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24/11/20水19:10「ビットコイン1400万円」が示唆する時代の転換点 現物ETF承認にUSDT台頭、さらに「トランプ期待」

2024-11-20 19:09:40 | 米国株

「ビットコイン1400万円」が示唆する時代の転換点現物ETF承認にUSDT台頭、さらに「トランプ期待」西山 祥史 様記事抜粋有料会員限定<

暗号資産の代表格であるビットコインの価格が再び急騰している。11月13日夜に1ビットコイン=1400万円を突破。年初に600万円台だったビットコイン価格は3月に1000万円台を突破した後、値動きに方向感が出にくくなっていたが、年末に向けて活気づきそうだ。

足元の価格急騰はアメリカにおける2つのビッグイベントが起こした。11月5日に投開票となった大統領選でのトランプ氏勝利、11月6~7日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ決定である。市場全体がリスクオンに傾く中、ビットコインは際立った価格上昇を見せている。

トランプ氏は最近、ビットコインに寄り添う姿勢を強調してきた。今年7月、テネシー州ナッシュビルで開催された世界最大級のビットコインのイベントである「Bitcoin 2024」に登壇。アメリカを「ビットコイン超大国」とする計画を公言していた。

年末には1500万円超え?

トランプ氏は次のような公約も打ち出していた。「暗号資産に厳しい規制を行ってきたSEC(証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長の解任」「透明性を重視し、業界全体に恩恵をもたらす規制の設計」などだ。

大統領に再選したら、アメリカ司法省が犯罪者などから押収して保有している約21万ビットコイン(2.7兆円相当)を売却せず、国家戦略的な備蓄に充てる予定だとも話していた。

市場参加者は年末にかけて、さらなる価格上昇の可能性を見込んでいる。ビットコインの民間最大級のオプション取引所「Deribit」における建玉状況の分析によると、12月27日までにビットコインが10万ドル(1500万円超)に到達する確率は34.56%と算出されている。ビットコインは価格変動が大きいことで知られる。一例は「半減期」サイクルだ。

新たに発行されるビットコインの数が約4年に1度半減する半減期。過去、半減期を機に大相場を迎え、その後大暴落に見舞われた。ビットコイン誕生から4回目の半減期は今年4月だった。程度はともかく市場の波乱は今後も起こるだろう。

ただ今年は、これまでとは異なる大きな変化があった。1月11日のアメリカにおける「ビットコイン現物ETFの承認」だ。現物ETFの存在が市場安定の一助となり、個人投資家や機関投資家の双方にとって長期的な投資機会を提供する可能性がある。

ETFは証券取引所などに上場されている投資信託で、個別株と同じように取引できる。ビットコイン現物ETFは、ビットコインを実際に購入しビットコイン相場にETFの価格が連動するように運用される。同ETFを購入すれば、投資家自身がビットコイン現物を持つ必要はなくなる。

アメリカのSECでは賛成5票・反対3票という僅差での承認だった。「現物ビットコインは暗号資産取引所で購入できるため、ETFとしての必要性は欠けるのではないか」という懐疑的な声も当初は聞かれた。

インパクト大だった現物ETF

しかしフタを開けてみれば、2024年に新規上場された約400のETFの中でも、ビットコイン現物ETFが資金流入額のトップ4を独占している状態である。

とくにブラックロックのビットコイン現物ETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」は際立っている。

資金流入額は今年、アメリカの全ETFで3位の270億ドル。純資産額は11月8日時点で330億ドルを超えた。純資産額は、ブラックロックが2005年から提供する金ETFの「iシェアーズ・ゴールド・トラスト(IAU)」をすでに上回った。

暗号資産運用企業Bitwiseのデータも、ビットコイン現物ETFへの資金流入ペースの大きさを物語っている。

ビットコイン現物ETFをまず購入したのは個人投資家だった。ビットコイン購入層は従来の若者中心から一気に全世代へと広がった。

7月以降は伝統的な機関投資家もETFへの投資を本格化した。機関投資家は通常、新しい金融商品に投資する際には6カ月以上のトラックレコードを確認する。7月以降にその慎重姿勢を解いたとみられる

シカゴ市の退職年金基金やジャージー市の年金基金、ウィスコンシン州投資委員会など、従来はビットコインに関与していなかった投資家層が購入を進めた。結果として、ビットコイン購入の主役は個人投資家から機関投資家へとシフトしつつある。

機関投資家の参入はビットコイン価格の安定にも寄与する。ビットコイン現物ETFの普及が進むことで、ビットコインはより一層幅広い層からの支持を集め、さらなる価格の安定と市場の成熟が期待される。

今年起きた市場の変化で、現物ETF承認のほかにもう1つ注目したいものがある。ステーブルコイン(価格の安定性を実現するように設計された暗号資産の一種)の台頭だ。

法定通貨型ステーブルコインは、発行者が法定通貨や債券を裏付け資産として持つことで、その価値が一定に保たれるよう設計されている。代表的なのがテザー社の発行するUSDTだ。1USDT=1ドルとするためにテザー社は主に債券を保有している。

USDTの発行量増加も後押し

USDTの発行総額は1230億ドル(約18.5兆円)。ユーザー数は世界に3.5億人おり、主にビットコインなどの暗号資産の購入、国際送金やクレジットカードのプリペイドチャージ決済などに用いられている。

発行総額は、ステーブルコインが一躍注目を浴びた2019年時点で3億ドルだったが、この5年で大幅に増えている。

時価総額規模はビットコイン、イーサリアムに次いで暗号資産の中で3位。ビットコインとは13倍の差があるが、イーサリアムとは3倍の差となっている

テザー社の2023年の収益は62億ドル(約9300億円)で、世界有数の投資会社であるブラックロックの同年収益55億ドル(約8250億円)を上回った。2024年上半期には、史上最高となる52億ドル(約7800億円)の収益を上げた。

先述したようにテザー社はUSDTの裏付け資産として主に債券を保有している。多くを占めるのはアメリカ財務省短期証券(Tビル)だ。同社はこれらを運用して収益を得ている。

現在、アメリカの利下げ政策に伴い長期金利が上昇し短期金利との差が広がっている。この長短金利差を利用した運用で、テザー社の収益力が一層高まる好循環に入っている。

収益の増加により、テザー社はUSDT発行量をさらに拡大することが可能となっている。世界的にはビットコインを購入する場合、6割以上がステーブルコイン経由だといわれている。

ステーブルコインの代表格がUSDTだ。ビットコインにとってはこれも追い風となっている

 


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