オメガねこ

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「核兵器廃棄」 と 「鉄砲廃棄」

2019年11月13日 | 安全保障

 「環境保護論者」でもあるアメリカの文学者が『鉄砲を捨てた日本人』で、江戸時代に日本人が鉄砲に対してなしたことを、今日世界が核兵器に対してなしうる保証はないとしながらも、この教訓を活かした核兵器の廃絶実現を希望すると書いたそうです。

 江戸幕府の「鉄砲廃棄」とも見える政策は、一方的で圧倒的な強さによる「鉄砲の製造許可制」であり、幕府の注文以外は殆ど許可しなかった結果です。この「江戸時代の鉄砲削減」を教訓として、日本主導による世界の「核兵器廃棄」を期待するのなら、日本国の圧倒的な軍事力による「核兵器の製造許可制」を世界が承認する事が前提になります。ところが、この種の「核廃絶主義者」達は、決して日本の軍事力や権威の増強を望みません。それどころか、世界最低の「防衛費の増加率」ですら「軍靴の音」聞こえて震えるようです。

 江戸幕府の「鉄砲政策」を教訓にするのなら、アメリカの日本に対する「開国要求」の反省が先です。江戸幕府が、アメリカの不平等条約と開国を認めたのは、江戸幕府が「銃規制」をしたからであり、ここから得られる教訓は「平和ボケは国難を招く」と云う事です。「江戸幕府」だけが銃を保持できた事が日本の安定に繋がった事は確かですが、それはこの事実を外国勢力が知らない間だけであり、幕府以外がまともな武器を持っていない事が知られると、直ちに侵略者の餌食になります。

 鎌倉幕府が元寇を二回にわたり撃退出来たのは、強い元朝が弱い高麗軍を先兵にしたり、少し前に元朝と戦った生き残りの南宋軍を元朝の雇い兵として使ったため、結果として軍事力の差が日本に勝利をもたらしました。これは「武力が平和を保障する」ことの教訓です。

 戦国時代にスペイン・ポルトガルによって日本が侵略されなかったのも、圧倒的な日本の武力を見た「宣教師(スパイ)」が、本国に「日本侵略は不可能」と連絡したからであり、日露戦争で日本に襲い掛かってきたロシア艦隊を撃破できたのも、日本海軍が強かったからです。

 若し本当に「江戸幕府の銃規制」が人類にとって正しい政策だったと思うのなら、先ずは自国での「銃規制」を成功させてから言ってもらいたいものです。

 一国の政策と国際政治の政策では、次元が違う事も容認するとして、「江戸方式」が「核廃棄」の教訓になるとしたら圧倒的に強い国が必要になり、それは現在の所「米国」か「中国」以外には考えられません。恐らく、このアメリカ人文学者は「米国」を推薦したと思いますが、「江戸幕府」を見習うのなら「中国」を潰してから言って欲しいと思います。

 「江戸幕府の開国」は江戸幕府にとっては失敗でしたが、明治政府が「不平等条約」を回復し防衛力を増強する事で「世界と対等に戦える」ようになりました。

 「江戸方式」の世界核廃棄が実現したとしたら、世界唯一の「核保有国」が世界を統治する事になりますが、宇宙人が現れたら地球を開放する事になります。この時の「明治政府」の役割を、何処の国が担うのかは判りません。

 宇宙人は現れないと思いますが、世界の総ての「核兵器廃棄」が実現すると、地球人の独裁者は安心して世界統一の為の戦争を始める事が出来るようになり、「大侵略時代(通称、大航海時代)」を再現する羽目に陥ります。

 「核兵器による戦争抑止力」を失い現在の強力な通常兵器で人類が滅亡するか、「核兵器のバランス」が崩れて最終戦争が起こるかは、「パスカルの賭け」に似ています。



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