オメガねこ

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「サーズ」 と 「マーズ」

2020年02月24日 | 医学・健康
SARS:Severe acute respiratory syndrome(サーズ:重症急性呼吸器症候群)
MERS:Middle East respiratory syndrome(マーズ:中東呼吸器症候群)

 「マーズ」は、2012年6月24日にサウジアラビアで最初に死者が確認され、イギリスでこれが「SARSコロナウイルス」に似たウイルスである事が確認されました。このウイルスの最初の発祥地は分っていないようですが、ヒトコブラクダが「MERSコロナウイルス」を保有していた事は判っています。

 WHOの決定を受けて厚労省はウイルスの名称を「MERSコロナウイルス」、感染症名を「中東呼吸器症候群 (MERS) 」と決定しました。この時のWHOの事務局長は香港出身の陳馮富珍(マーガレット・チャン)です。最初の感染死亡者、ヒトコブラクダ、感染者数の多さ等から「中東呼吸器症候群」は妥当な名称にも思えます。

 一方、「サーズ」は、2002年頃から発症し始めた感染症が新種のウイルスにある可能性が指摘されていましたが、2003年3月頃から中国広東省を起点とし大流行の兆しを見せ始めました。4月16日にWHOは、この感染症の原因が新種のコロナウイルスと確認されたと発表し、これを「SARSコロナウイルス」と命名しました。過去の「スペイン風邪」や「香港風邪」の例に倣うと「広東呼吸器症候群」が適切なのですが、そうはなりませんでした。

 香港では、「サーズ」に関する認識が甘く、感染が深刻化した病院の封鎖などの対策が遅れたとの批判が出ました。その時の香港の衛生署長は陳馮富珍(マーガレット・チャン)です。

 「スペイン風邪」の流行源は1916年3月のアメリカのカンザス州でしたが、当時は第一次世界大戦中で秘密主義が貫かれ、中立国であったスペインからインフルエンザ流行の情報が漏れた為「スペイン風邪」と命名されました。

 「ソ連風邪」は1977年にソ連国内で「局地流行」したインフルエンザであり、ウイルスが国内の研究所から漏れた事が原因とされているので、正当な名称と言えます。

 「香港風邪(Hong kong flu)」は、1968年に香港で発生し翌年にかけて世界中で流行したインフルエンザで、当時の香港はイギリス領だったので、中国のイメージダウンには繋がらなかったようです。

 今回の「武漢コロナウイルス」による「武漢肺炎」の流行は、その発祥地、流行源、最大感染者数、最大死亡者数が全て「武漢」と確定しているにも拘らず、WHOはこのウイルスの名前を「SARS-CoV-2」、疾患名を「COVID-19」としました。現在のWHOの事務局長は「中国への渡航制限は必要ない」と言ったエチオピアのテドロス・アダノム・ゲブレイェソス氏です。

 2012年の「中東呼吸器症候群」から今回の「武漢肺炎」迄の8年に、WHOに何が起こったかは解りませんが、世界的に流行する感染症の名称は「(軍事)大国の都合」により決められているような気がします。




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