2013年に発表された論文によると、販売員の業績は自分が販売するブランドや商品への認識が大きく影響しているという。
広告というものは非常に良く作られている。
目に入ったときの第一印象。背景として映る色彩の強さ。引き付けて離さない強調と言い回し。ところどころでは無駄で邪魔なものとして扱われるが、実際のそれらは無駄がない作りだ。
これらの広告はモノやサービスを買う顧客に向けて、またはその獲得のために行われるものではある。
それと同時に、広告はモノやサービスを売る販売員に向けて、またはその獲得のために行われているものでもある。
広告によりモノやサービスを知り、それがいいものであると学んだ顧客は口伝えでモノやサービスをほかの人に伝えてたくなる、そして伝えていく。「こんなにもいいものがあるよ」「これを買うとこんなにもいい経験ができるよ」とまっとうな善意で他人に教える。
さいきん近所にできたおいしいレストランがあってねぇ、と何の違和感もなく宣伝が達成される。
販売員にも同じことが言える。
広告によりモノやサービスを知り、それがいいものであると学んだ販売員はそのモノやサービスを顧客に伝えたくなる、そして伝えていく。「お客様、この商品にはこんな利点が」「これを使うとどんないいことが起こるか」をまっとうな善意で教えられるようになるのだ。
上から課されたノルマではなく、自分の意志で勧めることができる。
これが販売員の業績につながるのだ。
広告担当は広告の試写会に、その会社の販売員も招くといいだろう。
販売員も人間だ。良いモノやサービスを知れば、善意を理由にどんどん発信していく。
……たとえそれが、盲信的なものであったとしても。
余談だが、この論文の題名は「この広告はあなたのため(This ad’s for you)」である。
これは直球で「この広告は販売員が知るためのものである」とも受け取れるし、その知った販売員が顧客に言うセリフでもあるのだ。「あなたの生活をよくするために!」って。
洒落のきいた題名だなぁ。ぼくこういうのすき。
参考文献
Douglas E. Hughes (2013) This ad’s for you: the indirect effect of advertising perceptions on salesperson effort and performance.
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