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プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 重松清「流星ワゴン」

2009年01月25日 | ◇読んだ本の感想。
ヨンデモ本のご紹介。

このくらいになるとご紹介も何も、今さら、だよね。
世評があまりにも(?)高いので読んでみたんだから。
ベストセラーになった本なのかな?何だか一時期、あちこちで名前を見ていたような気がする。
初重松作品。

ベストセラーになっていたとしたら、わたしには割合珍しいことに、読んで満足感があった本。
実は読み始めは、設定の辛気臭さと、ありがちと言えばありがちな話に、
「うへー、また泣かせる(だけの)小説かなあ」と思い、ざくざく読んで
とっとと終わっちゃおうかなあ、などと考えていた。だが、知識本ならまだしも、
ある程度以上の力量を備えた作家の小説となると、ざくざく読もうとしても難しいことが多い。
やはり彼らは当然プロで、他人に読ませる文章を書くから。
結局普通に読みましたよ。


大げさな話でもなく、メチエが鼻につくこともなく。
(ついこないだメチエという言葉を覚えたので、早速使ってみたい。
今まで「プロとしての文法」と言ってたものと同じ意味。)
自然体、等身大の話を書いているように感じた。最後が……というとネタバレになるか。
ネタバレを気にする内容じゃないと思うけど、一応自重しておこうか。
最後の匙加減が適度で、そこが気に入った。

うーんうーん、この本の魅力は自然らしさかなあ。設定はベタだと思うけれどもね。
親と子の関係をもっと抉って書く方法もあるが、こういうあっさりな方が、
現代の人間関係に近いと思われる。

話の皮の部分で、東野圭吾の「時生」を思い出した。これは「時生」の反転。
東野圭吾はプロだと思う書き手だけれど、わたしは彼の場合、メチエばっかり目について、
ちょっとヤなんだよね。「上手いし面白いけど……」感触が軽くてなあ。
重松の方が好感触。ま、「コッチ側」とまでは思えんけど。
怖れていたほど泣きの小説ではなかったし、今後何冊か読む予定。



流星ワゴン (講談社文庫)
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