Song For Wes / 宮之上貴昭クヮルテット
プレーを始めた時に影響を受けたミュージシャンというのは必ずいるものだ。それが自分のスタイルの出発点となる。しかし、演奏活動を長く続けていると、他のプレーヤーや環境の変化など色々な影響を得てそのスタイルは変っていく。特に、一時のエレクトリックサウンドの登場や、フュージョンの台頭のようにジャズ界全体が大きな変化を遂げた時、マイルスのようにスタイルを一変させるミュージシャンもいた。
一方で、世の中の変化には目もくれず、自分が出発した時のスタイルをひたすら追求してきたミュージシャンもいる。日本を代表するギタリスト宮之上貴昭もその一人だろう。ウェスモンゴメリーに始まり、いまもそのスタイルを追求し続ける姿勢には感服する。根強いファンが多いのも納得する。
先日、その宮之上貴昭と盟友吉岡秀晃のライブがあった。自分がこの2人の演奏に出会ったのは今から30年以上前。まだ吉岡秀晃がデビューしたての頃であったが、それ以来の2人のファンだ。彼らのライブに行く機会は多くは無かったが、ライブ通いが復活した最近ではよく聴きにいっている。
デビュー以来変わらないウェスモンゴメリーの影響を受けた宮之上のプレーは円熟さに加え最近では迫力も加わっている。それに加えて、この2人のコンビネーションも30年以上の付き合いの安定感と信頼感なのだろ。目と目が合っただけ、そして一音一音がお互いのプレーを刺激し合っているのがライブだと一層伝わってくる。聴いている方も、一人しかめ面をしながら演奏している姿をみるよりも、お互い楽しそうに演奏している姿を見ながら聴ける方が楽しいし、それがライブの醍醐味だ。
この宮之上は自らギター道場やセッションを主催し後進の育成にも力を入れている。門下生が数多く育っているのも喜ばしいことだ。そして、この日のライブにもゲストが一人。セッションに顔を出したという17歳の女子高校生。師匠の演奏を楽しむだけでなく飛び入り参加したが、スタンダードのオールザシングスユーアー、そしてアンコールのパーカーナンバーのオーニソロジーで高校生とは思えない堂々としたプレーを聴かせてくれた。ジャズを聴く若者が少ないと言われる一方で、このような若手が育っているのも嬉しい限りだ。
さて、この宮之上のモンゴメリートリビュートのアルバムは多いが、このアルバムが最初のアルバム。1978年の録音だがこれがデビュー2作目となる。ちょうどその時来日中のフィリージョージョーンズがドラムに加わっているスペシャルセッションだ。大物相手に、メンバー全員をぐいぐい引っ張っている。このアルバムが宮之上の演奏の原点だが今もこのスタイルは引き継がれ、進化させている。
今のグループの橋詰大智のドラムも、バップドラミングをストイックに追い求めているという。彼にとってはこのアルバムのフィリージョージョーンズが師なのだろう。一緒にプレーするメンバーも、このような若手の方がかえってバップスタイルをけれんみの無いプレーで聴かせてくれる。ファンにとってはこの拘りがたまらないのだろう。
デビュー以来常に元気に活動を続けてきた宮之上だが、来月一杯でしばらく演奏活動を休止するという。というのも長年酷使してきた手首の腱鞘炎が悪化し療養のため休まざるを得ないそうだ。その日も吉岡とのコラボで大乗に乗った曲では、その一曲で弦のテューニングが狂ったとか。このプレーぶりを見ると、今まで故障無く来れたのが不思議な位だ。早い演奏活動再開を願うばかりだ。
1. Song For Wes Takaaki Miyanoue 8:30
2. Willow Weep For Me Ann Ronell 3:59
3. Blues For Philly Takaaki Miyanoue 7:02
4. In A Sentimental Mood Duke Ellington 7:43
5. Maki’s Dream Takaaki Miyanoue 8:14
Yoshioka Miyanoue (g)
Naoki Kitajima (p)
Takashi Mizuhashi (b)
Philly Jo Jones (ds)
Produced by Tsuneaki Tone
Engineer : Hatsuro Takanami
Recorded on September 25, 1978
プレーを始めた時に影響を受けたミュージシャンというのは必ずいるものだ。それが自分のスタイルの出発点となる。しかし、演奏活動を長く続けていると、他のプレーヤーや環境の変化など色々な影響を得てそのスタイルは変っていく。特に、一時のエレクトリックサウンドの登場や、フュージョンの台頭のようにジャズ界全体が大きな変化を遂げた時、マイルスのようにスタイルを一変させるミュージシャンもいた。
一方で、世の中の変化には目もくれず、自分が出発した時のスタイルをひたすら追求してきたミュージシャンもいる。日本を代表するギタリスト宮之上貴昭もその一人だろう。ウェスモンゴメリーに始まり、いまもそのスタイルを追求し続ける姿勢には感服する。根強いファンが多いのも納得する。
先日、その宮之上貴昭と盟友吉岡秀晃のライブがあった。自分がこの2人の演奏に出会ったのは今から30年以上前。まだ吉岡秀晃がデビューしたての頃であったが、それ以来の2人のファンだ。彼らのライブに行く機会は多くは無かったが、ライブ通いが復活した最近ではよく聴きにいっている。
デビュー以来変わらないウェスモンゴメリーの影響を受けた宮之上のプレーは円熟さに加え最近では迫力も加わっている。それに加えて、この2人のコンビネーションも30年以上の付き合いの安定感と信頼感なのだろ。目と目が合っただけ、そして一音一音がお互いのプレーを刺激し合っているのがライブだと一層伝わってくる。聴いている方も、一人しかめ面をしながら演奏している姿をみるよりも、お互い楽しそうに演奏している姿を見ながら聴ける方が楽しいし、それがライブの醍醐味だ。
この宮之上は自らギター道場やセッションを主催し後進の育成にも力を入れている。門下生が数多く育っているのも喜ばしいことだ。そして、この日のライブにもゲストが一人。セッションに顔を出したという17歳の女子高校生。師匠の演奏を楽しむだけでなく飛び入り参加したが、スタンダードのオールザシングスユーアー、そしてアンコールのパーカーナンバーのオーニソロジーで高校生とは思えない堂々としたプレーを聴かせてくれた。ジャズを聴く若者が少ないと言われる一方で、このような若手が育っているのも嬉しい限りだ。
さて、この宮之上のモンゴメリートリビュートのアルバムは多いが、このアルバムが最初のアルバム。1978年の録音だがこれがデビュー2作目となる。ちょうどその時来日中のフィリージョージョーンズがドラムに加わっているスペシャルセッションだ。大物相手に、メンバー全員をぐいぐい引っ張っている。このアルバムが宮之上の演奏の原点だが今もこのスタイルは引き継がれ、進化させている。
今のグループの橋詰大智のドラムも、バップドラミングをストイックに追い求めているという。彼にとってはこのアルバムのフィリージョージョーンズが師なのだろう。一緒にプレーするメンバーも、このような若手の方がかえってバップスタイルをけれんみの無いプレーで聴かせてくれる。ファンにとってはこの拘りがたまらないのだろう。
デビュー以来常に元気に活動を続けてきた宮之上だが、来月一杯でしばらく演奏活動を休止するという。というのも長年酷使してきた手首の腱鞘炎が悪化し療養のため休まざるを得ないそうだ。その日も吉岡とのコラボで大乗に乗った曲では、その一曲で弦のテューニングが狂ったとか。このプレーぶりを見ると、今まで故障無く来れたのが不思議な位だ。早い演奏活動再開を願うばかりだ。
1. Song For Wes Takaaki Miyanoue 8:30
2. Willow Weep For Me Ann Ronell 3:59
3. Blues For Philly Takaaki Miyanoue 7:02
4. In A Sentimental Mood Duke Ellington 7:43
5. Maki’s Dream Takaaki Miyanoue 8:14
Yoshioka Miyanoue (g)
Naoki Kitajima (p)
Takashi Mizuhashi (b)
Philly Jo Jones (ds)
Produced by Tsuneaki Tone
Engineer : Hatsuro Takanami
Recorded on September 25, 1978
ソング・フォー・ウェス | |
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キングレコード |
こんばんは。
コメントありがとうございます。
最近はライブ通いが続いています。
今晩は、ロイハーグロープ。
今回はクインテット編成、去年のビッグバンドとはまた違った感じで良かったです。
宮之上さんのカルテットを聴くと、あのウェスの名盤のハーフノートのライブの続編の気分になります。
拘りを持っているベテランの演奏はますます聴き応えがあります。まさに、今が円熟の境地。
早く直して、また地方のファンも楽しませて欲しいものです。
2年ほど前に、長野県飯田市で、宮ノ上さんのライブを聴きましたが、力強いブルージーな音が出ていて、いい演奏でした。すぐにご紹介のこのアルバムを購入しました。
しっかり休養して、また演奏活動を再開されるのを期待したいです。