A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

日本人の「よく謳う」ピアノといえばこの人が一番・・・・

2014-01-31 | MY FAVORITE ALBUM
Always / Hideaki Yoshioka

コンコルド時代のモンティー・アレキサンダーは、ノリのよい良くスイングするピアノを売りとしていた。ピーターソン似とは言われても、ジャズのピアノの伝統をしっかりと引き継いだプレーヤーであることは間違いない。映画「バード」でもオリジナルのパーカーのバックを務めたのはモンティー・アレキサンダーであった
モダンジャズピアノの祖といえばバドパウエルだが、そういえば最近聴いていない。マニアックな世界に入っていくと、いわゆる名盤に接する時間がどうしても減ってしまう。
今度ゆっくり聴くことにしよう。昔聴き慣れたアルバムにもきっと新たな発見があるだろう。

パウエルを師とするピアニストはたくさんいるが、日本人だとまずは穐吉敏子、そして自分としては忘れられないのが吉岡秀晃。もちろん今でも活躍しているが、自分が知ったのは今から20年以上前。まだ吉岡氏も駆け出しの頃だった。

学校、そして会社の先輩でもある知人に連れられて、先輩の友人のホームパーティーに招かれた。横浜の山手にある大きな家だったが、そこのリビングにかなり多くの人が集まってのホームジャズライブであった。
仲間内では恒例の集まりで毎年のように行われていたが、ミュージシャンの音頭取りはベースの金井英人さん。毎回若手を連れてきてそのホームライブハウスで演奏が行われた。
その時のメンバーで印象に残っているのが、ピアノが吉岡秀晃、そしてギターの宮之上貴明の2人であった。
まだ若い2人であったが、当時からまさにウェス・モンゴメリーとウィントン・ケリーのコンビを思い起こさせるようなエネルギッシュな、そしてよくスイングする演奏に、ただ感激するばかりであった。

そのジャズ好きの先輩とはホームパーティー以外にもよく昼休みに抜け出して会社の近くのジャズ喫茶に行ったものだ。じっくり聴く時は老舗の「響」であったが、おしゃべりの時は気さくなママが一人で切り盛りしていた「SMILE」であった。新宿に移って営業をしていたが、先日その前を通ったらビルには看板が残っていた。まさかと思って中に入ったが店は見当たらなかった。とも枝さんというママだったが元気にしているだろうか。
というのも、その先輩もスポーツマンで体は丈夫だったが、昨年まだこれからという時に亡くなってしまった。久々にお会いした時、「またライブに行こう」と言葉を交わしたのが数年前、もうご一緒できないと思うと心に引っかかるものがある。無理をしてでも予定すればよかったと。

訃報に接した時、思わずこのアルバムを取り出し、昔を思い出しながら冥福を祈った。小難しいジャズよりもひたすらスイングするジャズが好きだったその先輩も好きなピアノであった。自分が中学一年の時からの良き先輩であり、上司であり、そして仲間であったのだが。

さて、このアルバムだが吉岡秀晃の確か2枚目のアルバム。パウエルの伝統を受け継ぐピアノはますます冴えわたるが、もう一つこのアルバムで気に入っているのが日野元彦のドラム。若い頃のひたすら「ぶっ叩く」感じのドラムを好きにはなれなかったが、ここでの演奏は実にスマート。ブラッシングがメインだが、シンバルワークに移っても粒立ちの良いドラミングを聴かせてくれる。先日、ジェームスウィリアムスのアルバムを聴き直した時、アードブレイキーのドラムがミスマッチだなと思ったのだが、このアルバムでは3人のコンビネーションは最高だ。モンティー・アレキサンダーのトリオとはまた違った形で。ピアノトリオでは特に3人の呼吸が合うとより素晴らしいコラボが生まれるものだ。

このアルバムが出てからすでに20年以上経っている。最近ライブには良くいくのだが、吉岡さんのピアノを聴きに行けずじまい。スタイルは変わっていないとは思うが、今度折を見て今のプレーぶりを聴きに行ってみたいと思う。
そのうちにと思っていると、いつの間にか10年経ってしまう月日の流れの速さに最近戸惑っている。

1. Aha、Bud
2. Doing
3. Quiet Message
4. A Man Come Back
5. Casuary
6. Passionate
7, Strange Dance
8, Always

吉岡 秀晃 (P)
坂井 紅介 (B)
日野 元彦 (Ds)

Produced by Tetsu Kobayashi
Engineer : Yasuo Morimoto
Recorded on June 22 & 23 1992 at Onkyo Haus, 1st, Tokyo


ALWAYS
吉岡 秀晃
ファンハウス
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プロモーターとプロデューサーが大事なのは古今東西変わらない・・・

2014-01-30 | MY FAVORITE ALBUM
Standard Songs / Breeze

前回紹介したMonty Alexsanderのアルバムは日本での録音とコメントしたが、クレジットを見ると
Special thanks to Takao Ishizuka : All art promotion の一行が。

この1982年のMonty Alexsanderトリオ来日の仕掛け人はこの人だった。
ジャズのプロモーターとして昔から尽力、活躍され、その後1986年からConcord Jazz Festival in Japanをずっと主催、招聘されてきた方だ。
昨年も、昔から較べると規模は大分小さくなったが、JATP tribute to Noman Granzと銘打って開催された。

各地で色々なコンサートが開かれたが、その一環として昨年5月に東京TUCでジェフ・ハミルトントリオにハリー・アレンとグランド・スチュワートの2テナーが加わったライブがあった。よくスイングするトリオに良く謳う2人のテナーの共演は予想通り楽しいライブであり、満足して帰宅した。
それではJATPの他のステージもと思って出かけてみたが、こちらはお客も少なく今一つのらない残念なステージであった

会場となった東京TUCには、お気に入りの野口久和ビッグバンドが定期的に出演しているが、このバンドの専属コーラスグループがBreezeである。横浜のホテルにもレギュラーで出演し、他にもライブ活動を積極的に行っているが、ビッグバンドと一緒に聴けるのはここだけ。毎回楽しみにしている。

このBreezeの面々が、昨年のジェフハミルトン達のライブが行われた当日東京TUCに来ていた。演奏を聴きに来たのではなく、彼らと一緒に演奏するために。それも実際のステージではなく、開演前の限られた時間で両者の共演の模様を録音するために。
2時間だけ東京TUCの客席が録音スタジオに早変わりしたそうだ。
最初のアルバムを出したのは1997年のFoot Steps
息の長いグループだが、久しぶりのアルバムだ。このメンバーでは初めてのアルバムだそうだ。

限られた2時間の中で、収録できたのは6曲だったが無事にCDになり、先日そのCD発売記念のライブがあった。その時は、ビッグバンドではなく、いつものピアノトリオにオーケストラのメンバーの高橋さんのテナーが加わったカルテットをバックに。
CDに収められた曲だけでなく、新レパートリーのシャイニーストッキングを含めてタップリ2時間のステージ。レギュラーで活動しているコーラスグループは数少ないだけに貴重なライブだった。

という訳で、一般販売はまだ少し先らしいが、そのCDをとりあえず紹介しておく。
和田誠のデザインによるかわいいジャケットで、当日録音された6曲が収められている。
曲はタイトル通りスタンダードばかり。超絶技巧を競うというよりオーソドックスにコーラスの楽しさを味わえる。2時間という制約中でリハーサルもそこそこにという感じだったと思うが、呼吸はピッタリ。普通のボーカルよりも呼吸合わせは難しいそうだが、さすがプロ同士の共演である。

会場がTUCということもあり、録音の機器やセッティングにも制約があったと思う。ハミルトンのドラムなどは少しオフ気味であるが、いつも通い慣れている会場のTUCの再現アルバムと思うとかえって雰囲気がそのままパッケージされていて嬉しい。

さて、この共演がどうやって実現したかというと、始めに紹介した石塚氏の尽力があったからだそうだ。確かに、そうした仲介者がいなければ両者の共演どころかアルバム制作など不可能であったと思う。

ジャズの歴史を辿ると、今でも残っている様々な名演といわれる大部分のアルバムは、それをレコードにするレーベル、プロデューサーが存在した。その存在があったからこそ今でもその演奏を楽しめるというわけだ。
さらにライブの公演を各地で行うにはプロモーターの存在が大きかった。プロモーターがいるからこそ各地で公演が聴ける。逆にプロモーターの不手際によりミュージシャンが路頭に迷う事件も過去には何回もあったようだが。

ところが、最近の自分が接する国内のアルバムを見るとほとんどが自主制作アルバム。あるいはインディーズレーベル。ジャズは元々インディーズとはいえ、これではファンの元に広く世に知らしめ流通させるのは至難の業だ。
最近はネット万能時代なので、個人でやりたければ何でもできるという時代といわれているがそれは限界がある。ミュージシャンが一人でやれるというのは所詮限度があると思う。

やはり、ミュージシャンは演奏に徹し、ファンをその演奏に結び付けるにはプロデューサーとプロモーター、そしてそれを実現するレーベルとライブの場所、さらにはパトロン(スポンサー)が必要なような気がする。
こればかりは、ネット万能時代になっても変わらないはずだ。

今回も石塚氏とTUCの田中氏がいたからこそ実現できたものだと思う。このような繋がりを大事にできるような世の中にするように一ファンとしても応援したいものだ。
ライブハウスでは昔に比べると遥かに多くの演奏が日々行われている。より多くのファンに聴いてもらうために、そして素晴らしい演奏を後世に残せるように。

1. Fly Me to the Moon
2. Gentle Rain
3. My Foolish Heart
4. When You Wish Upon a Star
5. I Git Rhythm
6. Li'l Darlin'

Breeze
Keiko Kosuge (Soprano)
Atsuko Matsumoto (Alto)
Manabu Nakamuara (Tenor)
Takashi Isogai (Baritone)

Harry Allen (ts)
Grant Stewart (ts) track1
Tamir Hendelman (p)
Christoph Luty (b)
Jeff Hamilton (ds)

Produced by Takao Ishizuka
Recorded by Haruki “Hulk” Ito
Recorded on May 29,2013 at Tokyo TUC, Akihabara, Tokyo
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「よく謳うピアノ」といえば、このモンティー・アレキサレンダーもその代表格の一人だ。

2014-01-28 | CONCORD
Triple Treat / Monty Alexander

ジェイムス・ウィリアムスのピアノを久々に堪能したら、コンコルドのアルバムが次もピアノだったので続けていってみることに。タイプは大分違うが。

アメリカのケーキやアイスクリームは甘党の自分でも流石に甘さと量でもてあます。
ジャケットの写真を見るとこのアイスクリームもシングルでも十分そうなのに、ダブル、そしてトリプルとなる果たして食べきれるかどうか・・・。
見ただけで、思わず口の中が甘ったるくなってしまう。

ジャズの世界もこってりしたジャズと、さっぱりしたジャズがある。こってり系の中にはブルースに代表される黒っぽいアーシーな「こってりさ」と、強烈なビート、アクセントの効いたリズムの「こってりさ」がある。さっぱりにもいわゆるクールなトーンと、小気味良い、軽妙なリズムの「さっぱりさ」がある。

さて、お好みは?ということになるが・・・、
自分の好みは基本さっぱりベースにトッピングに濃いこってりした物が適度に、といった感じかもしれない。基本スープがこってり過ぎると大盛りはいらない。聴き続けるのがヘビーになるので。たまには、激辛なども刺激的でいいがいつもだと・・・?
何か、拘りのラーメンのオーダー風になってしまったが、「よく謳う」といっても、その中身は微妙に味付けの違いが出てくるし、個人的な好みにも微妙な違いがあるようだ。
「旨み」にも、とんこつベースと、煮干しベースの違いがあるように。

このモンティー・アレキサンダーはジャマイカの出身、根っこにはラテンの血が流れている。ジャマイカ出身といえばウィントン・ケリーもジャマイカ出身。ケリーの「うたい方」も独特のケリー節があったが、これは自分の好みのタイプでもある。
このモンティーの場合も、大分経験を積んでピーターソンライクから脱却し独自のスタイルを築きつつあったが、果たしてどんな味付けになってきたのか。

コンコルドではこの時すでにアネスティン・アンダーソンのバックを務めたり、レーベルの顔になっていたが、自己のトリオの演奏はこれが3枚目。最初はジェフ・ハミルトンを入れたドラムトリオだったが、前作からハーブ・エリスを入れたギタートリオに変身した。
ドラムレスのギタートリオは、ナットキングコールの時代からよく謳うピアノトリオの代名詞にもなっている。このアルバムで一緒のハーブ・エリスとレイ・ブラウンはそのピーターソンのドラムレスのトリオを組んでいた当事者でもある。

ピーターソンはギターからドラムにトリオを替えたが、モンティーの場合は同じ若手代表のジェフ・ハミルトンのドラムから、ベテランのハーブ・エリスを加えたトリオ編成にしている。さて、これが謳い方にどう作用するか?

メンバーも見ただけで、3人が良く謳う演奏をするのは間違いない。せっかくピーターソンから抜け出そうになったのに、ピーターソンが得意としていた編成に、さらには同じパートナーに脇を固められたら、またピーターソンに戻ってしまうのではと心配にはなるが。

実は、このアルバムは日本での録音。この年来日した3人を大阪で録音したものだ。
確かに興行的には、あのナットキングコールやオスカー・ピーターソンの再来と位置付けた方が成功する。此の頃の日本は大物達の来日ラッシュが続く。何か特徴を付けないと、新人や中堅は位置付けが難しかった。もしかしたらアレキサンダーもキングコール風、ピーターソン擬きに甘んじていたのかもしれない。内容的にもそつなく、よく謳う演奏だが自由奔放に吹っ切れていないものが何かあるような気がする。
このトリオ編成はこの後もしばらく続く。そして、ツアーで世界を廻ることになるが、この時代のモンティー・アレキサンダーのツアー用の標準編成だったということになる。アルバムも、第2作、第3作と続く。コンコルドブランドの商品としてはこのトリオは大成功だったと思う。

自由にアルバム作りができるのがコンコルドの特徴であったが、これだけのアルバム数とライブも世界中で行うようになると、自然とブランドイメージが定着してしまう。したがって、その中での自由度ということは仕方がないとは思うが。それに加え、日本制作という外野の声がもう一つ入るようになると、その意見も取り入れなければならないし・・・。
こだわりの味を売りにしていた個人のラーメン店が多店舗化するとどうしても味の尖がった部分がなくなるのと同じかもしれない。
良くとらえれば、3人が一緒にやる時の味付けは、これしかないということだとも言える。

結局モンティー・アレキサンダーが「自分の歌心」を表面に出した自己のグループも持つようになったのは90年以降、そして現在に至る。

試聴はこちらで、

Monty Alexander Trio - But Not For Me 1982 (Triple Treat Vol.1)



1. (Meet The) Flinstones      Joseph Barbera / Hoyt Curtin / William Hanna 3:01
2. Body and Soul   Frank Eyton / Johnny Green / Edward Heyman / Robert Sour 6:08
3. Small Fry Hoagy        Carmichael / Frank Loesser 3:52
4. When Lights Are Low     Benny Carter / Spencer Williams 6:51
5. Triple Treat Blues      Monty Alexander 6:31
6. Fungi Mama   Dennis Bell / Thomas F. Browne / Blue Mitchell / Claudette Washington 3:47
7. Sweet Lady         Monty Alexander 5:49
8. But Not for Me       George Gershwin / Ira Gershwin 4:56

Monty Alexsander (p)
Ray Brown (b)
Herb Ellis (ds)

Produced by Carl Jefferson & Yoichiro Kikuchi
Recorded at Sound Creation, Osaka, Japan, March 1982
Recording Engineer : Yoshihisa Watanabe

Originally released on Concord CJ-193 (所有盤はCD)





Triple Treat
Monty Alexsander
Concord Records
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コンコルドでの「新主流派」はこのジェームス・ウィリアムスだったかも・・

2014-01-26 | CONCORD
The Arioso Touch / The James Williams Trio

60年代のジャズが行き詰まりを見せ、王道のジャズを演奏していた多くのプレーヤーがアメリカに見切りをつけヨーロッパに渡った。ヨーロッパでは、ジャズはメインストリームだけでなく前衛からトラディショナルまでが分け隔てなく受け入れられていた。国民性の違いなのか、伝統文化を重んじるお国柄の違いなのか。

一方で、アメリカに残ったミュージシャンの中からメインストリームを再び復活させる動きが始まった。単なる昔ながらの懐メロではなく新しい感覚を盛り込んで、これが「新主流派」と命名された。
コマーシャリズムに取り込まれ、ロックに影響され、前衛に引っ張られていたジャズをもう一度真ん中に据え置き直した功績は大きい。これによって、ヨーロッパに一時退避していたミュージシャンもアメリカに戻った。メインストリームのジャズの復活である。
大雑把にはジャズの歴史ではこう語られているが具体的な出来事は山ほどある。今度もう一度スイングジャーナルでも読み返してまだら模様の頭の中を整理してみたいと思う。

メインストリーム復活の道筋も色々あったが、その中でコンコルドはオーナーのカールジェファーソンの好みもあって思い切り時代を遡りバップを超えて中間派といわれたポジションに活動の軸を置いた。したがって、そのカタログの中に「新主流派」といわれる範疇のアルバムはそれまでほとんど皆無に近かった。

しかし、プロデューサーにフランクドリティーが加わって、東海岸での録音が増えてくるとその中に今までとは違う流れが生まれていた。その中の一例がアートブレイキーとジャズメッセンジャーズだ。この頃のメッセンジャーズもウイントンマルサリスなど相変わらず若い強力なメンバーを加えて元気に活動をしていた。

コンコルドではその中から、さらにピアノのジェームス・ウィリアムスが抜擢され、ジャズメッセンジャーズとは別にリーダーアルバムもすでに2枚作られていた。演奏自体もグループとしてもまさに若手による「新主流派」といえるものであった。
それらは同じメッセンジャーズのメンバーであるテナーのビルピアースが加わったカルテットでのアルバムであり、昔からよくある「御大抜き」のサイドメン達によるアルバムといった感じでもあった。

そして、今回はウィリアムス自身のピアノトリオでのアルバム。それに、メンバーがバスターウィリアムスとビリーヒギンズとバックを代えてよりウィリアムス色を強くした。

ピアノの世界で「新主流派」というと多くはビルエバンスの流れを組んでいる。バドパウエルが影響力を持っていた時代は右手のシングルトーンのメロディーと左手のリズムのバランスの上手さを競っていたが、エバンス以降は両手の和音の作り方の妙が前面に出てきた。
このウィリアムスのピアノは丁度その中間のような気がする。

全体は「新主流派」の流れだが、メロディーの作り方が実に上手い。まさに、コンコルドの伝統である分かりやすいいメロディーラインを重んじたプレーだ。かといって、コンコルドのピアノの看板であるデイブマッケンナやロストンプキンスとは同じではなく明らかに違うスタイルだ。コンコルドにもやっと「新主流派」のピアノが生まれたということだろう。


このアルバムを久々に聴き直したが実にしっくり聴けた。
ジェ-ムス・ウィリアムスというと、この後に吹き込まれたMagical Trioの方が有名だが、こちらは共演しているレイブラウンや「元のボス」アートブレイキーに合わせているのか、プレー振りも新しさを控えているような気がする。較べてみると明らかに「新主流派」としても演奏はこのアルバムの方が上を行っている。

タイトルの“Arioso”というのは、クラッシク用語で「よくうたう」という意味らしい。同名のオリジナル曲もあるが、メロディーラインがしっかりした曲で演奏だけでなく曲選び、曲作りもメロディーを大事にしたアルバム全体がタイトル通り「よくうたう」作品だ。このプロデューサーはカールジェファーソン自身、それも影響しているのかもしれない。

あまり有名なアルバムではないと思うが、初期のウィリアムスのアルバムではいいアルバムだと思う。まあ、主流であろうと新主流であろうと、自分はジャンルを問わず「よくうたう」ジャズが好みだが。



1. You'd Be So Nice to Come Home To     Cole Porter  4:44
2. Arioso                   James Williams 5:41
3. Day Dream         Duke Ellington / John Latouche / Billy Strayhorn 5:30
4. Remember                 Irving Berlin 5:34
5. Phineas: The Living Legend         James Williams 4:21
6. I Didn't Know About You          Duke Ellington / Bob Russell 6:22
7. Don't Explain               Billie Holiday / Arthur Herzog, Jr. 5:44
8. Judge for Yourself             James Williams 5:37

James Williams (p)
Buster Williams (b)
Billy Higgins (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recorded at Soundmixers, New York, February 1982

Originally released on Concord CJ-192
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アメリカとキューバの音楽の友好関係を復活させたのは・・・・

2014-01-24 | PEPPER ADAMS
Havana New York / David Amram

先日、Arturo Sandovalが来日して素晴らしいステージを体験させてくれた。
バックのオーケストラに参加した吉田治がサンドヴァルと共演した感想を、「超絶テクニックだが一つ一つの音に意味がある」、「あの絶妙な口の動きがボーカルを含めてあのフレーズを生んでいる」といったようなコメントをしていたが、プロのミュージシャンの耳でも別格のプレーだったようだ。

キューバ出身のサンドヴァルは、結果的にアメリカに亡命して今の彼があるのだが、いつどのようにしてアメリカとの接点が生じたかというと答えはこのアルバムにある。

実は、このアルバムの主役、David Amramという人物を自分は良く知らなかった。

このアムラムは色々な楽器を演奏するマルチプレーヤー、そして演奏だけでなく、作編曲にも秀でたミュージシャン。ジャズだけでなく、クラシックも、そして世界の音楽にも造詣が深い。
本当の意味のマルチタレント。ジャンルに囚われないとんでもないスーパー音楽家ということだろう。

以前どこかの記事で書いたが、ニューヨークに出てきて間もないペッパーアダムスをスタンケントンオーケストラに紹介したのはオスカーペティフォードであった。
そして、アダムスがケントンオーケストラを経て西海岸に居た頃、ペティフォードは自己のアルバム”Oscar Pettiford in HiFi”というアルバムを作っていた。少し大きめの編成にハープとかフレンチホルンなどを加えて厚い響きを聴かせてくれるアルバムだ。
そのフレンチホルンにパートに馴染みのあるジュリアスワトキンスと、もう一人加わっていたのがデビッド・アムラムだ。
そのような無名なプレーヤーは知らなかったし、フレンチホルンなどは所詮おまけのようなもの。その後も気に留めることもなかった。

最初はフレンチホルンがAmramとジャズとの接点であり、ジャズミュージシャンと親交を深めたきっかけのようだが、だんだんと他の楽器に、そして作編曲の世界へと。その後も彼と交流のあったミュージシャンは多いようだ。

ケネディー大統領が在任中の有名なキューバ危機以来国交が断絶していた両国であったが、政治的に対立する国が国交を回復するきっかけはいつの時代にも文化交流からだ。ベニーグッドマンの冷戦時代のモスクワツアーも有名だが、このキューバも同じ。
キューバにアメリカのジャズグループが訪問したのが1977年5月のことであった
。ディジーガレスピー、スタンゲッツ、そしてアールハインなどのグループに、このデビット・アムラムも加わっていた。

さてこのアルバムだが、このグループの演奏とは別に、ステージ上でアムラムがドラムのビリーハートと一緒にキューバのミュージシャン達と共演した演奏が収められている。
この時キューバ側を代表して参加しているのが、また無名のサンドヴァルとアルトのパキートデリベラだ。サンドヴァルはまだこの時28歳。まだまだ発展途上であるが得意のハイノートを聴かせてくれる。

アムラムも、ホルンやピアノだけでなく、フルート、各種パーカッション総動員で本場の彼らに負けずにリズムを刻んでいる。
ラテンミュージックの元祖発祥の地ともいえるキューバとは17年間断絶していたが、こうしてキューバの音楽とアメリカのジャズ界との交流が再開した。この歴史的な場をAmramが作ったともいえるが、1977年5月8日のことであった。

そして、翌月6月には今度はニューヨークに戻って、キューバからリズム隊を招いてHavanaとNew Yorkの友好復活に貢献したガレスピーを称えたライブが行われた。そして、演奏の一部は路上でも行われその模様も収録されている。
その時、ホーンセクションに参加したのがサドジョーンズ以下ジェリーダジオンやペッパーアダムスなどアムラムとは以前から交流があったミュージシャン達でであった。

このAmramは、ペッパーアダムスのアルバムを辿っていくとまた何度となく登場するので少し気にかけておこうと思う。

このアルバムは、否、David Amram自身の活動そのものが、イデオロギーや民族を超えて色々な人の繋がりが集約された国際交流の象徴のように思う。

ペッパーアダムスのソロも聴ける Para Los Papines



1. Havana / New York (For Dizzy Gillespie)
2. Para Los Papines (For the Paoines)
3. Broadway Reunion
4. En Memoria de Chano Pozo

<1~3>
Thad jones (tp,flh)
Pepper Adams (bs)
Jerry Dodgion (as)
Billy Mitchell (ts)
George Barrow (bs)
Alfredo de la Fe (elviolin)
Eddie Gomez (b)
Candido (conga)
Ray Mantilla (per)
Johnny Rodrigez Jr. (bongo)
Nicky Morrero (timbales)
David Amram (Spanish g,p,flute,whistle,French horn,claves,etc,)
Los papines (conga)

Recorded in New York , June 1977

<4>
Arturo Sandoval (tp)
Paquito de Rivera (as)
Oscar Valdes (conga)
Los Papines (conga)
Ray Mantilla (conga)
John Ore (b)
Billy Hart (ds)
David Amram (Spanish g,p,flute,whistle,French horn,claves,etc,)

Recorded live in Havana, Cuba, on May 18 1977


Havana & New York
David Amram
Flying Fish Records
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ドナルドバードとのコンビのライブの合間にテレビに出たアダムスは・・・

2014-01-22 | PEPPER ADAMS
Swing Into Spring / Benny Goodman

ペッパーアダムスの年表を見ると、1959年4月10日に
New York: Benny Goodman Swing Into Spring telecast
とある。
ベニーグッドマンのテレビ番組であることは想像できたが、内容は果たしてどんなものか気にはなっていた。

アメリカのテレビで人気のある“Madmen” という番組がある。3年連続エミー賞をとっている話題作だ。
ちょうどテレビの創世記にアメリカの広告会社を舞台にした番組で、当時のアメリカ文化、ファッションなどがそのまま再現されており、ドラマの内容も素晴らしいが当時の時代背景をビジュアルで見ることができるのも楽しみの一つだ。
ドラマの中でも、グラフィック中心だった広告ビジネスが、新しいメディアのテレビの出現で丁度大きく変化していく頃がドラマの始まりと重なっていて、広告ビジネスの歴史を学ぶのにも最適だ。
ちょうど、このグッドマンの番組もちょうどこの時代の番組オンエアだったのだろう。

世の中情報過多で意識をしていないと何も頭には残らないが、これだけ予備知識を持って意識して情報に接していると普段見過ごしている情報も引っかかるようになる。
この番組は石油大手のTEXACOがスポンサーで、販促用のベニーグッドマンのレコードが作られていたことも、そして、番組の映像も残されていることも分かってきた。
そして、ペッパーアダムスのディスコグラフィーを入手すると、番組の出演者やベニーグッドマンオーケストラのメンバーの詳細まで分かった。そこまで分かると一度は見てみたいと思うものだ。そうしている内に、レコードも映像も入手できた。

このアルバムを聴き、ビデオを見ると何か悶々としていた事が、霧が晴れるようにクリアに脳裏に刻まれる。オーディオ&ビジュアル効果は大きい。
最近ではYoutubeを始めてとしてビジュアルの情報が容易に手に入るようになった。レコードと雑誌だけを頼りに想像の世界を駆け巡っていた時代が懐かしい。

自分は決してコレクターではないが、何か拘りを持って追いかけてみると、自然と獲物を探すための情報を集めだし、潜んでいる獲物を狙って日々徘徊しているコレクターの心境を何となく味わえた気分になった。

さて、まずはこのアルバム自体はグッドマンのそれまで(1941年~1958年)のセクステットとオーケストラの演奏を集めたオムニバスアルバム。スイングジャズ全盛期が過ぎて過去の人となりかかっていたグッドマンの自己紹介アルバムのようなものだ。

番組をきっかけにして各スタンドに集客目的で配布用に作成したのかもしれない。今でもガソリンスタンドで時々プロモーショングッズの配布をやっているが、レコードを配るとはなかなか粋な企画だ。それも世の中で話題になり始めたテレビの特番と連動させるとは。いい時代だったと思う。このLPの中の演奏は過去の演奏なので残念ながらテレビに登場しているペッパーアダムスは参加していない。

では、映像の方はというと、ベニーグッドマンのオーケストラをバックに、歌あり、コンボあり踊りありのショー仕立てしたものだ。ヨーロッパの演奏中心のスタジオライブの映像とは少し異なってアメリカ的な作りだ。

内容は素晴らしい。歌手は、エラとペギーリーがメインだがこの2人の共演も聴ける、
そして、ベニーグッドマンクインテットのメンバーは、ライオネル・ハンプトンにアンドレ・プレヴィンのピアノ、そしてドラムはシェリー・マンが務めている。テレビならではのオールスター編成だ。アンドレ・プレヴィンはこの頃コンテンポラリーから次々とアルバムを出してノリに乗っている時期。ソロもたっぷりと聴ける。

肝心のアダムスはというと、ソロは無いし演奏する姿は画質もアングルも悪くはっきり分かる部分は無いが、ファンとしてはこのようなハレの舞台にスター達と一緒にいて演奏しているのを確認できただけでも嬉しいものだ。

14分位からSwing into Springは始まる(後半はカットされているが)


この後、アダムスはグッドマンオーケストラに加わってツアーに出るが、この番組収録の数日後にリハーサルが行われた。グッドマンのオーケストラにはバスクラのパートがあるが、当時アダムスはバスクラを持っておらず、リハーサルにはボブウィルバーのバスクラを借りて参加していたそうだ。
アダムスも演奏面では八面六臂の活躍をしていたが、金銭面では苦労していた時代である。

1. The Earl
  (Orchestra, September 23, 1953)
2. I’ll Never Say “Never Again” Again
  (Vocal: Helen ward, Orchestra, February 23, 1953)
3. Undecided
  (Sextet, July 30, 1952)
4. Just You, Just Me
  (Orchestra, August 29, 1945)
5. Perfidia
  (Vocal: Helen Forrest, Orchestra, January 28, 1941)
6. Rachel’s Dream
  (Sextet, May 7, 1945)
7. What A Little Moonlight Can Do
  (Vocal: Helen ward, Orchestra, February 23, 1953)
8. Slipped Disc
  (Sextet, February 4, 1945)
9. La Rosita
  (Orchestra, June 11, 1941)
10. Take It
  (Orchestra, March 4, 1941)
11. Swing Into Spring
  (Orchestra, February 25, 1958)
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ジャズミュージシャンに生涯の最高作は?と聞くと・・・果たしていつ頃の作品が。

2014-01-20 | CONCORD
The Woody Herman Orchestra Live At Concord Jazz Festival

ジャズ巨人たちの多くは亡くなる直前まで精力的に活躍していることが多い。
否、最後まで活躍しているからこそ、巨人になれるかもしれないが。
その巨人達に、生涯の最高傑作は?と聞くといつ頃の作品を上げるのであろうか。常に前向きに進んできた彼らにとっては、若い頃の作品は思い出こそあれ、最高傑作というには粗ばかりが目立つのかもしれない。きっと現役でいる限り常に今が最高だと思っているのであろう。

ウディーハーマンという人も、常に前向きに取り組んできた一人だと思う。70年代に一時フュージョン系に走ったが、80年代はまたストレートアヘッドな、本来のハーマンらしさに戻ってきた。奇しくもこのタイミングがConcordに登場するようになったタイミングに一致する。

コンコルドでは、’79年のモンタレージャズフェスティバルの舞台のライブがある(この録音も日本からのレコメンドがあって作られたとか)が、他はスモールグループやジャムセッション物。レギュラーオーケストラのアルバムは今まで無かった。
このアルバムは、オーケストラでのコンコルド初登場といってもいい。

そして、このアルバムのライナーノーツを見ると、ウディーハーマンの言葉で「このアルバムのBigbandのサウンドがこれまでの46年間の中で最高だ」というコメントが記されており、他には何の記載もない。
ハーマンにとっては、生涯の思い出となったアルバムということなのであろう。



70年代のハーマンは必ずしも優雅な隠居生活をおくっていたという訳ではない。
60年代の税金の未払問題を抱え、その返済のために老体に鞭をうちつつ日々バンドを運営しなければならなかった状態であった。だからこそ本人の意思とは別に新しいジャンルにも取り組まざるを得なかったのか。

そのハーマンが、コンコルドに来て水を得た魚のように再び元気になったのは、昔の仲間に囲まれてプレーできるという安心感、そして無理して新しいものに取り組まなくても良いという強迫感からの解放感によるものだったのかもしれない。

そして、このアルバムになる訳だが、このアルバムの一番の特徴は若手メンバーの作曲による新曲に取り組んでいるということだ。それらの作編曲をしているピアノのJohn Oddoはその後ローズマリークルーニーのアルバムでも活躍している。もちろん、コンコルドジャズフェスティバルの舞台ということもあり、スタンゲッツ、アルコーンという昔のフォーブラザースを支えた同僚の参加による曲もある。が、他はナツメロ曲ではなく今の自分達のバンドのプレゼンテーションはコンコルドで初めての機会であった。確かに、メンバー主体にハーマンらしさの本筋を外れず、懐古趣味に走らず新しい曲にチャレンジしたという点では良いアルバムだと思うのだが。

ウディーハーマンの代表作は? と言われると自分では迷ってしまう。
40年代からの作品が多く残っているが全部は聴いていないし、有名なFour Brothers やEarly Autumnもアルバム単位だと?? ライブ物が多いのでこれらも悪くないのだが。
実はアルバムは多いのだが、エリントンやベイシーなどのように、きちんとアルバム単位で作られたものはあまり多くないのが現実だ。

そのような中で自分が印象に残っているのがフィリップスの”Woody Herman 1964“
コンコルドで活躍するジェイクハナがいるし、テナーのサルニスティコ、トロンボーンのフィルウイルソン、そしてトランペットのビルチェイスやピアノのナットピアスなど役者ぞろいだ。ハレルヤタイムのワクワク感がこのアルバムを初めて聞いた時からのお気に入りだ。



たまたま先日、目黒のジャズ喫茶"Hot mama"に立ち寄った時、マスターからこの当時のハーマンオーケストラのビデオを見せてもらった。改めて、この時代のハーマンが自分にとってのフェイバリッツだという事を再認識した。



さて、ハーマンが毎年磨きをかけ続けたバンドの音はこの時が最高かもしれないが、アルバムの出来はというとバンドの音自体は多少荒っぽくとも自分は1964年のバンドに軍配を上げたい。

1. Things Ain't What They Used to Be      Duke Ellington / Mercer Ellington / Ted Persons 4:25
2. Theme in Search of a Movie         John Oddo 4:48
3. Midnight Run                Bill Holman 5:49
4. You Are So Beautiful            Bruce Fisher / Billy Preston 3:20
5. John Brown's Other Body           John Oddo 3:53
6. Especially for You              John Oddo 4:55
7. North Beach Breakdown            John Oddo 5:38
8. The Dolphin                 Luíz Eça 6:00
9. Lemon Drop                  George Wallington 7:34

Stan Getz (ts)
Al Cohn (ts)

Woody Herman (cl,as)

Paul McGinley (ts,fl)
Bill Ross (as,fl)
Randy Russell (ts,fl)
Michael Brignola(bs.bcl)
Brian O'Flaherty (Flh,tp)
Bill Stapleton (Flh,tp)
Scott Wagstaff (Flh,tp)
George Rabbai (Flh,tp)
Mark Lewis (Flh,tp)   
Larry Shunk (tb)
Gene Smith (tb)
John Fedchock (tb)
John Oddo (p,composer,arr.)
Mike Hall (b)
Dave Ratajczak (ds)

Produced by Carl Jefferson
Recording Engineer: Phil Edwards

Recorded live at Concord Jazz Festival, Concord, California on August 15, 1981

Originally released on Concord CJ-191


Live at the Concord Jazz Festival
Woody Hermasn
Concord Records
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若手メンバーのつもりが、いつのまにか皆中堅に・・・・若返り作戦進行中

2014-01-18 | MY FAVORITE ALBUM
A Dedication to Jazz Giants / Masaru Uchibori Big Band

年明け早々ビッグバンドのライブが続く。
Bluenoteに始まり、J-Line、角田健一、内堀勝、そして昨日は923バンド・・と・。
どのバンドもレパートリーが豊富なので何度行っても同じプログラムということはない。
内堀勝のMUビッグバンドは、昨年から定期的にライブを再開しているので何度か聴きに行っているが、アレンジャーの特権か特に持ち曲が多い。毎回何かテーマを持たせた選曲をしてプログラムを構成している。
今回も、第2部は「ベイシー風」ということで、ベイシーレパートリーだけでなく、ベイシー風にアレンジした曲も、そして最後は名曲集になったが、それらは昔シャープスアンドフラッツに書いたアレンジとのこと。

数年前にメンバーを一新しているので今のバンドは若手中心のメンバー。長年山野ビッグバンドコンテストの審査員をしているそうだ。学生時代審査を受けた若者たちが毎年のようにプロ入りするのを見守っているようだが、内堀勝の今のバンドにもその中のメンバーが多いとのこと。

そのMUビッグバンドが若手中心にメンバーチェンジしてから録音されたのがこのアルバム。2011年の録音なので比較的最近のアルバムだ。

アルバムのタイトルは「ジャズの巨人達に捧げる」。よくあるタイトルだが、ここは作曲家としての巨人達へアレンジを捧げたアルバム。
古くはWCハンディーのセントルイスブルースやエリントンナンバーもあるが、ホレスシルバー、フレディーハバードやジョーザビヌルなどのモダンな曲まで。という訳で、よくあるスタンダードのソングブックではなくジャズの巨人たちが残した名曲を厳選している。
そして、アレンジも角田健一と較べるとモダンに、ブルホルマン風の味付けがされたアレンジもある。今回のライブでも、このアルバムからRed Clayなど何曲かが演奏されたが、モダンなサウンドのアレンジだ。メンバーと一緒にアレンジも若返っている。

メンバーの中ではドラムの稲垣貴庸がベテランで大黒柱の役割を果たしている。野口久和、マイクプライス、そして自己のオーケストラなど彼がドラムを務めるバンドは皆安定感があるが、彼のドラミングに因る部分が大きいと思う。
他は若手といっても実は今や皆中堅。リードアルトの萱生昌樹などはリードを務めているバンドが一体幾つあるだろう。今や中堅を卒業して大御所入りかもしれない。

メンバーは若返ったが、お客の方はまだまだ平均年齢が高い。角田健一に較べれば若い層が多かったようだが、先日のJ-Lineに較べるとまだまだ。若いファンにもこのアルバムを聴いてもらって次回はメンバーを若手に一新するたけでなく聴衆も若手で一杯にしたいものだ。
聴き手も若返れば、若返り作戦は大成功だ。

今年も定期的にライブはやるようである。次回を楽しみに。

録音風景はこちらで


1. Satin Doll       Duke Ellington/Billy Strayhorn
2. Strollin’        Horace Silver
3. Red Clay       Freddie Gubbard
4. Airgin        Sonny Rollins
5. The Virgin and The Gypsy Mike Mainieri
6. Young and Fine     Joe Zawinul
7. ‘Round Midnight    Theronious Monk
8. Lover Man       Jimmy Davis
9. St.Louis Blues     William C Handy
10. All The Things You Are Jerome Kern
11. Take The “A” Train    Billy Strayhorn

菅野 浩 (as,ss)
萱生 昌樹 (as,fl)
岡崎 正典 (ts)
吉本 章紘 (ts)
竹村 直哉 (bs)
佐久間 勲 (tp,flh)
田中 充 (tp,flh)
中村 恵介 (tp,flh)
小澤 篤士 (tp,flh)
滝本 尚史 (tb)
五十嵐 誠 (tb)
川原 聖仁 (tb)
高橋 英樹 (btb)
伊賀 拓郎 (p)
芹澤 薫樹 (b)
稲垣 貴庸 (ds)

内堀 勝 (Con Leader)
Arranged By Masaru Uchibori
Produced by Masaru Uchibori
Recorded by Shunroku Hitani
Recorded at Victor Studio, Tokyo on April 26 &27, 2011

A DEDICATION TO JAZZ GIANTS
内堀 勝
MUSAC MUSIC
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イギリスツアー中のスタンケントンの誕生日に・・・・

2014-01-16 | MY FAVORITE ALBUM
Birthday in Britain / Stan Kenton and his Orchestra

ヨーロッパのジャズというと、イタリア、フランス、ドイツ、そして北欧。イギリス出身の渋いミュージシャンは何人かいるが、イギリスとジャズというと何故か縁遠い感じがしてあまり思い浮かばない。
ところがビッグバンドというとイギリスでのライブ物は何枚かある。ベイシーのin London(ところが実際は違うようだが)。ルイベルソンもあったエリントンのバースデイコンサートも・・。
そして、このスタンケントンのアルバムもイギリスでのライブ。

1973年の冬、ケントンはイタリア、スイス、オランダを廻るヨーロッパツアーをやっていて、最後にイギリスを廻り2月19日にノッチンガムに着いた。

ライブに行くと、たまに会場に居合わせた誕生日のお客にHappy Birthdayの歌のプレゼントがある。プロの歌手やミュージシャンからの歌のプレゼントは格別だろう。
ところが、この場は少し違う雰囲気でHappy Birthdayがステージで始まった。

満員の観客に囲まれて、さてこれから演奏がスタートという時、バンドがいきなりHappy Birthdayを奏で始める。それもイントロを少しというのではなく、アレンジを施されたフルバージョンで。
実は、バンドメンバーからケントンへのプレゼントだった。ケントンはキョトンとした表情で「一体いつ練習したんだ?寝てる間に?」と一言。ビルホルマンのアレンジによる立派なバースデープレゼントであった。
(ケントンの誕生日はバイオグラフイーによると12月15日なので、もしかしたら他の誰かかも?)



ケントンオーケストラは昔から新人の鍛錬の場。ペッパーアダムスやメルルイスもそこで鍛えられて一流入りしたが、このヨーロッパツアーも無名の若手のメンバー主体のオーケストラ。ケントンも自分の息子程に年が違うメンバーからのプレゼントは感無量であったと思う。

そして、この若手メンバーの中の一人に、ドラムのピーターアースキンがいた。この時はまだ19歳、インディアナ大学の学生であったが大抜擢されてのツアー参加であった。
もっとも、アースキンは3歳からドラムを始め、6歳からケントンが主催するNational Stage Band Campsに参加していたというので、ケントンが子供の頃から手塩にかけて育ててきたアースキンのヨーロッパデビューをケントン自ら行ったということだったのだろう。アースキンはここでも19歳とは思えないドラミングを聴かせてくれる。

スタンケントンといえば、今週末19日に辰巳哲也のビッグバンドがスタンケントンの特集を東京TUCのライブでやる。日本ではあまり人気がないせいか、ケントンのレパートリーを取り上げるビッグバンドも少ないが、今回は存分にケントンサウンドを聴けそうだ。メンバーは自らリーダーを務める強者揃いに加えて、今回はケントンオーケストラの編成である5tp、5tbの大編成。楽しみに出かけてみようと思う。

丁度19日はジャズ好きの友人の誕生日でもある。このケントンのHappy Birthdayでもプレゼントしてみようか。



1, Happy Birthday to You      Mildred Hill / Patty Smith Hill
2. The Daily Dance         Bill Holman
3. Street of Dreams         Sam M. Lewis / Victor Young
4. Of Space and Time        Hank Levy
5. For Better and for Wors     Willie Maiden
6. No Harmful Slide Effects     Willie Maiden
7. Ambivalence            Hank Levy
8. Blues, Between and Betwix    Hank Levy

Bob Winiker (tp)
Paul Adamson (tp)
Frank Minear (tp)
Dennis Noday (tp)
Mike Snustead (tp)
Dick Shearer (tb)
Phil Herring (tb)
Harvey Coonin (tb)
Lloyd Spoon (tb)
Mike Wallace (tb)
Willie Maiden (sax)
Chris Galuman (sax,fl)
John Park (as)
Roy Reynolds (sax)
Richard Torres (ts)
Stan Kenton (p)
John Worster (b)
Ramon Lopez (per)
Peter Erskine (ds)

Wally Heider Producer& Engineer

Recorded live at Albert Hall Notthingam on February 19,1973
&   at Fairfield Hall, Croydon on February 23,1973

Birthday in Britain
Stan Kenton
Zyx Records
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体で聴くことのできるミュージシャンはそうはいない・・・・

2014-01-15 | MY FAVORITE ALBUM
Trumpet Evolution / Arturo Sandoval

新年早々のライブはエリック宮城率いるブルーノートオールスタービッグバンドであった。昨年のライブは他のライブとかち合って聴くことができなかったので、新年早々楽しみなライブであった。そして、このビッグバンドにビッグなゲストとしてArturo Sandovalが加わっていた。

ゲストが一人加わっただけで、バンド全体の雰囲気ががらりと変わる(締まるといった方がいいかもしれない)ことが多い。
これまでも、角田健一とハリーアレン、バディリッチにピーターアースキン、宮嶋みぎわにダグラスパーヴィアンス、辰巳哲也にカールサンダースなどがあったが、いずれも単なるゲスト以上の共演効果がバンド全体に広まり、いつにも増して素晴らしい演奏になった。
という点では、エリック宮城のトランペットに、同じトランペットのArturo Sandovalが加わると果たしで何が起こるかも期待ができた。

途中でサンドヴァルが加わるとまずはリズムが変わった。サンドヴァル自身ティンパレスで強烈なリズムを叩き出す。いつもは歯切れの良いリズムを叩き出すドラムの岩瀬立飛もサンドヴァルのリズムにけしかけられ圧倒される感じさえした。
当然、そのリズムに乗ってオーケストラ全体も歯切れよく引き締まってくる。オーケストラをバックにしたトランペットも圧巻であった。まるでチューバのような低音からお得意のハイノートまで、トランペットの限界を極める音が縦横無尽に飛び交った。そして、トランペットだけでなく、ヴォーカルからピアノまで相変わらずの多芸ぶりを披露していた。
終わってみれば、ゲストというよりまるでサンドヴァルオーケストラの様相であった。

このサンドヴァルの多芸ぶりを味わうのはやはりライブが一番、生音を聴くだけでも感激物だが、バンドや観客と一体感を作り上げていくステージマナー、そしてバンド全体を鼓舞するためにアクションを含めて、体全体で音作りをしていく様を体験できた。
聴く方も体全体、そして五感全体で楽しめるライブはそうそうあるものではない。

サンドヴァルのアルバムは何枚もあるが、トランペットのショーケスはこのアルバムが一番かも。
キングオリバーからウィントンマルサリスまで、スイング時代のハリージェイムス、モダンのクリフォードブラウン、マイルス、そしてガレスピーなど全部で19名、古今の名トランペットプレーヤーの名曲・名演をカバーしている。全部知っていたら相当のジャズ通だ。
過去の名曲をカバーしたアルバムは他にも山ほどあるが。演奏スタイルまでカバーしたものは特定個人だけならまだしも、百人百様のスタイルの特徴をカバーするとなると、そうそう簡単にはできない。内容は単なる物まねで終わるレベルではない。
それを実際に作り上げてしまうのが、サンドヴァルの凄さであり恐ろしさであろう。新春早々の舞台の興奮をトランペットプレー中心に再度味わうには格好の一枚であり、ジャズトランペットの歴史を一枚で味わえる。
そして、このようなとんでもないアルバムを企画プロデュースできるのは、あのクインシージョーンズだ。

このサンドヴァルはキューバ出身。アメリカに亡命し、今ではアメリカ市民権を得ているが、キューバ危機以来国交を断絶していたキューバからアメリカに来るにはそれなりの苦労があったようだ。



1. Dipper Mouth Blues           King Oliver
2. When It's Sleepy Time Down South    Louis Armstrong
3. At the Jazz Band Ball          Bix Beiderbeck
4. La Virgen de la Macarena        Rafael Mendez
5. I Can't Get Started           Bunny Berigan
6. Concerto for Cootie           Cootie Williams
7. Little Jazz               Roy Eldridge
8. The Man With a Horn          Harry James
9. Manteca                Dizzy Gillespie
10. Tee Pee Time             Clark Terry
11. Coloratura Concerto for Soprano    Timofei Dokshizer
12. Nostalgia              Fat Navarro
13. 'Round Midnight           Miles Davis
14. Maynard Ferguson          Maynard Ferguson
15. My Funny Valentine          Chet Baker
16. Joy Spring              Clifford Brown
17. Concerto in D Major         Maurice Andre
18. Up Jumped Spring           Freddie Hubbard
19. Later                 Wynton Marsalis


Arturo Sandoval (tp,vol)
Mike Gold (cl)
Hank Bredenberg (tb)
Jim Cox (org)
Felipe Lamogolia (ts)
Robert Rodriguez (p)
Denis Marks (b)
Ernesto Simpson (ds)
Big Band Musicians
Conducted by Jerry Hey
Dan Higgins (as,cl)
Greg Huckins (as,basssax)
Bill Liston (ts)
Rusty Higgins (ts)
Joel Peskin (bs)
Charlie Davis (tp)
Gary Grant (tp)
Wayne Bergeron (tp)
Larry Hall (tp)
Charlie Loper (tb)
Amdy Martin (tb)
Steve Holtman (tb)
Bill Reichenbach (tb)
Dick Nash (tb)
Bruce Otto (tb)
Lus Conte (per)
Denis Budmier (g,bjo)

Produced by Arturo Sandoval & Quincy Jones

トランペット・エヴォリューション
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
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ゲッツとベイカー、2人がヨーロッパに渡る前の久しぶりの共演は・・・・

2014-01-13 | MY FAVORITE ALBUM
Stan Meets Chet / Stan Getz & Chet Baker

他人から見ると相性が良さそうに見える2人であっても、実際に付き合ってみると上手くいかない場合がある。似た者同士だとかえってお互いが気になってしまうものなのかも。
ビルエバンスとスタンゲッツの2人もそうであったように、スタンゲッツとチェットベイカーの2人も一緒にやる機会は少なかった。それもかなり期間を空けて。

最初は1953~54年のライブレコーディングが残されている。あの有名なベイカー、マリガンのカルテットの後釜として、マリガンの代わりに加わってヘイグのライブに出演したが長くは続かなかった。マリガン&ベイカーのコンビはマリガン主導かと思ったが、当時はベイカー主導だったのか?ベイカーとマリガンのコンビも有名だが一緒にやっている期間は決して長くはなかったので、別れた後でカルテットのメンバーと引き続きクラブ出演をしたのかもしれない。

そして、晩年では1983年のストックホルムでのライブ。その間実に30年もある、
そして丁度その間はというと、1958年にゲッツがヨーロッパに旅立つ直前に2人の共演アルバムが作られている。
ゲッツは、直前にカル・ジェイダーとのアルバムを作り、そしてこのアルバムを残した直後にヨーロッパに旅立つ。その後3年間はヨーロッパでの生活になるので、一つの区切りとしてこのアルバムが母国への置き土産となった。

一方の、ベイカーの方も、57年は一時マリガンとの再会を果たしたが他にはほとんどアルバムを残していない。
西海岸中心に活動していたベイカーが東海岸にも遠征を始めた頃だが、実はこの57年にはペッパーアダムスと良く一緒にやっていた。アダムスも拠点にしていた西海岸ではもちろんの事、アダムスがファーガソンのオーケストラでニューヨークに行った時など一緒にクラブ出演をしていた。残念ながらその時の演奏は残されていない、もしくはまだ陽の目をみていないようだ。

そして、58年の2月に突然ゲッツとベイカーはこの共演アルバムをVerveに残す。Verveはお馴染みの有名ミュージシャン同士のMeets(VS)シリーズを出していたので、2人の対決は以前から計画の中にはあったのかもしれないが。

しかし、録音された場所はシカゴ。西海岸、東海岸両方から離れ、特に2人の地元でもない。一緒に付き合っているリズムセクションも地元のミュージシャンで、何故か人目を盗むようして作られたような気さえする。この時期2人は麻薬で苦しんでいた時期。必ずしも絶好調の時ではなかったはずだ。

演奏内容は、いわゆるヘッドアレンジの一発物であり、それぞれのソロもたっぷりとられた演奏だが、2人の絡みは大ブローのバトルというよりは、何故かマリガンのカルテットのような2人のコンビネーションも聴かせてくれる。一方で、アップテンポのゲッツは一転ホットな演奏で絶好調。ベイカーも引っ張られている。二人の相性は決して悪くはなさそうなのだが。カルジェイダーと同様、一緒にやりたくともなかなか機会がなかったのかもしれない。



ベイカーの方は、これで自信を取り戻したのか、あるいは吹っ切れたのか、リバーサイドで再度復帰にかける。そして翌年にかけて先日紹介した3枚のアルバムを残して、ゲッツに一年遅れて彼もヨーロッパに渡る。リバーサイドのアルバムに満足したのか、否、不満であったのか、何か決心させるものがあったのだろう。
ちょうど、西海岸から東海岸へ、そしてアメリカからヨーロッパへ、アメリカのミュージシャンが移動を始めた時期。ひとつの節目のエポックメイキングなアルバムとしても貴重な演奏だと思う。2人の活動歴の区切りである同時に、ジャズ界全体が転換を始めた頃だった。

1. Jordu
2. Medley:
Autumn In New York / Embraceable You / What's New -
3. I'll Remember April -
4. Half-Breed Apache

Chet Baker (tp)
Stan Getz (ts)
Jodie Christian (p)
Victor Sproles (b)
Marshall Thompson (ds)

Robert Jordan & Associates Recorders, Chicago, IL, February 16, 1958

スタン・ミーツ・チェット
Stan Getz & Chet Baker
ユニバーサル ミュージック クラシック
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グラミー賞を得るにはそれなりの努力がないと・・・・

2014-01-12 | CONCORD
An Evening with George Shearing & Mel Torme

このアルバムは、1982年のグラミー賞男性ジャズボーカルの部門の受賞アルバムである。
トーメにとっては7度目のノミネートで初の受賞となった。

シアリングにとってはConcordに来て6枚目のアルバムになるが、いつのまにかすっかりConcordの主の一人になっていた。一方の、メルトーメはコンコルド初登場。カーメンマクレーに次いで大物歌手の登場だ。
カーメンマクレーの時も、レーベルへの初登場を迎えたのはジョージシアリングであったが今回もホスト役はジョージシアリングである。
移籍後間もないがこの時すでにカールジェファーソンの全幅の信頼を得ていたのであろう。

そして、このアルバムがグラミーをとるわけだが、やはり単なる顔合わせセッションではない。
ジェファーソンはしっかり策を練っていた。

このライブは、1982年4月15日にサンフランシスコ有数のラグジャリーホテル、マークホプキンスで行われた。よくあるラウンジのライブ演奏ではなく、このホテルの宴会場での演奏だ。日本のホテルでもよく行われるショー仕立てしたものだろう。ジェファーソンは、毎年恒例になっていたMasson Vineyardsの夏のセッションに2人に出てもらいたかったそうだ。このホテルでのライブはその前哨戦であったわけだが、アルバムのタイトルにもしっかりとクレジットされている。大ホールでもなく、会場が騒がしい通常のライブというわけでもなく、まずは適度な広さのライブショーというシチュエーションはこの2人のコラボアルバムにはピッタリだったと思う。

ジェファーソンは、ライブのセッティングだけでなく録音にも気を遣った。この会場は宴会場なので、天井は高いし、壁は堅い、床は厚い絨毯が敷き詰めてあるという場所、いつものスタジオやコンコルドジャズフェスティバルの野外ステージとは全く違う環境。お抱えのエンジニアのフィルエドワーズにしっかりセッティング任せたようだが、会場の雰囲気を含めてちゃんと収録されている。

ジャズを聴き始めた頃、自分はジャズボーカルのアルバムでしっくりくるのはスイングするピアノトリオをバックにしてスキャットを交えてスインギーに歌うものだった。
このアルバムはドラムレス。ベースのブライアントーフはいるものの基本はジョージシアリングとメルトーメの2人のステージを収めたものだ。どうも昔のイメージで、バラードは良いがアップテンポの曲はドラムがないと乗らないのではないかと心配になるが一曲目から心配は無用であった。

スインギーなシアリングのピアノに、トーメのボーカルが絡み、自然とスキャットでコラボが始まる。シアリングのピアノも曲によってタッチが変わる。ある時はベイシー風に。トーメの歌もアップテンポからバラードまでピアノとベースだけのバックでありながら、大編成のバックの時と同様しっかりと歌い上げる。歌の間には、ブライントーフのベースをフィーチャーしたManhattan Homedownも。そして最後のシアリングの十八番のララバイオブバードランドではシアリングのボーカルから始まり、2人のコラボは佳境を迎える。



ライブの演奏というのは一発勝負、やり直しがきかない。レギュラーグループではない3人、その一人一人が強烈な個性を持ち合わせていながら、それぞれの個性を生かしながら観客を巻き込みながら融合していく。お互いのコラボレーションで生みだした新しい成果をアルバムとして残したのはお見事としか言いようがない。

受賞したのはメルトーメのボーカルだが、アルバム自体はジェファーソン以下、シアリング&トーフの二人、そして2人の演奏のみならず会場の雰囲気を上手に収めたエドワーズ、そしてアットホームな場を作ったスポンサーや観客を含めたアルバム制作に関わった多くの人々の成果だと思う。

この成功で、2人はConcordで引き続き共演アルバムを作ることになる。グラミー賞をとるアルバムはやはりそれなりの狙いと努力が結実したものである。どんな実力者であっても今までとは違うインパクトを与えるサムシングが必要であり一朝一夕で生まれるものではない。

1. All God's Chillun Got Rhythm   (Walter Jermann, Gus Kahn, Bronislaw Kaper)   3:37
2. Born to Be Blue1          (Mel Tormé, Bob Wells)   5:15
3. Give Me the Simple Life     (Rube Bloom, Harry Ruby)   3:39
4. Good Morning Heartache     (Dan Fisher, Ervin Drake, Irene Higgenbotham)   6:10
5. Manhattan Hoedown          (Brian Torff)   4:46
6. You'd Be So Nice to Come Home To  (Cole Porter)   2:52
7. A Nightingale Sang in Berkeley Square  (Eric Maschwitz, Manning Sherwin)   5:02
8. Love                (Ralph Blane, Hugh Martin)   4:55
9. It Might as Well Be Spring     (Oscar Hammerstein II, Richard Rodgers)   4:42
10. Lullaby of Birdland        (George Shearing, George David Weiss)   7:32

Mel Tormé  (vol)
George Shearing (p)
Brian Torff (b)

Recorded live at The Peacock Court, Hotel Mark Hopkins, San Francisco
On April 15, 1982

Originally released on Concord CJ-190

Evening With George Shearing & Mel Torme
George Shearing & Mel Torme
Concord Records
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ドナルドバードの有名アルバム”Fuego”・・・これにペッパーアダムスがいないのは何故?

2014-01-10 | PEPPER ADAMS
Fuego / Donald Byrd

ペッパーアダムス関連のアルバムが続くが、話の流れからもう一枚。

ドナルドバードのこのアルバム、昔ジャズ喫茶通いをしていた世代にとってはお馴染みのアルバム。ファンキーな雰囲気を味わうには欠かせないアルバムの一枚だ。
改めてブルーノート時代のドナルドバードのアルバムを追ってみると、それはペッパーアダムスとの双頭コンビの誕生と軌を一にしてスタートした。前作の”Byrd in Hand”に続く3作目になる。しかし、このアルバムには何故かアダムスの名前は無い。

前作を聴き直して、ブルーノートのアルバムとバード&アダムスクインテットの演奏は少し違うのかもしれないと思ったが、このアルバムを聴くとその謎にまたひとつの事実が加わる。

ベニーグッドマンのオーケストラに加わって地方巡業をしていたアダムスがニューヨークに戻ったのは5月14日。28日には久々にバードとのコンビでナイトクルーズのセッションに参加する。その流れで、5月31日に”Byrd in Hand”が録音された。

その後、アダムスは引越しをしたり、陸軍の予備役の除隊手続きをしたりプライベートの用事を片付けて、6月21-22日には前回紹介したチェットベイカーのアルバム作りに参加する。
そして7月末から8月にかけてはワシントンの”The Caverns”に出演する。これはバードとは一緒にではなく単身出向いたようだ。

そして、9月のアダムスの動向に関しては記録が無い。休みをとっていたのか、体調を崩していたのか、それとも別の仕事をしていたのか・・・、事実は分からない。

そして、このアルバムはアダムス抜きで10月4日に録音された。アダムスが何からかの事情で参加できなかったのであればそれは止むを得ないことなのだが・・・・・?

この時代を代表するレーベルはブルーノート、そしてプレスティッジ。今でも全盛期のジャズを楽しませてくれる作品を数多く残している。では、この2つのレーベルの特徴で大きく違うことは? という問いに対して、自分はある事実が印象深く残っている。
もちろんこの2大レーベルに関しては深く聴きこんだファンの方や研究家も多いので、それぞれの作品の違いを説明できる方も多いとは思う。しかし、自分が印象に残っているのはデビットローゼンタールの「ハードバップ」に記されていたジャッキーマクリーンの以下の語りであった。

ナチス体制の下で生きていながら、そのことを知らないでいることを想像して欲しい。そうすればプレスティッジのことも分かるだろう。
こちらから一切を奪って、こちらには何もくれない典型的な会社がプレスティッジだ。彼らに対して数えきれない位演奏しても、かかった経費はすべてミュージシャン持ち。録音技師、ライナーノーツの原稿料、カラー写真までもが。わずかな前金をもらった後、印税の話があったが、最終的に残ったのは5万ドルという負債書だった。

最近の話としては、旨い話にのってフランチャイズ契約をして店を出したが、いくら売上を上げても開業資金の返済と日々の売上の高いマージンを本部に召上げられ、手元にはわずかしか残らないという悪徳商法とプレスティッジの商法は同じだったということだ。

その話を知ると、「プレスティッジにはとりあえず仲間が集まって一丁上がり的なアルバムが多く、玉石混淆だ」といわれる所以も理解できる。モンク、コルトレーン、マイルスなども契約を終え、さっさとやめてしまったというのも、この事実が背景にあったということだそうだ。

一方で、ブルーノートの業績ということで、「ブルーノートはミュージシャンにとって自由に広範囲に実験室のように使えた。そして録音に際してのリハーサルに対してもお金を払った。契約の自由度も高かった。録音のスタジオもアットホームにし、仕事が終わった後、気分がのった後に一気に録音できるように早朝のセッションもあった」、など・・・・ミュージシャンにとっては良いことずくめであった。

しかし、いわゆるブルーノートサウンドといわれる音作りへの拘りは厳しく、ルディーバンゲルダーによる録音の質だけでなく、リハーサルを重ねアンサンブルの出来具合まで完成度を高めたとある。
これはプロデューサー、アルフレッドライオンの拘りであった。そして、最後は自分の納得がいかないと、どんなに良い演奏であってもお蔵入りとなった。後に、カスクーナがブルーノトの未発表アルバムを数多く発掘したのはそのような事情があったということだ。これは、67年にブルーノートがリバティーに売却されるまでの変わらぬ基本路線であった。

この事実と照らし合わせると、この当時のドナルドバードはブルーノートにおいてはポストハードバップとしてファンキー路線を推進することを求められていた一人だったように思う。
とすると、アダムスを外し、ジャッキーマクリーンを起用し、ドナルドバードのオリジナル曲で固めて作られたアルバムの位置づけも合点が行かなくはないのだが。

しかし、このアルバムにおいては、バックのリズムセクションの3人はバード&アダムスのクインテットのレギュラーメンバー、レコーディングのためのメンバーではない。アダムス自体のプレーはスイングからモンクやミンガスまで何でもOKなので、アルバムのトーンがファンキー路線になっても特に問題はないと思う。事実それまではゲストを加えて3管編成でやっていたので、敢えて今回アダムスを外した理由が分からない。
さらに、録音セッションの翌5日からこのメンバーからマクリーンが抜けアダムスに替わって本来のクインテットのメンバーでトロントにツアーに出る。アダムスがこの時期、長期間ニューヨークを離れていたわけではない。抜けた理由が気になる。

クインテットにとっては初のニューヨークを離れての演奏だった。これまでの活動がニューヨークに限られていたのが、やっと全国区になった。これまでが婚約期間とすれば、10月4日のレコーディングは本来であれば2人のクインテットにとっては晴れの結婚式を挙げ、新婚旅行に出かける段取りになっていても不思議はないのだが。
もちろんその後のアルバムではまたアダムスも復帰しているので、あまり深く詮索せずに花嫁が急病で式は影武者が務めたということにしておこう。

アルバムの内容は他でも多くが語られているので説明は不要と思うが、あまりブルーノートのアルバムを数多く持っていない自分にとっては、このファンキーな雰囲気を味わうためにはアダムス抜きでも良く聴くアルバムだ。アダムスが参加していたらさらに良かったのだが。





1. Fuego            Donald Byrd  6:40
2. Bup a Loup         Donald Byrd  4:06
3. Funky Mama         Donald Byrd  11:00
4. Low Life          Donald Byrd  6:03
5. Lament           Donald Byrd  8:28
6. Amen            Donald Byrd  4:46

Donald Byrd (pocket tp)
Jackie McLean (as)
Duke Pearson (p)
Doug Watkins (b)
Lex Humphries (ds)

Recorded at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ, October 4, 1959




Fuego
Donald Byrd
Blue Note Records
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チェットベイカーの2匹目のドジョウは・・・マイフェアレディーで

2014-01-09 | PEPPER ADAMS
Plays The Best Of Lerner And Loewe / Chet Baker

ウェストコーストジャズが下火になると、西海岸で活躍していたプレーヤーもニューヨークに拠点を移すプレーヤーも多かった。ウェストコースト派の代表格であったチェットベイカーもその一人だ。ベイカーがウェストコースト派の中心だったのは50年代の初め、50年代の後半はハードバップに影響されたハードなプレーも模索していた。

しかし、ベイカーの場合は持って生まれたトーンがあるので、いきなりスタイルを変えたいといっても難しかったとは思うが。さらにトーンというものは見た目のイメージも影響する。ベイカーのような優男は、見た目にも繊細な優しいトーンが似合う。特に、若い時のベイカーのイメージは特に。

パシフィックジャズを離れてリバーサイドでのアルバム制作も、ハードなプレーを目指しての一環だったろう。そして一作目の ”In New York” はタイトルを含めて、イーストコーストを意識したアルバムだった。
いきなり黒っぽい演奏も難しかったが相方にジョニーグリフィンを配しジャズテット風の東海岸の香りがするまずまずのできだった。プロデューサーのオリンキープニューズは第2作 ”Chet” をその延長にするかと思ったが、反対にバラード曲を揃えて思い切り元のソフト路線に戻した。やはり、ベイカーには、こっちのサウンドが似合うと思ったのだろう。

当時、実際にどちらのアルバムがリスナーに受けたかは分からないが、第2作はセールス的には大成功だったようだ。この第3作はどちらの路線で行くか当然迷ったであろう。結論は、直前に実績のあるソフト路線を選んだ。

そして、曲は、前作がスタンダード曲だったのに対し、第3作目はラーナー&ロウのソングブック。というより当時の大ヒットミュージカル「マイフェアレディー」の曲を中心に構成されている。スローだけでなく、ミディアムテンポの曲もある。マイフェアレディーは56年の初演から延々6年以上のロングランだったようなので、丁度人気絶頂の時の旬な曲を選んでいる。これで、より一層一般受けを狙ったのかも・・?

バックを務めるのは、前作と同様な編成&メンバーだが、テナーのズートシムスが加わって厚みを出している。今回もペッパーアダムスが加わっているがドナルドバードのアルバムから3週間後、今回は多少白っぽいアダムスを披露している。相変わらずどんな演奏にも対応力がある。
さらに、このアルバムでは、前作に引き続きビルエバンスの参加、フルートのハービーマンの珍しいテナーが聴け、後にサンラやファラオサンダースとプレーしたドラムのクリフォード・ジャービスのまだ10代の初レコーディングなど、話題になる要素がたくさんあるアルバムだ。

オリンキープニュースとしてはリバーサイドでの2匹目のどじょう狙いで前作 ”Chet”の路線継承であった。この後、ベイカーはヨーロッパに渡る。色々試行錯誤はしたが、ニューヨークでの最後のアルバムは結局チェトベイカーの得意技に戻っていた。"On the Street Where You Live"ではアダムスを相手に昔のマリガンとのコンビを思い起こさせるような演奏だ。



1. I've Grown Accustomed to Her Face
2. I Could Have Danced All Night
3. The Heather on the Hill
4. On the Street Where You Live
5. Almost Like Being in Love
6. Thank Heaven for Little Girls
7. I Talk to the Trees
8. Show Me

Chet Baker (tp)
Herbie Mann (fl,ts)
Zoot Sims (ts,as)
Pepper Adams (bs)
Bill Evans (p) <1,2,6,7,8>
Bob Corwin (p) <3,4,5>
Earl May (b)
Clifford Jarvis (ds)

Produced by Orrin Keepnews
Engineer : Roy Friedman
Recorded on July 21 and 22, 1959 at Reeves sound Studio in New York

Plays the Best of Lerner
Chet Baker
Fantasy
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新春はビッグバンドのライブ通いで始まったが・・2日目はJ-Line Jazz Orchestra

2014-01-08 | MY FAVORITE ALBUM
Wish / J-Line Jazz Orchestra

新春早々のライブはエリック宮城率いるブルーノートオースタービッグバンドであった。ゲストのアルトゥーロ・サンドヴァルの迫力と多芸ぶりに、強者揃いのオーケストラの面々も圧倒されたようであったが、これはまた別の機会に。



連日であったが、昨日はJ-Line Jazz Orchestra。
若手のビッグバンドだが、昨年のCD発売記念を兼ねたライブ以来半年ぶりのライブがあった。一人一人のメンバーは色々なビッグバンドでコアメンバーとして活躍していて普段から聴く機会は多いが、皆が揃ってというのはこのような機会しかない。
メンバーには年男(女?)が多いそうだ。若手といってもいつの間にか皆中堅になっている。結成はリーダーの朝里さんが大学生の時、ちょうど2000年だそうなので、すでに14年の歴史があるバンドだ。

普段の長老達に囲まれてのプレーと異なり仲間同士のバンドということもあり、最初の曲からリラックスしてスタート。
自分にとって今日の収穫は2曲目のMoanin’。バリトンサックスをフィーチャーしたミンガスの曲だが、この日の主役は長嶋一樹。バリトン好きとしてはファンの一人。最近は教職についたとかで中々プレーを聴くことができなかったが、この日は久々にこの曲で彼のバリトンを堪能した。
まずはこれで満足。

この後は、昨年発売されたCDからの曲が続く。このオーケストラの特徴はメンバーの面々が作った曲やアレンジを持ち寄って演奏しているところにもある。
ビッグバンドの場合は、過去の有名オーケストラの曲を演奏するレパートリーバンド、リーダーが有名プレーヤーのバンド、そしてアレンジャーが率いるバンドなどが多い。
このような仲間が集まって和気藹藹にというオーケストラはあるようであまりない。曲の雰囲気も田中充の水煙やパレードのように情景描写をテーマにした曲想から鈴木圭のファンク調のBoenathmまで様々。
これが、満足その2。

セカンドステージの最後は各セクションのソロの掛け合いと取り回しで盛り上がって終えたが、これもなかなかGood。アンサンブルワークだけなくソロも皆一流だが、自分たちのバンドでやっているという気楽さが普段よりヒートップしていたようだ。
これが、満足その3.

そして、アンコールの締めとして演奏したのが、おなじみベイシーレパートリーのApril in Paris。古いビッグバンド好きのオジサンには心地よいベイシーサウンドを聴かせてくれた。あのうねる様なねちっこいアンサンブルを聴かせてもらい、そして最後はお馴染みの”One More Time”でフィニッシュ。やはり、締めの一曲はこの手の物がいい。
これが、満足その4。

リーダーの朝里君が、演奏の途中で「今日のライブはマイクを使わない生音ですがいかがですか?」と再三気にしていたが、この東京TUC位の広さであれば十分。最近ここを拠点にしている辰巳哲也さんのバンドも生音だし、あのマンハッタンジャズオーケストラも生音だった。自分はバンドやソロの個性もはっきり出る「生音」肯定派なので、今回のセッティングは大満足。
これが、満足その5.

そして、また新年早々で客の入りが心配だったといっていたが、会場は若い女性中心にほぼ満員。いつもビッグバンドのライブというと老人会の集まりのような会場が多いが久々に客席側も輝いていた。演奏する方も張り合いがあったと思う。若いジャズファン、そしてビッグバンドファンを育ててくれて感謝。
これが、満足その6。

長年このようなバンドを率いて活動し続けられているのも、多分リーダーの朝里君の人柄だろう。次回のライブは夏のようだが、このCDを聴きながら心待ちにしていよう。
次回もきっと何か「満足その7」を与えてくれそうな気がする。
彼の人柄同様、演奏は緊張感がありながら、ほのぼのとした雰囲気のいいオーケストラだと思う。

そうそう、会場の東京TUCでは1月19日に恒例になっている辰巳哲也ビッグバンドのアフタヌーンライブがある。こちらのオーケストラもバンドリーダー達を集めた一流揃いのメンバーだが、今回はスタンケントン特集。普段なかなか聴けないレパートリーを披露してくれるようだ。若いジャズファンにもぜひ聴いてもらいたいライブだ。



1. Shooting Line
2. パレード
3. Fragments
4. Trains
5. Boenathm
6. 水煙
7. El AVE
8. Ballad #3 [For You]
9. Cumulonimbus
10. Workin' Day And Night

朝里 克久 (Leader,btb)
本間 将人、萱生 昌樹、横田 寛之、庵原 良、鈴木 圭、大郷 良和、竹村 直哉、長嶋 一樹 (sax)
中野 雄介、田中 充、中村 恵介、中山 浩佑、高澤 綾 (tp)
石戸谷 斉、東條 あづさ、半田 信英、榎本 裕介 (tb) 
伊藤 志宏、宇関 陽一 (p)
岸 徹至 (b)
能村 亮平 (ds)

Produced by Yoshinari Takegami
Recorded by Takeshi Nakada


Wish
J-Line Jazz Orchestra
Battle Cry Sound
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