一人ディズニー見聞録

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私ときどきレッサーパンダ(2022)

2022-03-14 16:54:20 | 映画
16時59分。その男は、パソコンの画面をソワソワしながら徘徊していた。「まだか、まだか」とウロウロし、壁に掛けられていた時計をちらりと見た。


3月11日(金)17時、ついにその時がきた。ディズニープラスで『私ときどきレッサーパンダ』が独占配信されたのだ。昨年11月頃から、映画館で同作の予告編が流れており、「早く観たい」と切に願っていた。そして昨日、劇場公開とはならなかったが、その思いが叶った。


2002年、カナダ・トロントのチャイナタウンに住む13歳の女の子メイ。真面目で頑張り屋の彼女は両親、特に母親の期待に応えようと日々学業に励んでいた。その一方、母親が嫌っているボーイズバンドや彼らの音楽を好み、また恋愛や友達と羽目を外して遊びたいと思っていた。


母親の前では「真面目で頑張り屋の娘」を演じていたメイだが、ある日、自身の感情がコントロールできなくなり、思い悩んだまま寝てしまった。そして翌朝目を覚ますと、メイはなんと巨大な赤いレッサーパンダになっていた。自分の姿に戸惑うメイ、しかしそこには彼女も知らないある秘密が隠されていた。果たしてメイは、元の人間の姿に戻ることができるのか。そして、レッサーパンダになったメイが様々な人と関わることで見つけた、本当の自分とは何だったのか。


メイの母親のキャラクターが、日本語吹替えを務めた木村佳乃にしか見えなかったことはさておき、『~レッサーパンダ』は全編観終えた後、自分のメンタルの不調を癒してくれる精神系セラピーを受けた感じにさせてくれた。ほぼ全作のディズニー・ピクサー作品を観てきたが、そういった感覚になった作品は今作が初めてだった。


『~レッサーパンダ』は、思春期の女の子の心の葛藤と成長を描いているが、思春期の女の子以外の「真面目で頑張り屋」な人にも共感できるストーリーだ。自分もメイと同じく「真面目で頑張り屋」の性格なため、彼女と似た経験をした。


大学を卒業するまでの学生時代はメイのように、「真面目で頑張り屋」な人間として、親や周囲の期待に沿いながら過ごしてきた。しかし卒業後、社会に出て働くようになると、自分の感情とは異なる行動を取らなければならなくなった。当初は感情を抑えてメイのように頑張ろうとしたが、やがて自分の感情をコントロールできなくなり、レッサーパンダに…じゃなくて短期間で転職と離職を繰り返し、そして会社を長期で休むことになった。


そういう状態だから『~レッサーパンダ』を観たとき、精神系セラピーを受けたに感じたのかもしれない。しかし、心に傷がついた「真面目で頑張り屋」な人ではなくても、作中でのメイの行動や心情は共感できるものばかりだと思う。共感することで、「これは自分だけに起きていることなのか」と思う不安などの感情が軽減されるのだ。


『~レッサーパンダ』は他のディズニー・ピクサー作品と比べて、観客の心の負担を軽減する要素が多く含まれている。それが、観ているときに精神系セラピーを受けているような体験をさせてくれるのだと思った。


自分が「真面目で頑張り屋」だと感じる人にとっては良薬として、そうじゃない人は身近にいる「真面目で頑張り屋」な人をサポートするための参考書として『私ときどきレッサーパンダ』を観てみてはいかかだろうか。



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