プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 万城目学「悟浄出立」

2016年10月11日 | ◇読んだ本の感想。
書いたね。万城目学。マジメな話を。

まあ「とっぴんぱらりの風太郎」もどっちかといえばマジメな話だったかな。タイトルと忍者って設定だけが、
ちょっとユーモラスってだけで。

このタイトルで、当然思い出すのは中島敦の「悟浄出世」。読んだよ。10年くらい前に。
……しかし内容は忘れている。でもこの「悟浄出立」と似たような話だった気がする。
それを期待してわたしも読んだんだけれども。

でも案に相違して短編集だったからなあ。ちょっと肩透かし。雰囲気は全体的に好きだったが。
みんな中国ものに由来がある短編。西遊記、三国志の趙雲、虞美人、荊軻、司馬遷。
中国もの好きなイメージはなかったが。わたしが忘れているだけかな。

わたしは虞美人の話が好きだったな。
この話の中では、実は虞美人の前に「虞」という妃がいたが、敵に殺されてしまい、その妃を心から愛していた項羽は、
面影が似た虞美人を召した。ということになっており、四面楚歌の場面で虞美人自身がようやくそのことを知らされる。
身代わりとして愛されていたのか、とショックを受ける虞美人。
まあありがちな筋ではあるが、虞美人の内面を書いた話を読んだことがなかったから。
この四面楚歌の時の項羽は切なくていいんですよね。順風満帆な時は、きっと粗野でうるさくて嫌いなタイプだろうけれども。

こういう話を書くと、万城目学は地道でしみじみとして、けっこう好きな作風です。
これでもか、と設定を並べる話も(「ホルモー」とか)嫌いじゃないが、やりすぎ感があるからなー。
普通の話でいいよ。万城目学。まあたまには奇天烈な話でもいいけどね。



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