あべっちの思いをこめた雑記帳

 観賞用に広く栽培され、多くの品種がある菊。
 大菊·中菊·小菊などの大きさ、黄·白·紅などの色、一重咲き·八重咲きなどの咲き方もさまざま。

 奈良時代の初め頃に中国から渡来したといわれる。旧暦9月9日の重陽の節句に中国では菊酒を飲んで邪気を祓った。のちに日本でもその風習が伝わったらしい。

  菊の香や奈良には古き佛たち
                芭蕉

 菊は桜と並び、日本を代表する花のひとつ。切り花の菊は仏花としてのイメージが定着している。

 菊が皇室の紋章となったのは鎌倉時代の後鳥羽院からのようだ。
十六弁の菊の花を刀剣に刻ませたのが始まりと伝えられているが、明治4年にこの紋章は天皇以外に使用することは禁止となったらしい。

  わがいのち菊にむかひてしづかなる
                水原秋櫻子

 凜としたその美しさは他に類をみない。星見草(ほしみぐさ)、乙女草、形見草、残り草、ちぎり草、よわい草、と別名も豊富だ。

 わが町でも秋となると「菊まつり」としてイベントが行われるが、なんといっても菊人形といえば今月10日から始まった「二本松の菊人形」である。毎年その年の話題の人形が現れるが、今年はいったいどんな人形がお目見えするのだろうか。来月また行ってみることにしている。
 だいぶ昔のことになるが、初めて行ったときには、そのあまりの見事さにびっくりしたものである。

 わが家の菊たちも、今つぼみをたくさんもっている。このまま無事に咲いてくれるだろうと思う。
 こうしてこれらのつぼみを見ていると、早く咲きたい思いをいっぱいにふくらませて、見てもらいたいと菊たちも願っているようにも思える。
 菊も私も、幸せな秋をもうすぐ迎えるのだろう。
 そういえば、その9月9日は孫娘の誕生日でもある。

                          「季節の花(51)菊」

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