2016年に発表された論文によると、好奇心や誠実性といった性格は成績と若干の関係性があるが、グリットは成績と関係性がほぼ無かったという。
心理学におけるグリットとは興味の一貫性のことを指す。
より難しく言えば自己志向の継続期間ともいえるし、柔らかく言えばやりたいことへの熱意がどれだけ続くかを示す言葉でもある。やりたくないことなどの障害をものともせず、やりたいことへの熱意が絶えない人間はグリットが強い人間と言える。
似たような意味合いをもつ言葉に、誠実性がある。こちらは性格を構成する要素の1つで、忍耐・辛抱・我慢などやりたいことのためにどれだけやりたくないことと向き合えるか、もしくは長期的な計画がどれだけできるかを指す。
グリットと誠実性は「やりたいことのためにどれだけ踏ん張れるか」という側面では非常によく似ているのだ。
やりたいことのために踏ん張れる力が高ければ、学業成績も高くなりそうな気はするが……、実際はそうではない。
それはなぜか。
耐えて耐えて耐え忍んでまで貫いたやりたいことが、学業に求められているものとは限らないし、やりたいものができるかどうかとはまた別であるからだ。
グリットはあくまでも「やりたいことを貫き通せるか」を示す言葉だ。そのやりたいことが誠実でまっとうで、成績として評価できるものかどうかまでは保証していない。ここが罠だ。
もちろん、自分が何ができるかを把握したうえで発揮されるグリットはとてもとても強い。
ただ、どれだけグリットが強い人間でも、そのグリットが専門外のところで働いていたら何の実も結ばないんだ。ただやる気が空回りするだけ、やりたいことを叫ぶだけになってしまう。
グリットが成績に与える影響は、「ない」というよりも「激しい個体差の平均値がゼロ」であるといったほうが適当かな。
もし君が数学でいい点を取りたいのであれば、気構えや思考方法を変えるよりも…………素直に数式を学んで、わからないところを教えてもらったほうが速いのだ。
……今回はグリットと成績の関係を説いた。グリットと幸福の関係や、グリットと成功の関係とはまた違ってくるからな、混在させるなよ。いいね。
参考文献
Kaili Rimfeld,Yulia Kovas et al. (2016) True Grit and Genetics: Predicting Academic Achievement From Personality
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