Wild bird habitat is becoming more and more difficult.
生きものにやさしくない国になってしまったのか
Has Japan become less wildlife-friendly?
翻弄される野鳥たちと、その生息環境
Wild birds at the mercy of development.
北九州市若松区沖の響灘で工事が進む洋上風力発電(25基)に対して、海鳥たちに与える影響を何とか軽減しなければと思っている現在ですが、さらに響灘の別の海域では洋上風力発電促進区域指定に向けて動いています。また、北九州市内の貴重な野鳥生息地は、産業用地開発エリアに巻き込まれようとしています。野鳥をシンボルとする自然環境は、まさに四面楚歌(助けがなく、まわりが敵や反対者ばかり)の状況と言えます。風力発電に気を取られている間も、野鳥たちの生息環境はますます悪化の一途のようです。
福岡県響灘沖洋上風力発電促進区域の動き
Movement to Promote Offshore Wind Power Generation off Hibikinada, Fukuoka Prefecture.
数年前、北九州市は国の補助金を得て、響灘洋上風力発電のゾーニングにトライしました。宗像市、岡垣町、芦屋町、北九州市の沖合の海域です。生息する鳥類などの生息調査も行い(この調査データは貴重なものですが)、近隣市町や各漁協、野鳥保護団体との協議の結果、一次スクリーニング(風車の設置困難区域)の図は作成されましたが、ゾーニングマップ作成には至りませんでした。「世界文化遺産沖ノ島」を有する宗像市からは、「沖ノ島を望む広い海域から風車が見えないこと」。さらに芦屋の航空自衛隊からは、「緊急時の海上低空飛行の支障にならないこと、レーダーに影響がないこと」と釘を刺されたことがゾーニングマップができなかった理由のひとつではなかったかと思っています。残念ながら野鳥への影響は論外だったでしょうか。そのような経過のあったゾーニングのトライでしたが、今思えば、洋上風力発電促進区域指定の準備をしていたのでしょうか。
この海域は近い距離で沖合7~8㎞、遠くは13~14km、東西14kmにも及びます。私たちは生息する鳥類などの調査データなどを探し、準備を始めたばかりです。できれば船をチャーターして調査したいところですが、高額の費用もかかりますし、人材確保も困難が予想されます。弱小な保護団体では実施が難しく、事業者や行政のデータを参考にするしかないのが歯がゆいです。ここが唯一のウィークポイントです。
国内で数少ない集団繁殖地のひとつである若松区沖の白島のオオミズナギドリの採餌場であり、遠く韓国まで餌探しに行く飛翔コースでもあります。また、ほぼ日本固有種で、絶滅が迫っているカンムリウミスズメの生息海域でもあります。国による洋上風力発電促進は、これらの海鳥たちに配慮しようとはしない(たぶん)でしょうから、私たちに課せられた責務は重いです。しかし、やれるだけはやらねばです。野鳥たちの後押しを受けてです。何度も言いますが、形骸化が著しい事業者による環境アセスは全く信じるに足りませんから。
日本がCO2排出削減にいくらがんばっても0.006℃しか気温を下げられないという説がある中、日本の財務大臣は、「たとえそうであっても国際社会の一員として気候変動対策をやるべき」とコメントしました。失うものが大きい今の風力発電の問題など全く頭にないのでしょう。情けないです。先の選挙で「再エネ賦課金の廃止」を言ってた政党が躍進しましたが、高騰する電気代から国民の負担を減らすことが目的のようで、野鳥への影響や、住民の健康を考えてのことではないようです。なんだか.......ですね。
北九州市の産業用地開発は、野鳥たちへの配慮を考えているのか
Will Kitakyushu City's industrial land development take care of wild birds?
北九州市は市街化調整区域での開発や農地転用が可能になる特例措置を活用して、民間の産業用地開発を促すため、対象地域内での開発を公募することを北九州市長が発表しました。「企業誘致加速大作戦」と掲げていますが、たぶん熊本県のIT産業誘致による地域活性化に触発されたのでしょう。しかし、産業用地開発エリアを計画する際、自然環境への影響は全く考慮しないのでしょうか。計画前に自然保護団体などにヒヤリングするなど全く意に介していなかったのでしょう。環境対策としては、必要なら事業者が環境アセスを実施して、自然環境への影響を軽減するからいいと思っているようですが、形ばかりの形骸化された環境アセスは十分承知のうえでしょう。これが「環境未来都市」「生物多様性」を掲げる北九州市であることに市民の一人として情けないです。自然保護団体も意地を見せなければ!・・・です。
上図:日本経済新聞2024.7.5より引用
北九州は「渡り鳥の十字路」「渡り鳥の交差点」と呼ばれるように、これまで多くの野鳥が観察記録されています(340種以上)。下記の図に見るように、北九州市内には野鳥観察に適しているポイントが各所にあります。その中には、風力発電が稼働し、これから洋上風力発電も運転開始する響灘地区(国内におけるチュウヒ繁殖の南限地)もあります。また、北九州市内で一番多くの野鳥を観察することができ、ラムサール条約登録の条件を備えている “曽根干潟” もあります。30年以上前、ラムサール条約登録を目指す市民団体ががんばりましたが、叶わず、今も実効性ある保全策はありません。それどころか、6年前には風力発電計画が持ち上がりました。幸い、実現しませんでしたが、そのときは私たちも慌てました。いつ埋め立てられても不思議ではない曽根干潟ですが、今は、産業用地開発によって希少な野鳥の生息地・天然記念物のカブトガニ生息地に危機が迫ろうとしています。干潟は干潟だけで成り立っているのではなく、流入する河川や、干潟の野鳥たちの休息と採餌場所となる後背地(田んぼや畑)も同時に大切です。いつまた干潟のまわりで風力発電計画が持ち上がるかもしれません。産業用地開発計画を機に、あらためて北九州市内の野鳥の生息環境を見つめ直し、北九州市に対して野鳥をシンボルとする自然環境保全を訴えていかなければなりません。ブログをご覧の皆様のご支援をお願い致します。
上図:北九州市内の主な野鳥観察サイト(北九州市資料を引用・加工)Main bird watching sites in Kitakyushu City.
We want wind power to be wild birds friendly.
Association to protect wild birds from wind power
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