ばりん3g

マイクラ補足 兼 心理学のつぶやき

所得の再分配の是非から知る、私たちの我儘さ。

2022-04-16 | 旧記事群

「あんなに稼いでいるのに、なんで脱税なんてするんだろう?」

「そんなに稼いでいるのならば、ちょっとぐらい分けてくれてもいいじゃないか」

現在、そう考える人が多数派だろう。

だが、もし自分がそういわれる立場の人になったとき、つまり多大な資産を抱える富豪にでもなったとき、

私たちはそういった問いに、なんと返すのだろうか。

 

 

私たちは、私たちが思う以上に自分本位に考えている。

表れはあらゆる形で顕在するが、その1つに、税金や資産の再分配に対する考え方が挙げられる。

具体的に言うと、「自分は周りよりも稼いでいる」と考える人は再分配に否定的であり、「自分は周りよりも稼げていない」と考える人は再分配に肯定的なのだという。

 

再分配というのは、所得であれ資産であれ格差が発生した時に、その格差を縮めるために行われるもの。基本的には、"稼いでいる人"から稼ぎを徴収し"稼げていない人"に配るという行為だ。税金(累進課税)も、その類であると考えることができる。

その再分配に対し、自分本位という前提を代入した場合、"稼いでいる人"は自分の稼ぎを徴収されることを渋り、"稼げていない人"は自分が配られる対象だと思い喜ぶはずだ。

ゆえに、再分配の策において食い違いが発生する。

 

また、再分配をめぐって両者は真逆の主張をすることだろう。

この稼ぎは俺が努力した結果手に入れたものだ、だからこの稼ぎの権利はすべて俺にある。税金にも納得がいかない、これは俺が手に入れたものだというに」

その稼ぎは運がよかったから手に入っただけだ、この世はすべて運なんだ。運で手に入れたお前にそれを独占する道理はない、俺たちに手渡すべきだ」

主張の動機は同じ。だからこそ対立するのだ。

 

 

ちなみに、今回説明した"稼げている"とかどうとかというのはすべて主観的なものである。

つまり、比較対象や環境が変わるだけでも、再分配に対する考え方が変わる可能性があるのだ。

技術革新で明らかに住みやすくなっているはずなのに、所得格差を嘆く私たちがいるのは、SNSとこれらの特性が組み合わさったことも一因だろう。

 

 

参考文献

Alberto Alesina,George-Marios Angeletos (2005) Fairness and Redistribution.

Jazmin L. Brown-Iannuzzi,Kristjen B. Lundberg et al. (2014) Subjective Status Shapes Political Preferences.

Mounir Karadja, Johanna Mollerstrom et al. (2016) Richer (and Holier) Than Thou The Effect of Relative Income Improvements on Demand for Redistribution.

Oliver PHauser and Michael I Norton (2017) (Mis)perceptions of inequality.

Olof Johansson-Stenman and James Konow (2010) Fair Air:Distributive Justice and Environmental Economics.



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