老婆独言

2024年07月30日 | 日記

老婆独言


この世は 幸福地獄 罪業天国

光のお姿が 影の衣を纏っているように
闇の怪体も 綺羅の光の衣を纏っているものじゃ

人の生というものが 死でもってようやく成るように
死というものも 生の中にこそ 姿を顕すものじゃて

弱肉強食の世の中じゃ
弱肉の者たちの赴く慈国
強食の者たちの行く天獄

金の上に金を積み上げる業つく者の貧しさよ
足らぬを なお施しあう貧しき者の豊かさよ

人さまの目には 哀れみじめに見えようが
世間の業つく者よりは わしゃ豊かじゃわい

わしゃ独りで死ぬが
誰だって死ぬときゃ 一人じゃないかい

心中でもせん限り
不幸な事故にでも 合わん限り
一人で死ぬのが あたりまえ
一人で死ぬのは 好い事じゃ

身体も腐れば 悪臭を放つ
それもしばらくの事
少しは 我慢して下され

骸のお世話は お互いさまじゃ
少しくらいお世話になったとて
バチは当たるまい

こちらは 放っておいてくれたに 
さわりがあるわけも無し
誰も 弔ってもらおうとも 思っておらぬわい

まだ息があろうが無かろうが
わしの骸を汚がり
迷惑がるのは そちらの勝手

嫌なら 川へ流すなり 鳥や獣に喰わせるなり
わしには どうでも好いことじゃ

誰も わしを弔おうと思うて下さるな
経や戒名なんぞ まっぴらじゃ

そちら様の都合は
わしが目に触れなければ好いだけのこと

分かっておるわい
せいぜい わしを哀れと思し召せ
鏡に映る己が姿と気付かずに

己が葬式と墓のために
せいぜい 余生と蓄えた財を費やしなされ
もとめて尽きぬ心の貧しさに
死ぬまで追われて行きなされ

わしゃ 貧しい御仁は嫌いじゃ
老い先短い刻の間を
独りでゆたかに過ごしたい

ひと様の自まん話は 聞きとうない
ひと様の手がら話は 聞きとうない
ひと様のありがたい話は 聞きとうない
ひと様の悩みや心ぱい事は 聞きとうない

わしゃ 貧乏人じゃが
ひと様に 哀れがられる覚えはない

わしゃ もうすぐ死ぬ身じゃ
誰に 覚えておいてくれとも思わぬ身じゃ

 


僕たちの青春は Beatlesと共に始まった

2024年07月23日 | 日記

僕たちの青春は Beatlesと共に始まった


それぞれの人に それぞれの青春がある
それぞれの時代に それぞれの時代の青春がある

僕たちの青春は Beatlesと共に始まった
そして僕たちの青春は Beatlesと共に終わった

僕たちの出合いは Beatlesと共に始まり
そしてその出合いは Beatlesと共に終わった

僕たちは Beatlesだけではないさまざまな音楽を浴びながら
時代の光と影の中に 青春という季節を生きていた
そしてその光と影の中で 青春という季節は過ぎていった

Beatlesが流れていた時代に 青春という季節を過ごせたことは
奇跡のような幸いだった
Beatlesが流れていた時代に 青春という季節を過ごせたことは
歴史の中で 特別のことだった

戦争の時代に 青春という季節を生きた人がいる
戦争に時代に 青春という季節の中で死んでいった人がいる

不況の時代に 青春という季節を生きた人がいる
不況の時代に 青春という季節の中で死んでいった人がいる

今という時代を どう呼べばいいのか 自分には分からない
しかし僕たちが青春を生きた時代より 
幸せではないだろうことに違いはない

今の時代にBeatlesはいない
Beatlesのいない今という時代に 青春という季節を生きる若者たちを
自分は 気の毒に思う

Beatlesが流れていた時代に 青春という季節を過ごせた自分は
奇跡のような幸いだった
Beatlesが流れていた時代に 青春という季節を過ごせた自分は
歴史の中の 特別な光と影の刻に 生きていた

 


腐った世の中

2024年07月15日 | 日記

腐った世の中

こんな腐った世の中で
出世し 金を儲け 成功している 
それだけで
そいつが どれだけ悪い奴なのか
分かろうと言うもの

正しく生きるということは
貧しくしか生きられないという世の中なのだ
ズルしないで生きるということは
出世を望めないという世の中なのだ
悪いことをしないで生きるということは
決してゆたかにはなれないという世の中なのだ

腐った世に在っては 狂人でいよう
腐った世の中に在っては 痴れ者でいよう
腐った世の中に在っては 酔っ払いでいよう
腐った世の中にあっては 隠者でいよう

負け犬と蔑まれようと
腐った世の中の 腐った臭いは我慢がならぬ
負け犬の遠吠えと馬鹿にされようと
腐った連中の 腐った振る舞いには我慢がならぬ

こんな腐った世の中が
ひっくり返らぬわけがない
ひっくり返ったところで
負け犬には関係が無い

賢人ならず 半病人の呆け老人といえど
電灯もテレビを消して  扉を閉め切り
人付き合いも 世間の付き合いもやめて
引き込み生活とやら 
竹林ならぬ  安アパートの陋屋の一室に隠棲していよう 

たとえこのまま死んだとて
誰にも文句は言わせない
腐った世の中の 腐った連中のとがった口先に
とやかく文句は言わせない
孤独死の骸が放つ腐臭より
腐った世の中の 腐った連中が放つ腐臭の方が
俺には 我慢がならぬのだ