A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

クラーク&ボランビッグバンドもサドメル同様ライブでの演奏で本領発揮・・・

2016-01-11 | MY FAVORITE ALBUM
The Kenny Clarke - Francy Boland Big Band Live At Ronnie Scott’s

サドメルがビレッジバンガードで活動を開始したのが1966年2月、丁度同じ頃ヨーロッパで本格的に活動を開始したのがケニークラーク・フランシーボランビッグバンド(CBBB)だ。最初のレコーディングは1963年であったが、ヨーロッパ在住のスタープレーヤーを集めたこのビッグバンドはレギュラー活動をスタートするにはなかなか課題が多かったようだ。

サドメルが一気に評判になったのに刺激を受けたのか、このCBBBも1966年5月ドイツのマインツで初のライブ活動を始めた。1972年3月ニュールンベルグでのラストステージまでの6年間が実質的な活動期間となる。その間ドイツを拠点としていたがヨーロッパ各地で演奏を繰り広げた。

ライブ活動を始めてから2年経ちレギュラーオーケストラとして演奏も脂が乗って調子が上がって来た1968年2月17日から3月1日まで、ロンドンの有名クラブ”Ronnie Scott's Club”に出演した。これまでのライブはコンサートが主体、クラブ出演のように同じ場所で毎晩演奏を続けるのはこれが初めての経験だった。翌年カーメンマクレーとの共演アルバムを作った時も、このロニースコットクラブに出演するためにイギリスに滞在中であった。それも、このライブが好評でこのロニースコットクラブには定期的に出演していたようだ。

古くはカウントベイシーオーケストラが長い巡業から帰り、ホームグラウンドのバードランドに帰ってくるとリラックスした演奏をしていた。サドメルやVJOもホームグラウンドのビレッジバンガードでの演奏が何かしっくりしている。CBBBもこのロニースコットクラブでの演奏は、何かファミリーで演奏を楽しんでいるような感じであったという。もちろん一緒に活動している期間が経つと仲間意識が高まってくるものだ。特に、このクラブのオーナーであるロニースコットは、自身もメンバーの一員として参加し、これまで参加したオーケストラのベストとだと気に入っていたので尚更であったであろう。もちろんここまで育って一番悦に入っていたのは、創設者のジジカンピであったとは思うが。

このCBBBはサドメルと似た所がある。オールスターメンバーを揃えたリハーサルオーケストラとしてスタートし、2人のリーダーに率いられている。全員がソリストとしての実力も十分なメンバーなので、アンサンブルワークに加えソロのウェイトも高い。それを引き出すアレンジもリーダーの役割で、CBBBではフランシーボランが一手に引き受けていた。
サドジョーンズのアレンジは曲によっては繊細さも求めたのに対して、ボランのアレンジはソロの迫力をアンサンブルで増長するようなダイナミックなノリを求めた。昨今のヨーロッパ系のビッグバンドはサドジョーンズやボブブルックマイヤーの影響を受けた演奏が多いが、このCBBBバンドはディジーガレスピーやクインシージョーンズのバンドのようにバップオリエンテッドなDNAを引き継いでいるように思う。

2枚組のアルバムにこのバンドの良さはタップリ収められているが、重厚なサウンドの源泉にはボランのアレンジに加えテナーが3本という編成や、2ドラムというのも大きく影響している。クラブでのライブというリラックスしたノリの良さも、ソロにアンサンブルに十分に伝わってくる。

サドメルのアレンジは今でもプロだけでなく、アマチュアにも広く演奏されているが、このCBBBのレパートリーを演奏するビッグバンドにはなかなかお目に掛かれない。この迫力を出すには、アレンジよりも個々のプレーヤーの技量が大きく左右するのかもしれない。一度生で聴いてみたかったバンドだった。

1. Box 703                Francy Boland 10:40
2. Griff's Groove              Francy Boland 10:10
3. Volcano                   Kenny Clarke 4:30
4. Love Which To No Loved One Permits Excuse For Loving (From The 'Inferno-Suite') Francy Boland 3:20
5. Now Hear My Meanin'              Jimmy Woode 5:40
6. And Thence We Issued Out Again To See The Stars (From The 'Inferno-Suite')  Francy Boland 5:45
7. Rue Chaptal                  Kenny Clarke 4:00
8. I Don't Want Nothin'              Kenny Clarke 3:30
9. Sax No End                  Francy Boland 11:30
10. You Stepped Out Of A Dream           N.H.Brown 3:20
11. Fellini 712 (Blues)               Francy Boland 3:40
12. The Girl & The Turk (From The 'Middle East-East Suite') Francy Boland 6:00
13. Kenny & Kenny (From 'Faces')          Francy Boland 7:00

Kenny Clarke (ds)
Francy Boland (p,arr)
Benny Bailey (tp)
Dusko Goykovich (tp)
Idrees Sulieman (tp)
Tony Fisher (tp)
Erik Van Lier(tb)
Nat Peck (tb)
Ake Persson (tb)
Derek Humble (as)
Johnny Griffin (ts)
Ronnie Scott (ts)
Tony Coe (ts,cl)
Sahib Shihab (bs)
Ron Mathewson (b)
Kenny Clare (ds)

Producer – Chris Whent, Gigi Campi
Engineer – Wolfgang Hirschmann

Recorded Live At Ronnie Scott's Club, 47 Frith street, London W.1. - February 28th 1969

Complete Live Recordings at Ronnie Scott's-Februar
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