いくつかの論文を参考にする限り、情動的知能が高い人は学業成績が比較的いい傾向にある。正確には『情動的知性は大学1年生の総合的な学業成績の分散の10%程度を予測する』とのこと。
情動的知能が高い人、つまり自身の感情やストレスをある程度把握でき、また処理やコントロールができる人は学業関係のトラブルや困難に対処できる可能性も高くなるという。
また情動的知能は学業にも影響を与える外的要因(例:生活習慣、犯罪、対人関係)に対する反応・処理にも影響することから、情動的知能は学習する環境を整える1つの要因であると考えられる。
日ごろから偏りすぎた食事を意識して避けある程度の睡眠を確保できている人は、授業中に「眠い」とつぶやくことなく板書を書き写せるような、そんなイメージだ。
注意点としては、情動的知能は学業成績や知能と直接的な関係ではないということ。学業成績や知能は人柄の良さや自身に対するストイックさだけでは語れない複雑な要素であり、また情動的知能の学業成績に対する分散も極めて大きいわけではない。あくまでも、成績を語る上での1つの要素でしかないのだ。
ーーーもしあなたが学業成績を第一に掲げた人生を送るというのならば、
情動的知能のお話は二の次でいい。机に向かって問題を解くほうが、割合としては大きいのだ。
……そうでないというならば、情動的知能のお話は頭の片隅に置いておいてほしい。
情動的知能にかかわるお話は、生きやすさや幸福と直結するからだ。
参考文献
James D.A.Parker,Ronald E.CrequeSr et al.(2004) Academic achievement in high school: does emotional intelligence matter?
James D.A.Parker,Laura J.Summerfeldt et al.(2003) Emotional intelligence and academic success: examining the transition from high school to university.
Paloma Gil-Olarte Márquez, Raquel Palomera Martín et al. (2006) Relating emotional intelligence to social competence and academic achievement in high school students.
Hossein Jenaabadi (2014) Studying the Relation Between Emotional Intelligence and Self Esteem with Academic Achievement.
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