スローな生活

日々の生活の中で感じたことなどを書き綴ります。
犬や猫などの絵を描いてブログに載せています。

折り鶴が舞い降りる

2017-11-27 12:35:00 | 短編小説
夢だと気付かずに夢を見ているように
今見ているこの現実が夢だとしても
不思議ではありません。

主人公の舞子は高校1年生で
夢と現実の区別がつかない
不思議な体験をします。



『折り鶴が舞い降りる』


昨夜から降り出した雪は
今朝になっても降り続き
あたりをすべて静寂な
白一色の世界にしていた。

高校1年生の舞子は
いつものように学校に向かったが
自宅から学校まで徒歩三十分程の道が
降り積もった雪によって
白く覆い隠されていた。
見慣れた風景は全て白く染まり
舞子は自分がどこにいるのか
分からなくなってしまった。

「いったいここは何処なんだろう」

音もなく降り続く雪は
舞子を白く染めていき
舞子の意識はだんだん遠のいていった。

学校には舞子の居場所がなかった。
朝、教室に入って
「おはよう」と声をかけても
誰も挨拶を返してくれない。

クラスの皆は舞子に見向きもしないで
いくつかのグループに分かれて
談笑している。

座席は入学当初のまま
出席番号順に並んでいて
舞子の席は窓際の一番後ろだったが
まるで教室の後ろ隅に隔離されているような
孤独感があった。

窓際の後ろから二番目の席
つまり舞子の前の席に
「陽子」という名前の子がいた。
舞子と陽子は入学当初から気が合い
お互いを「舞ちゃん」「陽ちゃん」
と呼び合い
まるで姉妹のように
仲が良かった二人だったが
陽子は夏休みを境にして
舞子に何も伝えずに転校してしまった。
夏休み明けに担任からの説明で初めて知り
舞子はショックを受けた。
親しくしていたのに
なぜ話してくれなかったのか・・・
舞子の前の席はずっと空いたままになった。

おとなしい性格の舞子とは対照的に
陽子は誰とでも仲良くなれる
明るい性格だった。

高校に入学したばかりの頃
陽子は休み時間になるたびに
折り紙で折り鶴を折っていた。

「なぜ折り鶴を折っているの」
舞子は折り鶴を折る理由を聞いてみた。
「祖母が入院しているの。お見舞いに千羽鶴を作ろうと思って・・・」
「早く元気になるようにとひとつひとつ願いを込めて折っているの」
「私にも折らせて。心を込めて折るから・・・」
陽子が魂を込めて折っている姿を見ながら
舞子は言った。

それからしばらくの間、休み時間になると
ふたりで折り鶴を折るようになった。
折り鶴に命を吹き込む共同作業は
舞子にとってとても楽しかった。
ふたりにとって折り鶴は
単なる「紙」で折った鶴ではなく
命を宿した生き物のようにも思えた。

陽子は手のひらに折り鶴を乗せて
満面の笑みを浮かべながら
「このまま空に飛んでいきそうだね」
 と言った。

陽子がいなくなってから
クラスの皆から避けられているような
違和感を舞子は感じるようになった。
まるで魂の抜け殻のような舞子の佇まいが
他を寄せ付けなかったのかもしれない。

屋上へと続く階段を上りきったところにある
踊り場は二人にとってはお気に入りの場所で
昼休みにお弁当を食べたり
放課後に他愛もない話をして過ごす
贅沢な空間だった。

踊り場にある扉には
「立ち入り禁止」の張り紙があり
鍵がかかっていて
屋上へいけないようになっていた。

陽子がいなくなってからも
舞子はその場所に足を運んだ。
陽子との思い出を確かめるためだったが
居場所のない舞子が
避難する場所でもあった。

ある日の昼休みにその場所に行くと
鍵がかかっているはずの扉が開いていた。
舞子は不思議に思いながら
屋上に足を踏み入れると
そこには一人佇む女子生徒がいた。
舞子と彼女の視線が交わり
どちらからともなく会釈をした。
「いつもは鍵がかかっているんですけど・・・」
舞子は訝しげに言った
「私、鍵を開けることができるんです」
と彼女はこともなげにそう言ってから
「教室には私の居場所がなくて・・・」
と言って寂しげな顔を舞子に向けた。
「私もそうなんです」
舞子は共感した。
会話が弾んだように思ったが
不思議なことに後で振り返ってみると
その時どんな話をしたのか
思い出せなかった。

それ以来、昼休みになると
舞子は引き寄せられるように屋上へと向かい
彼女との会話を楽しんだ。

彼女についてわかっていることは
上履きの色から同じ一年生だということと
扉の鍵を開け閉めできて
扉が開いているときに
彼女が屋上にいるということだった。
舞子が不可解に思ったことは
同じ一年生なのに屋上以外の場所で
彼女を見たことがないということだった。

やがて舞子は気になる噂を耳にした。
過去に屋上で飛び降り自殺があり
それがきっかけで屋上が
立ち入り禁止になったということだった。

まさか彼女は・・・

舞子は思い当たる節があり胸騒ぎを感じた。
舞子は彼女に会って確かめたかったが
その噂を聞いて以来
彼女に会うことはなかった。

ある日、いつものようにその場所に行くと
ずっと閉まったままだった扉が開いていた。
前夜から降り出した雪が
屋上一面に敷きつめられていた。

降り積もった雪の上を歩いて
足跡をつけることが楽しかった・・・
舞子は無邪気な子供の頃を思い出しながら
自分の存在を確かめるように
一歩一歩雪面に足跡をつけていった。

ふと気配を感じて振り返ると
彼女が舞子を見つめながら佇んでいた。
彼女がゆっくりと近づいてきたとき
舞子は彼女の正体を確かめることができた。

雪面に彼女の足跡がついていなかったのだ。

彼女は舞子に向かって
静かな口調で話し出した。
「私はここから飛び降りて自殺したけど、自殺しても居場所がなくて・・・」
「自殺しなければよかったとすごく後悔しています。」
「居場所って自分で作るものだということがわかったし・・・」
「私のことを大切に思ってくれた家族や友人がいたのに・・・」

彼女の話を聞いているうちに
だんだんと意識が遠のいていき
気が付くと舞子は雪面に独り
仰向けに横たわっていた。
視界いっぱいに広がる冬空から
真っ白で綺麗な雪がふわりふわり舞い降りて
あたり一面を白く染めていた。

「いったいここは、何処なんだろう」
舞子は起き上がろうとしたが
身体が動かなかった。
「このまま雪と同化して、雪と共に解けて消え去るのも悪く無い・・・ 」
スローモーションのように
ゆっくりと舞い降りてくる雪をみていると
まるで空中を浮遊しているような
不思議な感覚があり心地よかった。
舞子は静かに目を閉じ
その心地よさに身をゆだねた。

「舞ちゃん、起きて」
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
舞子が目を開けると
舞子を覗き込む陽子がいた。

「舞ちゃん、ごめんなさい。黙って転校しちゃって・・・」
「実はいじめを受けていて、学校に行かれなくなってしまって・・・」 
「一番ショックだったのは、舞ちゃんと一緒に折った千羽鶴をお見舞いに持っていこうと思って
 ロッカーから出したら取り上げられて教室の窓から投げ捨てられたこと・・・」
「他のみんなは見て見ぬふりをしていて・・・」

舞子は陽子がいじめを受けていたことに
気付かなかった。
陽子はいじめにあっていることを
周囲に気づかれないように
明るく振る舞っていたのだ。

そのとき舞子は神秘的な光景を目にした。

雪がやんだと思っていたら
無数の折り鶴が空から
ふわりふわり舞い降りてきたのだ。

「舞ちゃん、起きて」
陽子の声と共に自殺した彼女の声が
どこからともなく聞こえてきた。
「自殺しても居場所がなくて・・・」
「居場所って自分で作るもの・・・」

 すると突然、舞子の身体が宙に浮かんだ。
 舞子が横たわっていたのは雪面ではなく
 巨大な白い折り鶴の背中だった。
 その心地よい浮遊感によって
 舞子の意識は静かに遠のいていった。

右手に温かいぬくもりを感じ
再び目を開けると
舞子は病室のベッドの上にいた。
ベッドの傍らで陽子が舞子の右手を
両手でしっかりと握りしめていた。

舞子は学校の屋上から
飛び降り自殺を図った。
幸い降り積もった雪がクッションになり
一命はとりとめたが
意識不明の状態が続いていた。
舞子は意識を取り戻したが
夢と現実の区別がつかなかった。
舞子が今見ている光景が現実だとすると
夢と現実が奇妙に一致していた。
現実ではいじめを回避するために
陽子は転校し
いじめにより精神的に追い詰められて
舞子は飛び降り自殺を図った。

二人に共通していたことは
弱い部分を見せたくないという
気持ちがあって
いじめにあっていることを
周囲の人に知られたくなかった
ということだった。



ベッドサイドには千羽を超える折り鶴と
一際目立つ大きな白い折り鶴が飾られていた。

大きな白い折り鶴を折ったのは陽子だった。

人間は、目の前にあるものを
五感を使って認識しているが
五感では認識できなくても
実際に存在しているものがある。

舞子は今見ている世界が
全てではないと思いながら
窓越しに外の景色を眺めた。

窓の外では、無数の折り鶴が
空からふわりふわり舞い降りていた。
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『夢の不思議、数の不思議』

2017-11-27 08:15:00 | 数の不思議



最近、父と母の夢をよくみます。
 
生前の元気だった頃の父と母が
夢の中で私に話しかけてきます。
母はいつものように明るく饒舌で・・・
寡黙だった父も夢の中では饒舌です。
夢に登場する人物は
父、母、私の3人だったり
姉や妹、友人が加わったり
いずれも楽しく談笑している夢です。
 
夢は自分の深層心理を映し出す鏡!?
 
ひとりでテレビをみたり
ひとりで食事をしたり・・・
誰とも話さずに一日が終わることがある私にとって
「家族団らん」という言葉はまったく無縁ですが
「家族団らん」に憧れている自分が
心のどこかに存在しているようです。
 

さて、数の不思議さについて
触れたいと思います。
 
〇5×〇5の計算は
簡単に覚えられる法則があります。
 
5×5=25
15×15=225
25×25=625
35×35=1225
45×45=2025
55×55=3025
65×65=4225
75×75=5625
85×85=7225
 ・ ・ ・ ・ ・
 
〇5×〇5の計算は
(〇+1)×〇の計算結果に25をつければいいだけで
非常に簡単です。
 
例えば
35×35は12 (4×3=12)に25をつけて1225
65×65は42 (7×6=42)に25をつけて4225
105×105は110 (11×10=110)に25をつけて11025
 

夢の不思議、数の不思議、・・・
世の中は不思議な事だらけです。
 

コスモス(秋桜)と子犬を描きました
 
コスモスは見た目が清楚で可憐な感じですが
過酷な環境でも力強く育ちます。

そんなコスモスが私は好きです

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『漂流郵便局』

2017-11-27 08:05:00 | 雑感



以前“震災漂流物”が話題になったことがあります。
“震災漂流物”とは
東日本大震災によって発生した巨大津波により
海に流れ出た漂流物のことです。
家屋や車、家財道具など様々なものが
大量のがれきとなって海に流出しました。
たくさんの思い出が詰まったものが
“がれき”と化してしまって ・ ・ ・
あまりにも切なすぎますね。

“震災漂流物”など多種多様な漂流物は
長期間、波に揉まれて海岸に漂着することがあります。
海岸に漂着した漂流物は無言ですが
想像力を働かせると実に多弁です。

島崎藤村作詞・大中寅二作曲の
唱歌『椰子の実(やしのみ)』
あまりにも有名ですね。

名も知らぬ遠き島より♪流れ寄る椰子の実一つ
故郷(ふるさと)の岸を離れて♪汝(なれ)はそも波に幾月
・ ・ ・ ・ ・

唱歌『椰子の実(やしのみ)』
海岸に漂着した“椰子の実”をモチーフ にして
想像力を働かせて書かれた詩です。


瀬戸内海に浮かぶ香川県の離島“粟島(あわしま)”に
『漂流郵便局』というものがあります。

『漂流郵便局』は旧粟島郵便局を改装して
生まれ変わらせた郵便局で
亡くなった家族、元恋人、会うことができない人などに宛てた
届けることができない宛先不明の郵便物を預かります。

『漂流郵便局』に漂い続ける沢山の想い・・・
粟島は潮流等の関係で漂流物が漂着しやすい島なので
届け先がなく漂う思いが流れ着く場所としては
相応しいのかもしれません。

『漂流郵便局』は行き場のなかった思いが行き着く場所

時空を超えて思いが届くことを願って
今日も『漂流郵便局』に郵便物が流れ着きます。
 
 
猫を描きました

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『記憶転移』

2017-11-27 08:00:00 | 雑感



漢字の「心」は「心臓」を描いた象形文字として知られています。
英単語のheartは「心」「心臓」両方の意味があります。

心臓は文字通り心の臓器で
「心臓という臓器に心が宿っている」
という考え方は昔からあったようです。

科学的根拠はありませんが
心臓移植によって
レシピエント(臓器受容者)の趣味嗜好、性格などが一変して
ドナー(臓器提供者)のものに変わってしまったという体験は
珍しくないようです。

このような現象は『記憶転移』と呼ばれていますが
テレビのドキュメンタリー番組、映画、小説などで
扱われてきました。

テレビドラマ「エンジェル・ハート」では
ストーリーの背景として『記憶転移』が扱われていました。

科学的に証明できないものは世の中に数多く存在します。

「人間は死ぬとき体から魂(心)が抜け出て体重が減る」
という説があります。
「幽体離脱」はよく聞く言葉ですが
魂(心)に質量があるかどうかは疑問です。

「心」と「魂」は何が違うのか?
という質問に対する答えは
人によって様々ですが
よく言われることは
「心」は揺れ動くもので「魂」は不動のもの
ということです。
女心とか・・・

「心」と「魂」は似たようなものだと思います。
同じものを異なる表現で言ってるだけのような感じもします。

私は特定の宗教の信者ではありませんが
魂の存在を信じています。
輪廻転生もあると思います。

人間の思考や喜怒哀楽の感情は脳で起きていますが
なぜ脳がそのような働きを持っているのかは
現代科学では解明することができません。

人間は遺伝子という身体の設計図を持っています。
その精巧な生命の設計図を、いったい誰が書いたのか?

不思議なことはいろいろありますね(o^-^o)
 
 
猫を描きました

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『ふわふわしたもの』

2017-11-27 07:15:00 | 雑感



どうやら私は、ふわふわしたものが好きらしい。
 
コーヒーに浮かべて、まったりゆっくり溶けていく
ふわふわなマシュマロ
 
味噌汁の具として大好きな
ふわふわな麩
 
ディズニー映画『ベイマックス』に登場した
心優しいロボット“ベイマックス”は
ふわふわして可愛い!
 
絵本「バーバパパ」に出てくる不思議なキャラクター
“バーバパパ”もふわふわして可愛い!
ちなみに“バーバパパ”は“綿菓子”を意味する言葉です。
 
綿菓子もふわふわしていて好きです。
子供の頃は不思議な食べ物だな~と思っていました。

感覚的なイメージとしての「ふわふわ」は
"疲労やストレスを癒す気持ちの良い存在"
 
ふわふわな "ぬいぐるみ" は心を癒す効果があります。
 
「ぬいぐるみ療法」という心理療法があり
実際にカウンセリングとして使われています。
 
ぬいぐるみを撫でたり、抱いたり、話しかけたり
することによって、心がゆるんであたたかくなります。
 
猫好きな人にとっては
ふわふわな猫を撫でたり、抱いたり、話しかけたり
することによって、心がゆるんであたたかくなります。
 
誰もが“ふわふわしたものが好き”
なのではないでしょうか?
 

ひまわりを描きました。

ひまわりといえば夏のイメージがありますが
秋に咲くひまわりもあるんですね(o^-^o)
ひまわりを見てるとなんだか元気になります。

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