一人ディズニー見聞録

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オヤジはつらいよ ジョージ・ダーリング編

2022-06-19 07:36:00 | 映画
「かわいそうなナナ、みんなナナ、ナナ。だがオヤジのことは知らん顔」。その男は、そうぼやきながら飼い犬を外に連れて行った。


今日6月19日(日)は、父の日だ。ディズニー作品には、数多くの父親が登場し、ムファサ(『ライオンキング』)やゼウス(『ヘラクレス』)のように威厳がある父親もいれば、マーリン(『ファインディング・ニモ』)やトリトン(『リトル・マーメイド』)のように、子どもを守るため過保護になるものもいる。


様々な父親たちがいるが、その中でも一番ぞんざいな扱いを受けるキャラクターがいた。それは、『ピーターパン』(1953)に登場するジョージ・ダーリングだ。ジョージは、イギリスのロンドンに妻・メアリーとウェンディ、ジョン、マイケルの3人の子ども、そして犬のナナと暮らす会社員だ。立派な家に住み、3人の子どもを育て、正装でどこかのパーティー(たぶん会社主催)に夫婦揃って出席することから、ジョージは稼ぎの良い男だと思われる。


しかし、ジョージは高給取りであっても、家の中で特に子どもたちからはあまり尊敬されていなかった。例えば、パーティーに着ていく用の胸当てには、宝の場所が書かれた地図が書かれ(マイケルがチョークで書いた)、シャツにつけるカフスボタンは、マイケルに隠されてしまい、パーティーに行く準備が遅れてしまった。


さらにはナナと交錯し、タイヤのついたおもちゃに足を滑らせ、タンスに激突した時は、同じく壁に激突したナナの下に家族全員が寄り添ってしまうほど、家の中では飼い犬より大事にされていなかった(その結果、ナナを家の外に連れ出した)。


子どもたちのイタズラの被害を受け、さらにはペットより大事にされない父親は、ディズニー映画史の中でジョージだけだと思う。今日までのディズニー作品に登場した父親たちには「威厳がある」、「子どもにやさしい」、「心配症」の3つの要素のうち、どれか2つは必ず兼ね備えている(トリトンのように全て持っているキャラクターもいる)。


しかし、ジョージだけは先述の3要素が1つも無いように思えた。子どもたちが信じているおとぎ話を頭ごなしで否定し、乳母の役目を果たすナナを子ども部屋にいさせなくても全く心配する素振りを見せなかった。そういったところが、ジョージの父親としての威厳を無くす要因になっていると思う。これでは、ナナ以下の扱いを受けても仕方がないな。


そんなペット以下の頑固おやじジョージだが、話の終盤で意外な顔を見せた。パーティーから帰り、ネバーランドから帰ったウェンディを見つけると、出かけ際に怒って1人部屋に移すと言ったことを撤回。さらにはピーターたちが乗った船の形をした雲を見ると、自身も過去に見たことがあると話してウェンディに寄り添うなど、ジョージは、物語終盤で本当は子ども思いの優しい父親だということが判明したのだ。


子どもにイタズラされ、ペット以下の扱いを受けて怒鳴り散らしても、父親はなんやかんやで子どもには優しいものだ。しかし、あそこまでぞんざいな扱われ方をし、さらにそれが面白く見えた父親のディズニーキャラクターは、後にも先にもジョージ・ダーリングただ1人であった。



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