人間は2歳くらいになったばかりだと、まだほんとうのことしか表現しないという。でも、その判断は正解とはいえまい。自分の中には、まだ嘘という言葉も意識も存在しないから、話すことや意識のうえではすべて真実の世界しかないからである。
嘘という意識が芽生えてくるのは何歳くらいからなのだろうか。
満3歳になる頃には、個人差はあるがだいたいの子は嘘がつけるようになるという。その頃のは親やまわりの人を満足させるような嘘がほとんどすべてだという。好きな食べ物の写真や絵を見て、「おいしいですよ~」と言ったり、手の中に何かを包むふりをして、「ママ、あげる」と言ったり。
いわばこの頃の嘘は単なる想像の世界の言葉が多い。
そうこうしているうちに、やがて自分を防御する嘘に変わっていく。そのため、どういう種類の嘘なのかを、まわりの大人たちは慎重に注意して対応しなければならない。
だから一般の大人たちがつく嘘とはまったく種類の違う「ウソ」なのである。以前世間を驚かせた森友学園や加計学園の国会答弁のような、明らかにどちらかが嘘を言っているのとは本質的に訳が違う。最近でも裏金問題など、またまたおかしな答弁は後を絶たない。
どこかの国の議員さんにも教えてあげたいような、幼児の健気な嘘もある。
「つれづれ(152)ほんとうのこと うそのこと」