A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

メイナードファーガソンの過渡期の一枚は果たしてどんな感じで・・・

2015-01-20 | PEPPER ADAMS
Ridin’ High / Maynard Ferguson

手元に、スインジャーナルの‘67年6月号、7月号がある。たまたまアダムスのアルバム紹介で’67年録音が続いており、当時の情報でも何か得ようかとパラパラとめくっていると、瀬川昌久さんのビッグバンドに関する記事「ビッグバンド界の新勢力を探る」が2カ月に渡って掲載されていた。

サドメル、バディリッチ、ドンエリス、ウディーハーマン、ジェラルドウイルソン、そしてクラーク&ボランと当時旗揚げした話題のビッグバンドの紹介がされている。新しいビッグバンドが注目された時期だった。
読み返して面白かったのが、バディリッチがオーケストラを再編した時の逸話。
最初のデビューはラスベガスの新しいホテルであった。この新バンドの売り込み文句は「ロックジャズ」であった。運営を任されたエージェントは、ディスコのティーンネイジャー向けの演奏を希望し、アレンジもそのようなアレンジをオリバーネルソンに依頼した。しかし、リッチはそれに反目し最後はエージェントとの契約を切ったとある。
確かに、リッチの初期のアルバムは、ロック調の曲もあったが、ストレートなフォービートもあり、軸足はそちらに置きながら新しい物を取り込んだように思う。このリッチの拘りがあったから、その後もリッチのビッグバンドは続いたのだろう。

そして、気が付いたのが、その記事の中にメイナードファーガソンの名前が無かった。確かに、ファーガソンビッグバンドのルーレット時代は1965年で終わり、ハイノートを売りにしたコマーシャリズムにのった新たなバンドが生まれたのは70年代になってからだ。60年代の後半は、ファーガソンにとっては変身に向けて端境期であった。内情は、充電期というより、アメリカのジャズ界に嫌気がさして、イギリスへの移住も考えて半ば引退状態だったという。このファーガソンの場合は、リッチとは異なり、70年代に入っての思い切った変身が成功につながったケースだと思う。

一方で、アダムスの活動歴に戻ると、‘67年4月、この月は大忙しだった。サドメルのビレッジバンガードでのライブ録音(これは改めて棚卸したいと思う)があった月だが、前回紹介したバリーハリスのアルバム、ボビーハケットのアルバムを始めとしてレコーディングが続いた。その間隙を縫うようにエルビンジョーンズとのギグも何回か行われていた。
デュークピアソンとハーフノートに出たと思ったら、メイナードファーガソンとのギグも5日間。
そして、翌5月にメイナードファーガソンのオーケストラのこの録音があった。アダムスとファーガソンとの付き合いも56年の西海岸以来だから長い。忙しい毎日であったが、このファーガソンとの付き合いも大事にしていたようだ。

ファーガソンはハーマン同様生涯自分のバンドを率いたイメージはあるが、自分の認識としてもこの60年代後半のアルバムや活動歴はほとんど記憶に無かった。そんな中で作られたアルバムで、今回お初で聴いてみた。流石の瀬川先生も、レギュラーバンドを解散していたので、この期間のファーガソンの活動はノーケアだったのかもしれない。

小振りの編成が多いファーガソンだが、ここではフルのビッグバンド編成。
一曲目から少し意表を突く。チューバの低音が効いたアレンジで、途中からテンポがどんどん速くなったり遅くなったり緩急があり。ソロはフリージャズの様相を呈する。トロンボーンに次いでいきなりアダムスのソロがあるが、アルトとの掛け合いもミンガスビッグバンドのようだ。
これはかなり実験的なアルバムかと思ったら、曲によって雰囲気は変わる。今度はエイトビートが効いたロックスタイル。ここでもアダムスが登場。ドンセベスキーの作品は何となくウォーターメロンマン風。バディリッチのアルバムでも有名なWack-Wackも聴けるが、拍手を効果的に使ってリズミカルに。

全体にファーガソンは自体があまりハイノートで吹きまくっている感じではなく、8ビート時代を迎えて、曲やリズムのバリエーションを試している感じだ。新バンドが誕生するのは大分先になるが、ちょうど転換期のアルバムは、色々なアプローチをした面白いアルバムだった。

1. The Rise and Fall of Seven       Mcintosh 5:52
2. Light Green             Don Piestrup 3:39
3. Kundalini Woman          Hampton 5:23
4. Sunny               Bobby Hebb 3:50
5. Meet a Cheetah           Don Sebesky 4:26
6. Molecules               Hampton 4:36
7. Wack-Wack             Donald Storball 2:48
8. Stan Speaks               Mcintosh 2:32
9. Alfie           Burt Bacharach / Hal David 3:00

Maynard Ferguson  (tp,flh)
Richard Hurwitz (tp)
Natale Pavone  (tp)
Lew Soloff  (tp)
Charles Camillei  (tp)
Slide Hampton  (tb)
James Cleveland  (tb)
George Jeffers  (btb,tuba)
Richard Spencer  (as,ss)
Lew Tabackin  (ts)
Frank A. Vicarr  (ts)
Pepper Adams  (bs)
Danny Bank  (bs,Piccolo)
Michael Abene  (p)
Joseph A. Beck  (g)
Donald R. Payne  (b,eb)
Donald McDonald (ds)
Johnny Pacheco (Congas, Drums, Shaker, Tambourine)

Produced by Alvertis Isbell
Recorded at Bell Sound Studios, New York, May3 & 5, 1967



Ridin High
Maynard Ferguson
Wounded Bird Records

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