オメガねこ

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「立法府」 と 「司法府」

2019年07月16日 | 政治

 「ハンセン病」は古文書に載るほど古くから認識されていた病気ですが、その原因が分かったのは1873年にノルウェーのハンセン医師が「ライ菌」を発見してからで、今では治療法が確立された病気ですが、それでも重病化すると感染の可能性が高くなります。

 日本では「ハンセン病患者」の救済の為、1889年に最初の「療養所」が建てられ、1907年に法律が出来て全国に「療養所」が建てられました。1930~1940年頃に「国による一括統治・強制隔離政策」を推進する為に国立化されました。これらは総て「立法化」が有っての「行政」です。

 今年の6月28日の熊本地裁判決で「国は偏見や差別をなくそうとしなかった。」と認定しました。裁判官の言うこの「国」には、「司法・立法・行政」の三権と「主権者である国民」が含まれます。この裁判官が判決と同時に「原告」に対して謝罪したかどうかは解りませんが、「国には司法も含まれる」ので、自ら「国の責任」を認めたのなら、自らも謝罪すべきです。

 7月12日に安倍首相は「政府としての深い反省と、お詫び。」の公式謝罪を決めました。しかし、過去の政府は「過去に立法府が決めた法律」に従っただけなので、「行政府」よりも先に「立法府の謝罪」或いは「国会議員を選んだ国民の謝罪」があるべきだと思います。当然、選挙権のある「ハンセン病患者」やその家族も含まれます。

 例え、本人が投票しなかったからと言っても、「国民主権」である以上、「立法の結果」は国民の責任です。「行政府」は、どんなに悪法でも、これに従う義務が有ります。

 2001年の熊本地方裁判所で「ハンセン病患者保障」の原告勝訴の判決が下され、政府による謝罪は2001年と2002年に、立法府の謝罪は2001年にありましたが、司法府は2016年に始めて謝罪しました。

 今回(2019年)の判決は「患者の家族」に対する賠償命令で、政府は判決の2週間後に謝罪をしましたが、国会や裁判所の謝罪は、まだ聞いていません。

 一部の国会議員や「政党の党首」は、政府による謝罪を要求していましたが、「立法府」の構成員である国会議員ならば、自らの謝罪の方が先だと思います。「行政府」は「立法府」の意思に反してまで「善行」をする権限は有りません。政府が謝罪以外の「善行」を行うには、最初に予算措置を伴う「立法」が不可欠です。

 18年間の空白は、「立法府」の責任で、「立法府」の不作為を裁判所が「国の責任」と断罪するのなら、まず最初に謝罪するのは「司法府」です。

 先ずは、国民が「善行をする国会議員」を選び、国会議員は「善行が出来る法律」を作り、ここからが政府の仕事です。「司法府」は「行政府」が法律を無視した時のみ「違法判決」を下さなくてはなりません。

 「まず隗より始めよ」です。



2 コメント

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全く同感です (小平次)
2019-07-16 17:41:35
テレビとうさんさまこんにちは

全く同感であります

大変な思いで人生を過ごされたであろうハンセン病患者の方々やそのご家族に対しては、誠に気の毒なことと思いますが、私もこの度の判決と、その後の政府の対応等の報道を見聞きして、違和感を覚えておりました。

テレビとうさんさまのこの度の記事で、それが何かよく理解いたしました。

『例え、本人が投票しなかったからと言っても、「国民主権」である以上、「立法の結果」は国民の責任です。』

ハンセン病判決の件に限らず、国民一人一人がそういう自覚を持たなければならないと思っております

良い記事をありがとうございました 
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小平次さんへ。 (テレビとうさん)
2019-07-16 18:34:26
コメント有難うございます。

自分で書いておきながら、おかしいのですが、私は「国民主権」には否定的です。一般国民には「一票の範囲内での責任」とは言っても、責任は重すぎます。

新潟出身の知人に聞いた話しなのですが、江戸時代に知人の先祖が、干ばつで米の収穫が少ないので、村の庄屋さんが代官様に「私の切腹と引き換えに、年貢の減免を」と申し出て打ち首になったそうです。名誉ある切腹は許されなかったのですが「年貢は減免」されたそうです。その墓は今でも大切に護られているそうです。

主権と責任と覚悟。一般国民にはとても無理な話だと思います。
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