A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

録画視聴と視聴率

2006-08-13 | Weblog
テレビが視聴者にどのように見られているかの指標が「視聴率」。
テレビの普及期である昭和40年代から成熟期の今まで、唯一無二の指標として、この「視聴率」は生き続けています。
内容的には、世帯視聴率(テレビのスイッチが入っているかどうか)から個人視聴率(誰<といっても、男か女か、若者か年寄り程度>が見ているか)に多少は進化してきました。でも、本質は変わっていません。
全体(個人であろうと世帯であろうと)の何%の人が見ているか。これが視聴率です。

テレビの視聴形態がこれだけ多様化しているのに、視聴実態を表す指標が今までの「視聴率」だけでいいのでしょうか?
テレビの録画視聴が当たり前になっているので、前回、「東さん」がコメントしてくれた、「録画率」って、特に必要だと思いますが・・・。
ところが、業界には「録画視聴」を好まない理由があるのです。
その辺りの話を。

「テレビ録画」が我々の生活の中で一般的になったのは、道具としてのビデオテープレコーダー(VTR)が家庭に普及してからです。
家庭用ビデオの市場への導入期には、技術的に異なるVHSとβの2つの陣営に分かれた規格競争の時代もありました。

利用者にとっては、メーカーの規格争いに巻き込まれるのはたまったものではありません。でも、新しい商品が世に出る時は必ずといってもいいほどこの「規格競争」が起こります。規格争いに負けた商品を買った人に、後で誰かが補償してくれたという話は聞いたことがありません。迷惑を蒙るのはいつも我々利用者、何とかなりませんかね。この辺りの話も実は奥が深いのですが、また機会があれば改めて。

そしてVTRの規格は、結果的にVHS陣営が勝利を収め、本格普及段階に入ります。価格も安くなり、各家庭にテレビと同様広く普及しましました。

ハードが普及すると、新たにそれを使った生活習慣が自然に出来てきます。
そして、ハードを使った「サービス」も、新たなビジネスとして生まれてきます。
・VTRカメラで個人でも容易に動画が撮ることができ、
・テレビを簡単に録画でき、
・レンタルビデオなるサービスが現れ、
 
 ・・・・・

他にも、この「VTR」のもたらした我々の生活の利便性や楽しみへの波及効果は大きなものでした。

そもそも、VTRは、映像をテープに録画して保存しておく(いわゆるライブラリー)ことを目的として開発されました。
VTRが世に出る前、オーディオテープレコーダーで同じことが起こりました。レコードをダビングし、FM放送をエアチェックし、カセットテープに自分用のミニライブラリーを作りました。それを持ち歩いて、ラジカセ、ウォークマンやカーステレオで良く聴いたものです。

VTRも、もちろんそのようなライブラリーを作るためにも使いました。
しかし、VTRの普及の段階で、多くの人の使い方は、「見たいテレビ番組を放送時間に見ることができない時、VTRに録画予約しておいて後で見る」ため、になりました。
当然、これは技術者(メーカー)側からすれば、想定内だったと思います。
利用者のニーズが顕在化すれば、機能はどんどん進化します。
録画を便利にする色々な機能がますます充実してきました。
これも、世の常です。

録画視聴は、放送局が放送時間に視聴してもらうことを想定して編成して放送した番組が、全く違う時間に見られるということになります。
通常のテレビ視聴を「リアルタイム視聴」というのに対して、時間をずらして視聴する「タイムシフト視聴」とも言われています。

VTRの普及に伴いテレビ番組の見られ方として、この「タイムシフト視聴」がかなりの割合になっていても、テレビ業界は、この「録画視聴」を視聴率には加算してきませんでした。
本当の意味での視聴率は、「リアルタイム視聴率」に加えて、録画されて視聴された「タイムシフト視聴率」を加えたものが、正しいものであるのは自明の理ですが。

その理由のひとつは、録画視聴(タイムシフト視聴)率を加えなくとも、テレビのリアルタイム視聴率(視聴時間)は、放送局と放送時間が増えることで確実に増え続けていたからです。
録画はおまけでも、リアルタイム視聴率が稼げていれば、商売は安泰だったということです。
もうひとつの理由、そして最大の理由が「録画視聴」される時に、CMがスキップされてしまうことが多いということです。

民間放送は広告で成り立っています。したがって、CMがスキップされて見られないような視聴形態そのものをを認知したくないというのが本音でしょう。
リアルタイム視聴率が減らない限り、録画視聴を無視し続けたいのが実情でしょう。

何事でもそうですが、いずれ分かってしまう問題を先送りして、いい結果になった例はありません。

技術の進化は早く、今ではテープはすでに時代遅れ。DVDとハードディスクレコーダーが主役になっています。単にデジタル化されたということ以上に録画のやり方も格段の進化を見せています。当然、視聴の仕方も、もっと変わるでしょう。

今後は、番組によっては録画視聴が主役になるものもありえます。
携帯電話やカーナビでの1セグ放送受信が一般化するなど、テレビ受像機もいよいよラジオのように持ち運び自由になって場所を選びません。録画された番組がどこでどのように見られるかは、まさに生活者の知恵で無限の可能性があります。

手遅れにならないうちに録画視聴率も加味した、新たな「視聴率」自体の定義の見直しと、「視聴率」に依存しすぎたテレビビジネスのルールの見直しをしないと、テレビ広告のスポンサーがいなくなって、テレビをタダで見ることができなくなってしまうかもしれません。

我々、視聴者にとっては、それが一番問題です。
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