マンション入口内には専用のお客様用応接室、打合せ室などが立派な家具で飾られていた。
やがて 指定された階数に到着。
両脇が広い廊下をとうり、やがてお客様の部屋の前に到着。
昨日のお客様の声を思い浮かべながらインターホンを押した。
「山口建設の山口です」
「山口さん、待っていました」
暫くしてドアが開いた。
目の前に現れたお客様は杖で体の半分を支えながら
「どうぞ、此方にお座りください」と部屋の中に案内してくださいました。
体が不自由な様子である。
廊下をとうり、ベランダに面したリビングは広さ16畳。
外からはガラス越しに明かりが入ってきてる。
又、吹き抜けであるので、ベランダに面した上の高さにもうひとつの
ガラス窓からも光が注がれている。
部屋の中には家具は何一つもありません。
がらんどうのリビングにお客様と対面で床に座ってお話が始まりました
「山口さん、聴きづらいと思いましが、私、病気で手術をしました。
腫瘍が頭の中に見つかり、TVでも有名な先生に御願いして手術をしましたが
このとうりの体です。体半分 後遺症で麻痺が残り杖無しで歩くこともできません。
又、顔面麻痺のため言葉もしっかりと話せません。
初めての人は電話では酔っ払っていると思い方がほとんどです。
そして、目が瞬くこともあまりできません。目を開けておくとドライ現象で
乾いて痛くなるのです」
体をよじりながら一生懸命にお話しする彼の言葉にいつの間にか引きづられていました。
時計を見ると1時間たっていました。
その時間も忘れるほど、彼の壮絶な人生への挑戦を話してくれました。
お客様の玄関ドアのインターホーから昨日の声が返ってきた。
「どうぞ、、、」