A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジャズメッセンジャーズをビッグバンドでやると・・・

2016-12-21 | MY FAVORITE ALBUM
Mosaic / Art Blakey and The Jazz Messengers

どうも有名なアルバム、有名なグループというと散々聴いたような気がして、普段なかなか聴き返すきっかけがない。このアルバムを聴いたのは何年前だろう。LPではなく、CDになってから買い求めたのだから50年ぶりという事はないが、この10年は聴いていなかったような気がする。

聴き返すきっかけとなったのは、先日「ジャズメッセンジャーズをビッグバンドで」といライブがあったからだ。
それを企画したのは羽毛田耕士ビッグバンド。
リーダーの羽毛田氏はトランペットも吹くが、作編曲も本業の内だ。頼まれ仕事ではなく、やはり自分のビッグバンドのための作編曲となると、色々やりたいこともあるだろう。そんな時に、何かひとつテーマを持つというというのも、アルバム作りや、ライブを行う時にはひとつ筋が通っていいかもしれない。

今回のお題は、「ジャズメッセンジャーズ」だった。ジャズ好きでジャズメッセンジャーズを知らないファンはいないと思う。特に、自分のような年寄りファンにおいては。
しかし、コアなJAZZファンにとってメッセンジャーズはどちらかというと入門編。色々聴き込んでレアなミュージシャンやグループ、アルバムを知るようになると、ジャズ通を自認する者でメッセンジャーズをマイフェイバリットに挙げる者は少なくなってしまう。かく言う自分もその一人かもしれない。

ジャズメッセンジャーズというと、2管もしくは3管の分厚いフロント、ブレイキーのダイナミックなドラム、そしてメンバーは常に新進気鋭の新人達。その粗っぽさも魅力だ。
これをビッグバンドに料理するというと自然と興味が湧く。

この時代のドラマーは皆若い頃にはビッグバンドの経験がある。というものの、アートブレイキーのビッグバンドでの演奏というのはあまり聴いた記憶がない。予習を兼ねて、その中の一枚、ブレイキーのベツレヘムのビッグバンドアルバムを出掛ける前に聴き直した。
アレンジはアルコーン、そしてメルバリストン。録音時期は丁度ジャズメッセンジャーズを編成した頃だが、サウンドはけっしてジャズメッセンジャーズのサウンドとは言えない。メルバリストンのアレンジなどは、かえって変化に富んだ凝ったものであるが、ブレイキーのドラムはいつものブレイキーサウンドで響き渡っている。



さて当日、ライブでは珍しく事前にセットリストが配られていた。1部は、羽毛田氏のオリジナルやスタンダードが並ぶ。メッセンジャーズは2部でということだ。
しかし、曲目を見て確かにメッセンジャーズが演奏している曲だが、今一つピンとこない。無意識に結局初期のメッセンジャーズのモーニンやブルースマーチをイメージしていたのかもしれない。

演奏が始まり、羽毛田氏のMCの中でも、選曲の経緯が触れられていた。確かに、メッセンジャーズというとバラードのイメージはわかない。そして、有名な曲はどうしてもオリジナルのイメージや他のカバーと似たようになってしまい、断念したとのことであった。その結果として、今回はメッセンジャーズのアルバムで演奏された曲のソングブック的になってしまったようだ。

このアルバムの中のモザイクも選ばれた曲の一つであった。演奏を聴いてすぐにオリジナルの演奏が思い浮かばなかった。このアルバムを聴き返した後で、もう一度オーケストラの演奏を聴いてみたいと思った。当日とは何か違った印象を受けるかもしれない。

アレンジはどのようなものであっても、ジャズメッセンジャーズのサウンドの原点はやはり、あのブレイキーのドラムのサウンドなのかもしれない。有名なナイヤガラ瀑布だけでなく、ハイハットやリムショット、ブレイキーのドラミングは普通の4ビートとは一味違うリズム感だ。

ジャズのサウンドは譜面通り正確に演奏することだけでは生まれてこない。その意味では、今回のジャズメッセンジャーズソングブックも演奏を繰り返すことによってメッセンジャーズサウンドに醸成されていくのかもしれない。

メンバーが一段と若返った羽毛田耕士ビッグバンドだが、それぞれ個性をもった強者揃い。
ソロにアンサンブルに役不足のメンバーはいない。今後の活躍に期待したい。そのためには、年に何回かのステージではなく、毎週のように演奏できる機会がないと難しいかも、それはファンと一緒に作り上げていくものなのかもしれない。

最後にこのアルバムについて。
1961年10月の録音。この年の1月に来日したジャズメッセンジャーズにはリーモーガンやボビーティモンズがいた。日本でのファンキーブームに火をつけたメッセンジャーズだった。このアルバムでは、メンバーがフレディーハバード、シダーウォルトンに代わっている。カーチスフラーも加わり3管編成となっている。グループのサウンドにショーターの影響が一段と強くなっている。ジャズメッセンジャーズとして進化をした最初のアルバムだが、ブレイキーのドラミングは不変だ。やはりジャズメッセンジャーズサウンドの基盤はブレイキーのドラムということなのだろう。

昔のアルバムを聴き直す時には、やはり何かきっかけがあった方が新たな発見ができるものだ。

1. Mosaic            Cedar Walton 8:13
2. Down Under        Freddie Hubbard 5:29
3. Children of the Night   Wayne Shorter 8:51
4. Arabia           Curtis Fuller 9:10
5. Crisis          Freddie Hubbard 8:33

Freddie Hubbard (tp)
Wayne Shorter (ts)
Curtis Fuller (tb)
Ceder Walton (p)
Jymie Merritt (b)
Art Blakey (ds)

Produced by Alfred Lion
Recording engineer : Rudy Van Gelder、New Jersey
Recorded at Rudy Van Gelder Studio on October 2, 1961

MOSAIC
クリエーター情報なし
Blue Note Records

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