In Tradition / Franck Avitabile
歳をとるとなかなか新しいことを覚えるのが大変だ。覚えようとすること自体が億劫になる。それに反して昔の事はつまらない事でも覚えている。ただし、それを思い出すには何かきっかけが必要だ。
最近は、学生時代の仲間と再会して昔話に花を咲かせる機会が多いが、話が盛り上がると次々と昔の記憶が蘇る。どうも新しいことを覚えようとするよりも、昔の記憶を思い出す機会を増やす方が頭の体操には良さそうだ。事実、ボケ防止のためには、昔の書き物や写真を見返すことが大事なようだ。
先日、神保町に行く用事があった。浪人時代、そして会社勤めを始めた頃、毎日通った街だけに、懐かしさもあって行く度に街を一回りする。昔あったジャズ喫茶、響、Smileは無くなって久しいが、今もジャズ喫茶は何軒かある。神保町の交差点近くにあるのがBig Boy。JBL4343が良い音で鳴っている。少し離れたボンディーでカレーを食べた後で寄ってみた。昼休み時間が終わった後で、お客は勤め人というよりは、自分と同じ年代が多かった。一人で来ている者もいれば友人同士で、席はほぼ一杯だった。やはり同世代にはジャズ好きが多いのを実感した。
最初に掛かっていたのは、カーメンマクレーのグレートアメリカンミュージホールでのライブ盤、そしてデイブパイクのパイクスピーク。ここは新しいCDも多いので自分の知らないアルバムが掛かっていることが多いが、知ったアルバムだと何となく落ち着くものだ。
そして、次にかかったアルバムは、バウエル風のピアノトリオ。結構いい音だ。遠目に立てかけてあるCDジャケットに目をやると、デザインは記憶がある。確か持っていたはずだと記憶を辿るが名前が出てこない。席を立って確認しようと思ったが、持っていることを確信して、家に帰ってから確認することに。
さて、自宅のCD棚は、コンボ、ボーカル、ビッグバンド別にABC順に並べてある。数は数えた事はないが、多分3千枚近くはあるだろう。この中から全く名前にあてのないものを探すのは至難の業だが、棚の前に立つと躊躇なく左上のAの場所へ。秋吉敏子やキャノンボールアダレーの見慣れたジャケットに続いて、すぐにお目当てのアルバムが見つかった。名前を確認するとFranck Avitabile。忘れたのではなく、そもそもしっかり覚えていなかった。持っているアルバムもこれ一枚。しかし、ヨーロッパの若手のパウエル風のピアノという記憶と、昼間ビッグボーイで聴いたピアノが頭の中で一致した。
自宅で再びCDをかける。自宅のオーディオもそれなりにいい音はすると思っているが、4343にはかなわない。しかし、パウエル風のバップオリエンテッドのピアノは心地よい、あっと言う間に一枚が終わる。パウエル風というだけでなく、このアルバムはパウエルの曲が大半なのでよりパウエル色が濃い。自分のオリジナル曲を弾く時は少しスタイルが変わる。
ジャケットを見るとますます記憶が蘇る。このアビタビレはミシェルペトルチアーニが育てたピアニスト。ペトルチアーニの兄弟であるベースのルイスと一緒に弾いていたのを聴いて、ぞっこん惚れ込んでこのアルバムを作ることになった。そして、ルイスもこのアルバムには一部参加していることも頭の中にリセットされた。
どうやら、CDやLPの棚卸も、ボケ防止の為の頭の体操には役立ちそうだ。
1. Gettin' There Bud Powell 4:41
2. Tempus Fugit Bud Powell 2:22
3. Topsy Turvy Bud Powell 5:38
4. Time Waits Bud Powell 4:06
5. Celia Bud Powell 3:36
6. Willow Groove Bud Powell 3:11
7. Trois Gros Franck Avitabile 3:06
8. There Will Never Be Another You Mack Gordon / Harry Warren 4:17
9. August in Paris Franck Avitabile 6:32
10. Burt Covers Bud Bud Powell 3:08
11. Wail Bud Powell 2:43
12. Kenny Franck Avitabile 7:29
13. Bud's Bubble Bud Powell 2:49
14. Silence Charlie Haden 4:12
Franck Avitabile (p)
Riccardo Del Fra(b)
Loigi Bonafede (ds)
Louis Petrucciani (b)
Produced by Michel Petrucciani
Engineer : Claude Ernelin
Recoeded at Studio Davout, Paris on 19,20 & 21 January 1988
歳をとるとなかなか新しいことを覚えるのが大変だ。覚えようとすること自体が億劫になる。それに反して昔の事はつまらない事でも覚えている。ただし、それを思い出すには何かきっかけが必要だ。
最近は、学生時代の仲間と再会して昔話に花を咲かせる機会が多いが、話が盛り上がると次々と昔の記憶が蘇る。どうも新しいことを覚えようとするよりも、昔の記憶を思い出す機会を増やす方が頭の体操には良さそうだ。事実、ボケ防止のためには、昔の書き物や写真を見返すことが大事なようだ。
先日、神保町に行く用事があった。浪人時代、そして会社勤めを始めた頃、毎日通った街だけに、懐かしさもあって行く度に街を一回りする。昔あったジャズ喫茶、響、Smileは無くなって久しいが、今もジャズ喫茶は何軒かある。神保町の交差点近くにあるのがBig Boy。JBL4343が良い音で鳴っている。少し離れたボンディーでカレーを食べた後で寄ってみた。昼休み時間が終わった後で、お客は勤め人というよりは、自分と同じ年代が多かった。一人で来ている者もいれば友人同士で、席はほぼ一杯だった。やはり同世代にはジャズ好きが多いのを実感した。
最初に掛かっていたのは、カーメンマクレーのグレートアメリカンミュージホールでのライブ盤、そしてデイブパイクのパイクスピーク。ここは新しいCDも多いので自分の知らないアルバムが掛かっていることが多いが、知ったアルバムだと何となく落ち着くものだ。
そして、次にかかったアルバムは、バウエル風のピアノトリオ。結構いい音だ。遠目に立てかけてあるCDジャケットに目をやると、デザインは記憶がある。確か持っていたはずだと記憶を辿るが名前が出てこない。席を立って確認しようと思ったが、持っていることを確信して、家に帰ってから確認することに。
さて、自宅のCD棚は、コンボ、ボーカル、ビッグバンド別にABC順に並べてある。数は数えた事はないが、多分3千枚近くはあるだろう。この中から全く名前にあてのないものを探すのは至難の業だが、棚の前に立つと躊躇なく左上のAの場所へ。秋吉敏子やキャノンボールアダレーの見慣れたジャケットに続いて、すぐにお目当てのアルバムが見つかった。名前を確認するとFranck Avitabile。忘れたのではなく、そもそもしっかり覚えていなかった。持っているアルバムもこれ一枚。しかし、ヨーロッパの若手のパウエル風のピアノという記憶と、昼間ビッグボーイで聴いたピアノが頭の中で一致した。
自宅で再びCDをかける。自宅のオーディオもそれなりにいい音はすると思っているが、4343にはかなわない。しかし、パウエル風のバップオリエンテッドのピアノは心地よい、あっと言う間に一枚が終わる。パウエル風というだけでなく、このアルバムはパウエルの曲が大半なのでよりパウエル色が濃い。自分のオリジナル曲を弾く時は少しスタイルが変わる。
ジャケットを見るとますます記憶が蘇る。このアビタビレはミシェルペトルチアーニが育てたピアニスト。ペトルチアーニの兄弟であるベースのルイスと一緒に弾いていたのを聴いて、ぞっこん惚れ込んでこのアルバムを作ることになった。そして、ルイスもこのアルバムには一部参加していることも頭の中にリセットされた。
どうやら、CDやLPの棚卸も、ボケ防止の為の頭の体操には役立ちそうだ。
1. Gettin' There Bud Powell 4:41
2. Tempus Fugit Bud Powell 2:22
3. Topsy Turvy Bud Powell 5:38
4. Time Waits Bud Powell 4:06
5. Celia Bud Powell 3:36
6. Willow Groove Bud Powell 3:11
7. Trois Gros Franck Avitabile 3:06
8. There Will Never Be Another You Mack Gordon / Harry Warren 4:17
9. August in Paris Franck Avitabile 6:32
10. Burt Covers Bud Bud Powell 3:08
11. Wail Bud Powell 2:43
12. Kenny Franck Avitabile 7:29
13. Bud's Bubble Bud Powell 2:49
14. Silence Charlie Haden 4:12
Franck Avitabile (p)
Riccardo Del Fra(b)
Loigi Bonafede (ds)
Louis Petrucciani (b)
Produced by Michel Petrucciani
Engineer : Claude Ernelin
Recoeded at Studio Davout, Paris on 19,20 & 21 January 1988
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