メイクが大活躍してはいたが、
大塚寧々と栗山千明を間違えるようではあきませんわ。
役所広司もすっかり大物になって、それほど食指が動く役者ではなくなっているけど、
今回の内野聖陽との掛け合いは面白く見られた。
馬琴は、もっと偏屈で強圧的でうっとうしい造型でも良かったかも。
わたしのイメージでしかないが、嫁のお路には無理強いしたんじゃないかと思うんですよね。
お路が申し出たことにすれば美談だけれども。
まあでもこの映画で馬琴がうっとうしいと、見るのがうっとうしくなるので
これくらいで良かったのか。
浜路がもう少し美女でも良かった。信乃が美形で、それにつり合うくらいの美女で良かった。
ちょい役だからこそ余計。原作ではもう少し重い役柄ですけどね。
今回の八犬伝は相当にダイジェスト版だから。
寺島しのぶも相変わらず癖の強い芝居を……。すっかり癖者役者として定着してますね。
最後もああやって死ぬのか。しぶとい。きれいに死なせる手もあったろうになあ。
黒木華はぴったりかもねー。しかし無学の女に見えるかどうかは微妙。
磯村勇斗はわたしが見るドラマにけっこう出ている。
が、わたしの予想よりは普通になった。もっと癖の強い役者になると思っていた。
まあ癖の強い役は数的に限られてますからね。
全体的にストーリーはダイジェスト化が成功。
しかしああいう作り方すると、「全部全部悪いのはアンタ(里見義実)のせいやんか!」と
いいたくなるわね。伏姫が八房に連れ去られるのも、玉梓に里見家が呪われるのも、
全部口の軽さによる災い。アンタが悪い。
八房はもう少し可愛げを加えて欲しかったなあ。
でかい犬で迫力はあるべきだけど、八房は伏姫をほんとに好きだったんだよ。
そういう部分を描いて欲しかった。その方が厚みが出ませんでしたか。
まあまあでも、期待しないで見に行ってこのくらい面白ければ重畳。
あんまり食指が動く映画がない昨今、半年に一度くらいは見たい映画に不自由しないように
なればいいな。