テレビとうさん

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「受諾」 と 「容認」

2020年09月26日 | 戦争史
 東京リンチ事件では「7人」がリンチで殺され、これを日本政府はその結果を「受諾」しましたが、「容認」した訳では有りません。

容認:許せる範囲として、認めて許すこと。
受諾:相手からの提案や申し入れなどを受け入れること。

Treaty Of Peace With Japan
Article 11
Japan accepts the judgments of the International Military Tribunal for the Far East and of other Allied War Crimes Courts both within and outside Japan, and will carry out the sentences imposed thereby upon Japanese nationals imprisoned in Japan.・・・

日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)
第11条
日本国は、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。・・・



 英語文を正しく訳すと「日本は、裁判の判決を受け入れる」ですが、法律の専門家が拡大意訳すると「裁判を受諾する」となるようです。また、訳文である「裁判を受諾する」を更に日本語に訳すと「裁判の提案を受け入れる」となり、将来の約束を意味します。しかし「裁判」は既に終了しているので「裁判の結果(判決)を受諾する」以外に「日本語訳」は出来ません。

 それでも、強いて「裁判を受諾する」を意味論として「裁判そのものと、その過程も含めて判決を受け入れる」とすると、これが「誤訳」である事には違いがないのですが、日本人にとっては有効と言えます。実際に、世界各地で「裁判」と称して「判決」が下され「リンチ」が行われ、その総てを日本人は受け入れました。

 しかし、裁判の正当性を認めた訳では有りません。例えば、強盗殺人事件で家族が殺されて、裁判で犯人の無期懲役が確定した場合には、残された家族は「裁判とその判決を受諾」する以外の方法は有りませんが、正当性を認める義務は有りません。実際に、判決の後に「不当判決」のビラをかざす人も少なからずいます。この事象は「最高裁判決を受けいれたからと言っても、正当性を認めた訳ではないと主張している」と理解できます。

 ㋭系の人が「A級戦犯の罪状と刑罰は、事後法の不当判決で、東京裁判自体が無効だ」とする主張に対して、㋚系の人は「日本はサ条約で極東裁判を受諾したのだから、A級戦犯も日本が認めた事になる」と返します。若し、㋚系の言う事が正しいのなら、過去の最高裁判決は総て正しいと言え、「不当判決」は有り得ない事になります。それは、裁判に関わる人は全員「裁判制度を認めている」からです。

 自分たちが「認めた裁判」でも最高裁判決を「不当判決」と主張できるのなら、「認めていない極東裁判」での判決を「不当」とする人の主張を否定する事は出来ない筈です。つまり、「受諾」は「不当の主張」の排除要件ではないと言うことです。




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