またりんごの花がひとひら咲いた。
ここのところ暑かったり寒かったりの繰り返しで、植物も季節を勘違いしているのだろうか。
春に咲く桜や桃や梅。ツツジ、サツキ、そういう花や木が、秋の今のような状態に惑わされたり、初冬の小春日和に季節を間違っていきなり花を咲かせることがある。この時期はずれの開花を帰り花と呼んでいる。
返り花、忘れ花、返り咲き、帰り咲き、狂い咲き、二度咲きと、別名もたくさんある。
だから俳句の世界では冬の季語としている。小春日和は初冬における自然現象だし、11月は冬として扱うので、当然だろうとは思う。
それにしても帰り花とはなんとありがたい現象か。わが家のりんごの花が春と秋に見られるなんて、自然に対し感謝の手を合わす。
そして、帰り花だったら、私もなってみたいと思うご婦人さんはきっとたくさんいらっしゃることだろうと思う。
人の世に花を絶やさず帰り花 鷹羽狩行
「つれづれ(127)帰り花」