The Legendary Tal Farlow
それなりに活躍していたミュージシャンンが第一線を退くと、それぞれ別の人生を歩む。
ジーンハリスはピアノを弾くことは止めなかったが、活動の場所は田舎町のホテルのラウンジであった。ピアノのホッドオブライエンは、コンピューター関係の仕事に就いた。
そして、ギターのタルファーローはニュジャージー州の海沿いの小さな町、Sea Brightでサインペインターとして日々を暮らしていた。ギターを弾くのも地元でセッションに出る位であった。
20歳を過ぎてから初めてギターを手にしたという。最近はスポーツであっても音楽であっても、10代の頃から世界的レベルのプレーヤーとして活躍する者が多い。遅咲きのファーローにとっては、この時代であってもプロとしてギターを生活の糧にすることは最初から念頭に無かったのかもしれない。
このように半ば引退状態であったタルファーローを再び第一線に呼び戻したのは、1976年のコンコルドジャズフェスティバルであった。コンコルドのハウスリズムセクションともいえる、レイブラウンやジェイクハナに加え、昔一緒にコンビを組んだレッドノーボをゲストに迎えてファーローの復帰を祝った。
これをきっかけとして、伝説のギタリストは再び現役復帰し、コンコルドでアルバムを何枚か残した。
現役復帰するとレコーディングだけでなく、ライブやツアーも増える。80年代に入ると国内だけでなくヨーロッパツアーにも出向くようになる。しかし、そこでは自分の好きなように演奏するだけでなく、色々なセッションにゲスト参加する機会も増える。フランスに行くと、ホットクラブのグループにも招かれた。あのジャンゴラインハルトの演奏スタイルを伝承するグループだ。その演奏を聴いたファンは、必ずしもファーローの演奏している姿が楽しげには見えなかったという。
1984年も、自分のグループでヨーロッパツアーを行った。それを終えてすぐに今度は日本ツアーがあった。メインストリームからフュージョンまで毎日のように大きなコンサートが開かれていた当時の状況では、ファーローの来日と言っても大きな話題にならなかった。
実際に演奏する場も、アコースティックジャズフェスティバルとネーミングされ、ファーロー以外にローリンドアルメイダとデニーザイトリンと舞台をシェアした。しかし、メインはザイトリン。ファーローのステージは前座のような扱いであった。
コンコルドのオーナー、カールジェファーソンは、ツアーから戻ったファーローのグループに、ピアノのフランクストラゼリを加えてレコーディングを行った。
タルファーローのアルバムにはホーンが加わったアルバムは少ない。しかし、ツアーからこのレコーディングに至るグループには、サムモストが加わっていた。サムモストはフルートで有名だが、テナーはクールトーン、ウォーンマーシュのようなタイプだ。
他のメンバーとの調和を重んじていたファーローは、このようなタイプのホーンであれば、一緒にやってもいいと思ったのかもしれない。このアルバムでも、全曲に参加している訳でなく、実際の演奏もファーロー中心の演奏に表に出ることなく上手く溶け込んでいる感じだ。
このアルバムで参加したピアノのストラゼリも西海岸を拠点に活動していたベテラン。こちらも全曲に参加している訳でなく、そつない演奏を聴かせてくれる。
このアルバムを最後に、ファーローは再び表舞台から消えてしまう。やはりジャズ界の表舞台の活況の中で、「伝説のギタリスト」として加わることは、ある種の重荷になったのかもしれない。
ファーローにとってのジャズでありギターは、気の合った仲間と、それを聴いてくれるファンに囲まれ、気分よく演奏ができれば良く、無理にその世界を広げる必要が無かったのかもしれない。
結局、このアルバムが最後のアルバムとなり、タイトル通り再び伝説の人となってしまったが。
コンコルドではそれまでジェイムスウィリアムスと組ませたり、色々セッション毎に企画を凝らしたが、カールジェファーソンはその状況を察してか、最後は自分のグループで好きなように演奏させるように指示したように思える。
1. You Stepped Out Of A Dream 4:41
2. When Your Lover Has Gone 4:58
3. I Got It Bad And That Ain’t Good 5:14
4. When Light Are Low 6:45
5. Who Cares 4:16
6. Prelude To A Kiss 5:15
7. Everything Happenaas To Me 4:49
Tal Farlow (g)
Sam Most (ts,fl)
Frank Strazzeri (p)
Bob Maize (b)
Al “Tootie” Heath (ds)
Produced by Frank Dorritie
Engineer : Jim Mooney
Recorded at Sage and Sound, Hollywood, September 1984
Originally released on Concord CJ-266
それなりに活躍していたミュージシャンンが第一線を退くと、それぞれ別の人生を歩む。
ジーンハリスはピアノを弾くことは止めなかったが、活動の場所は田舎町のホテルのラウンジであった。ピアノのホッドオブライエンは、コンピューター関係の仕事に就いた。
そして、ギターのタルファーローはニュジャージー州の海沿いの小さな町、Sea Brightでサインペインターとして日々を暮らしていた。ギターを弾くのも地元でセッションに出る位であった。
20歳を過ぎてから初めてギターを手にしたという。最近はスポーツであっても音楽であっても、10代の頃から世界的レベルのプレーヤーとして活躍する者が多い。遅咲きのファーローにとっては、この時代であってもプロとしてギターを生活の糧にすることは最初から念頭に無かったのかもしれない。
このように半ば引退状態であったタルファーローを再び第一線に呼び戻したのは、1976年のコンコルドジャズフェスティバルであった。コンコルドのハウスリズムセクションともいえる、レイブラウンやジェイクハナに加え、昔一緒にコンビを組んだレッドノーボをゲストに迎えてファーローの復帰を祝った。
これをきっかけとして、伝説のギタリストは再び現役復帰し、コンコルドでアルバムを何枚か残した。
現役復帰するとレコーディングだけでなく、ライブやツアーも増える。80年代に入ると国内だけでなくヨーロッパツアーにも出向くようになる。しかし、そこでは自分の好きなように演奏するだけでなく、色々なセッションにゲスト参加する機会も増える。フランスに行くと、ホットクラブのグループにも招かれた。あのジャンゴラインハルトの演奏スタイルを伝承するグループだ。その演奏を聴いたファンは、必ずしもファーローの演奏している姿が楽しげには見えなかったという。
1984年も、自分のグループでヨーロッパツアーを行った。それを終えてすぐに今度は日本ツアーがあった。メインストリームからフュージョンまで毎日のように大きなコンサートが開かれていた当時の状況では、ファーローの来日と言っても大きな話題にならなかった。
実際に演奏する場も、アコースティックジャズフェスティバルとネーミングされ、ファーロー以外にローリンドアルメイダとデニーザイトリンと舞台をシェアした。しかし、メインはザイトリン。ファーローのステージは前座のような扱いであった。
コンコルドのオーナー、カールジェファーソンは、ツアーから戻ったファーローのグループに、ピアノのフランクストラゼリを加えてレコーディングを行った。
タルファーローのアルバムにはホーンが加わったアルバムは少ない。しかし、ツアーからこのレコーディングに至るグループには、サムモストが加わっていた。サムモストはフルートで有名だが、テナーはクールトーン、ウォーンマーシュのようなタイプだ。
他のメンバーとの調和を重んじていたファーローは、このようなタイプのホーンであれば、一緒にやってもいいと思ったのかもしれない。このアルバムでも、全曲に参加している訳でなく、実際の演奏もファーロー中心の演奏に表に出ることなく上手く溶け込んでいる感じだ。
このアルバムで参加したピアノのストラゼリも西海岸を拠点に活動していたベテラン。こちらも全曲に参加している訳でなく、そつない演奏を聴かせてくれる。
このアルバムを最後に、ファーローは再び表舞台から消えてしまう。やはりジャズ界の表舞台の活況の中で、「伝説のギタリスト」として加わることは、ある種の重荷になったのかもしれない。
ファーローにとってのジャズでありギターは、気の合った仲間と、それを聴いてくれるファンに囲まれ、気分よく演奏ができれば良く、無理にその世界を広げる必要が無かったのかもしれない。
結局、このアルバムが最後のアルバムとなり、タイトル通り再び伝説の人となってしまったが。
コンコルドではそれまでジェイムスウィリアムスと組ませたり、色々セッション毎に企画を凝らしたが、カールジェファーソンはその状況を察してか、最後は自分のグループで好きなように演奏させるように指示したように思える。
1. You Stepped Out Of A Dream 4:41
2. When Your Lover Has Gone 4:58
3. I Got It Bad And That Ain’t Good 5:14
4. When Light Are Low 6:45
5. Who Cares 4:16
6. Prelude To A Kiss 5:15
7. Everything Happenaas To Me 4:49
Tal Farlow (g)
Sam Most (ts,fl)
Frank Strazzeri (p)
Bob Maize (b)
Al “Tootie” Heath (ds)
Produced by Frank Dorritie
Engineer : Jim Mooney
Recorded at Sage and Sound, Hollywood, September 1984
Originally released on Concord CJ-266