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thu|先勝|札幌
のち
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4℃
今朝のサッポロ、うす曇
です。
ひな祭りの昼下がり、ボタン雪の杜
冬来たりなば春遠からじ…
北海道大学キャンパスのメインストリートから。
「
西風に寄せる歌」
Ⅰ
おお、奔放な「西風」よ、「秋」を証しする息吹よ、
おまえ、その目に見えない存在から枯葉が
吹き立てられ、魔法使いから逃れる亡霊のように
黄に、黒に、白茶けた色に、熱病やみの赤に
染まって飛ぶさまは、疫病に取りつかれた群衆さながらだ。
おまえ、暗い冬の床へと翼ある種子を運び
そこに冷たく生気なく横たえる者よ、種たちは
そこで墓の中の屍体のように冬を越し、
やがておまえの水色の妹の「春風」がそのラッパを
まだ夢みる大地に吹き鳴らし
(かわいい蕾を羊の群れのようにせかせて空気を食べさせ)
野山を生きいきとした色と香りで満たすのだ。
どこにでも翔けて行く奔放な「霊」よ、
破壊者にして保存者よ、聞け、おお、聞け。
Ⅱ
おまえ、その流れに乗って、けわしい空の騒乱のさなか、
大空と大洋の縺れ合った大技から吹き千切られ
大地の枯葉のように飛んで行くのは
雨と稲妻の天使たちだ。おまえが煽り立てる
空気の大波の青い表面には、あたかも狂乱の
バッカス
酒神の巫女たちの頭から逆立つきらきらした
髪の毛のように、濛々と煙る水平線の涯(はて)から
天頂の高みに至るまで、近づく嵐の前髪が
散り広がっている。おまえ、死に行く年の挽歌よ、
それに対しこのせまりくる夜が巨大な墳墓の
円天井となり、それをおまえは集めた雲の
総力をあげてせり挙げているが、やがてこの
凝縮した水蒸気のかたまりから黒い雨と、火と
雹とがほとばしり出るであろう、おお聞け!
Ⅲ
おまえ、青い地中海をその夏の夢から
目覚めさせた者よ。おまえはかつてその海の
水晶のように澄んだ渦潮にあやされて、
バイイ湾の軽石の島のかたわらで眠りこけ
水中のより明るい日の光で宮殿や古塔が
揺らめくさまを夢に見ていたのだ。それらは
一面群青色の苔や花ばなに掩われていて、
その美しさは心に描くだけでも気が遠くなるほど!
いまそのおまえが大西洋を渡ってくるというので
大海原が二つに裂けておまえの道筋を作り
はるか下方の海底では海の花ばなや
汁気のない海藻たちがおまえの声を聞くや
たちまち震えおののいて全身蒼白となり
武器を捨ててひれ伏すのだ、おお、聞け!
Ⅳ
もし私がおまえに運ばれる枯葉であったならば
もしおまえとともに天翔(あまか)ける雲であったならば
あるいはもし、おまえほどに自由でなくても
おまえの力の下に喘ぐ波として、その衝動を
ともにし得たならば、おお、不覇なるものよ!
せめて子どもの頃のように、空行くおまえの
友となり、天翔(あまか)けるおまえの速さの上を行くことも
夢ではないと思えた時期の私であったならば
今このように切実な思いに駆られて
こうした祈りをおまえに投げかけなかったであろう。
おお私を波や葉や雲のように持ち上げてくれ!
私は人生の茨の上に倒れる! 血が流れる!
時間の重圧が鎖につなぎ、ひれ伏させる―
おまえに似て飼いならされず、機敏で、誇り高き者を。
Ⅴ
森が風に鳴るように私をおまえの竪琴にしてくれ。
私の葉が森のように散り落ちてもかまわない。
おまえの力強い風のどよめきは森と私の両方に
悲しくも美しい秋の深い調べを奏(かな)でさせる。
おまえ激しき魂よ、私の魂になれ!
おまえは私になれ、激烈極まるものよ!
私の死んだ思想を枯葉のように舞い上げ
宇宙に追い立てて新たな生命を芽生えさせよ。
そして、この詩の魔術的な力によって
まだ消えつきぬ炉から灰と火の粉を撒くように
私の言葉を人類の間に振り撒いてくれ!
私の唇を通じてまだ目覚めぬ大地に
予言のラッパを吹き鳴らしてくれ!おお西風よ、
冬が来たなら、春の遠いことがあり得ようか。
〔イギリスの詩人 シェリー〕
何度読んでも圧倒される、出来うることなら
声に出して読んでもらいたい、心の丈の叫びを…
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