野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

環境への影響を理由に風力発電計画の中止相次ぐ!

2023-03-17 09:21:55 | 日記

北海道・東北・中部地方で、風力発電計画が昨年(2022年)相次いで中止になっています。自然保護団体からの中止要請に加え、地元の問題意識の高まりが事業者に影響を与えているようです。

【北海道伊達市と千歳市、宮城県川崎町と山形市のケース】

2022年7月29日付、関西電力が発表した「事業の廃止通知書」です。                                 「当社は北海道伊達市・千歳市および宮城県川崎町の2地点において検討を進めてきた陸上風力発電事業について、事業を実施しないこととし、第1種事業の廃止等通知書を提出することとしました。~中略~本事業計画については、地域の皆さまのご意見を踏まえ、計画の見直しを検討した結果、環境への配慮と事業性の両立が難しいと判断したことから、事業を実施しないこととしました。」<計画事業規模>北海道伊達市・千歳市:最大19基 宮城県川崎町・山形市:最大23基

 この計画が自然環境に無配慮だったのは、まずは支笏洞爺国立公園や蔵王国定公園に計画地がかかっていたことです。良好な自然環境・景観を何とも思わない計画に対して、北海道伊達・大滝区の地元住民はこの1年前に計画反対のための団体を設立し、反対署名を集める活動を始めていました。自然保護団体からも、イヌワシ、クマタカ(共に種の保存法指定種)への影響、さらに渡り鳥の飛翔経路にある事。また、工事用道路建設に伴う森林伐採の危険性と国立公園内の景観損傷を訴えていました。北海道環境影響評価審議会においても、計画が国立公園内に含まれていることや、保安林への配慮を欠く点が指摘されていました。

 宮城県川崎町では、蔵王の「御釜」からの眺望など景観への悪影響は避けられず、予定地が国定公園にかかっていたことも含め、県の審査会からも厳しい批判が上がりました。関西電力は国定公園内への建設をあきらめ、風車を23基から19基に削減しましたが、それでも批判を受けたため、さらに削減することにしたが、県の審査会からは、「御釜」から風車が一切見えない配置も求められ、計画は事実上行き詰まりました。地元住民からの反対意見書も、川崎町に寄せられただけでも3700人分に上っていました。地元住民の方は、「関電は僕らが蔵王に対して思っている気持ち自体を勉強していなかったのかなと思いました。」と。

(写真)蔵王国定公園「御釜」(引用:山形県公式観光サイト「やまがたへの旅」より

 このような素晴らしい自然景観に配慮しない風力発電事業って、何なのでしょうか。事業者は初めから反発があることを予想していたでしょうが、予想以上の反発に、計画を発表してわずか2ヵ月で撤回する異例の展開になったようです。費用も手間もかからないうちに、撤回した方が得策と計算したのかもしれません。地元住民の皆さんに心配させるだけさせて、不利となればさっさと引き上げるなんて、SDGを掲げる大企業がすることでしょうか。

 陸上での風力発電事業は、風況のいい山の尾根沿いに計画されることが多いようですが、山中での建設は工事用車両のための道路建設工事において、森林の伐採を伴います。現在多くの計画がある宮城県では、2019年の東日本台風で土砂災害が起きた丸森町をはじめ、計画が実現すればまた土砂災害が起きかねないと住民が反発しているようです。

 宮城県知事は「地元の同意(を求める仕組み)というものが本当はあるべきではないかと思いますね。関電さんがこのような(中止の)申し出をせずに強引に進めようとすれば、進めることはできるんです。そこが法律の欠陥ではないかなと私は思います。」

 県知事の問題提起はまさにそのとおりです。これを一県知事のコメントに留まることなく、風車がすでに稼働中であり、計画がある自治体が足並み揃えて、適正な風力発電事業促進になることを政府に求め、地元住民と事業者、時には自治体相手に紛糾する事態を避けなければなりません。(確かこの国のトップは“国民の声を聞く”と声高に言ってましたね)

 それにしても関電の幹部は「地域の信頼無くしては事業は実施できないと考えた」と、川﨑町の町長に述べたようですが、北海道伊達市・千歳市の計画も合わせて、そもそも地域の信頼を得ることができる計画と思っていたのでしょうか。

 「環境にやさしい自然エネルギー」を謳い文句にする風力発電ですが、住民を翻弄し、自然環境や景観に悪影響を及ぼし、野生生物に犠牲を強いる自然エネルギーって、そんなことだったのかと、またまたあらためて実感です。

 

 

 



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