A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

長い人生で原点回帰は誰でも一度は経験すること・・・・

2012-03-26 | CONCORD
The Dolphin / The Stan Getz Quartet

人生には大きな節目がいくつかある。若い頃は仕事をしていても前しか見ていない。もちろん途中にはいくつかの挫折や失敗があるが、それを糧としてまた前進あるのみであった。それも個人で出来る範疇であると自然とテリトリーも決まってくるが、大きな組織にいると、その組織のミッションはまた大きなところに設定される。組織の移動や担当変更は大きな転機になった。大変ではあるが、それなりのやりがいも感じる。しかし、自分の本来やりたいこととは違っても、会社の為なら仕方がない。それなりの給料も貰っていたことだし。
自分自身、会社生活ではそのような経験をしてきたが、第一戦を退き常に最前線で戦う必然がなくなると廻りには自分の肌合いに合うものしか置かなくなる。それは、今まで慣れ親しんできたものであり、自分でとって心地よいものだけだ。あれだけ日々追い求めていた、ITの最先端の動向などは今では他人事になってしまった。

スタンゲッツも大きな節目を幾つか経たプレーヤーだ。第一線を走り続けたゲッツは50年代の後半ヨーロッパに渡る。そして再びアメリカに戻った後は、コマーシャリズムに飲み込まれたとはいわれつつもボサノバブームの立役者になった。リッチな生活も出来たであろう。その後、再びストレートなジャズのプレーに戻ったと思ったら、時代の流れに合わせてフュージョンの洗礼も受けた。自分のためなのか、それともレコード会社の都合なのか。何も、そこまでやらなくてもと、思わせるようなプレーもあった。しかし、これはゲッツが本当にやりたかったことなのか?

そして、1981年にゲッツはニューヨークを離れ、サンフランシスコに居を移す。それまでも転機のきっかけ作りにヨーロッパに移り住むことも何度かあったが、この転居もプレースタイルを変えた。今回は何も新しいものを追い求めるわけではなく、それはゲッツの本来の良さを再び取り戻したものであった。
メンバーも、昔の仲間であったピアノのルーレヴィー、ベースのモンティバドウィックで気心の知れた同士。収録もスタジオではなく、地元の有名クラブのキーストンコーナーでのライブ。かけつけた聴衆も昔のゲッツのプレーを心待ちにしていたファンであろう。
演奏の場は整った。そこでのゲッツのプレーは、20年以上タイムスリップしたようなクールではあるが熱っぽく、何かが引っかかるたどたどしさも無く流暢なものだ。
このアルバムを作ったのはConcord。またジェファーソンが大物の復活に一役買うことになった。

コンコルドのアルバムらしく、曲もスタンダード中心に奇をてらうことなく和む演奏だ。この前スコットハミルトンの”Time for love”のストレートなプレーを紹介したが、このゲッツの演奏もgoodだ。2人のテナーの音色の違いが際立つ。

1. The Dolphin             Eca 9:49
2. A Time for Love           Mandel, Webster 6:40
3. Joy Spring              Brown 9:40
4. My Old Flame             Coslow, Johnston 6:36
5. The Night Has a Thousand Eyes     Bernier, Brainin 8:24
6. Close Enough for Love (Themefrom "Agatha") Mandel, Williams 7:07

Stan Getz (ts)
Lou Levy (p)
Monty Budwig (b)
Victor Lewis (ds)

Carl Jefferson Producer
Phil Edwards Engineer
Ron Davis Assistant Engineer
Phil DeLancie Assistant Engineer

Recorded live at Keystone Korner, San Francisco, May 1981

Originally released on Concord CJ-158
(所有盤はCD)

Dolphin
Stan Getz
Concord Records

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