先日、とある紅葉の地を訪ねた。行き先にはさほどの食事店もないような山の中なので、途中でのコンビニで2個ばかりおにぎりを買い求めた。出かけることの多い時期になるとこういうケースが増えてくる。
ほんとうはおにぎりもコンビニも私はあまり馴染めないのだが、事情が事情なので仕方ないと思いながら目的地へ車を走らせる。
おにぎりはどうして馴染めないのだろうかと考えてみる。やはり、そのうらに機械的なイメージがあるからだろう。
幼少の頃、母が作ってくれたあの丸い感覚の飯とは違って、なんだか人の心が伝わってこない気がする。コンビニ専用のものなのかとさえつい思ってしまう。
昔のおむすびの方がよいなあと思ってしまう。
にぎるというのは片手でもできるけれど、むすぶというのは両手でなければできない。紐からはじまって、物と物。帯をむすぶ、手を結ぶ。
おむすびは完全に右と左、両の手を使って形を作り、ぴったりさせる。
大きくもなく、小さくもなく、姿を作りながら三口くらいで食べられるように。塩加減もあまり強くなく、両手に力を入れすぎずに、そして弱すぎてもご飯が崩れてしまう。そして、心をこめる。
おむすびは手作業で、その作り方でよしあしが変わってくる。大切な日本料理のひとつだと大人になった今でも思っている。
「つれづれ(173)おむすびを2つばかり買って」