「『教育勅語にも良い面がある』というのは、『ナチスの政策にも福祉はあった』と言うのと同じで、そもそもの土台が全く分かっていない頓珍漢な欠伸のようなものと思うべきです。」と言う人がいます。
また、「『教育勅語』『奉安殿』『ご真影』は3点で1セットになっていて、天皇陛下万歳と言って死ぬことを半ば強制された。」とも言ってます。
ナチス・ドイツは第一次大戦後の世界情勢下でドイツの「民主主義」によって成立しました。ナチスの成立は「世界情勢」「ドイツ国民」「民主主義」の3点で1セットの要素が土台であり、その上に「ヒトラー」が乗っています。この3点セットは複雑で一葉には書けないので説明は端折りますが、少なくとも自明的な「悪」では有りません。
要素の組み合わせによって破滅的な結果が出たとしても、その3個の組み合わせに、或いはそれぞれに欠陥がある証明にはなりません。今のドイツもこの組み合わせを土台にして成り立っているので、若し違うところがあるとしたら「世界情勢」と言えますが、そうなると、「世界情勢」に欠陥があったという結論に達します。
「ナチスの政策」は民主主義によって制定されたものですが、「福祉政策」は国民の福祉を目的にしていて、「戦争政策」は勝つことを目的にしています。しかし、「ドイツ国民」も「民主主義」も戦争を目的に創られたものではありません。
「教育勅語」は、日清戦争以前に発表された勅語(おことば)です。民主主義の力で書かれたものではないですが、少なくとも戦争を目的にはしていません。
「奉安殿」は、「教育勅語」と天皇皇后両陛下の「御真影」を保管する為の県庁や学校が管理する建物です。「御真影」は強制ではなく、要望によって下賜されたもので、学校の場合は宮内庁から「優等」とされた場合のみ「貸与」が許されました。
昭和初期には、「御真影」が一般人の家庭にも広がり、一大ブームが起きたようですが、大東亜戦争が始まると雑誌などへ掲載が制限されました。これは、「御真影」が戦争に利用されていなかった事を暗示しています。
戦争はあらゆる資源を利用しますが、その利用されるモノの本質とは無関係です。鉄で創られた鉄砲は人を殺しますが、その成分である鉄には悪意はありません。人間は戦争の主役になりますが、人間を否定する根拠にはなりません。
「教育勅語」と「ナチス」を比較する事自体が頓珍漢なことです。
尚、「ナチス」とは「National Sozialistische Deutsche Arbeiter Partei(国家社会主義ドイツ労働者党)」の略称とされていますが、本来の略称は「NSDAP」で、「ナチス」は「ジャップ」と同様に蔑称です。
これは「ティムール・ヴェルメシュ『帰ってきたヒトラー(上・下)』河出文庫」のラストで、現代に蘇ったヒトラーが政界に打って出る際のスローガンです。
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この本ではベルリンの地下壕で自殺したはずのヒトラーが現代にタイムスリップして蘇ります。
そして70年前と変わらない主義主張を人々に訴える・・・と、誰もが『これはヒトラーをパロったビルボード芸人に違いない』と思い込んでしまい、ヒトラーはたちまちメディアの寵児となってしまうのです。台本無しで持論を延々とブチ上げると聴衆は拍手喝采、彼は持ち前の知力で70年間の技術革新に追いつき、たちまちのうちに現代社会を認識し理解する。メディアとインターネットを駆使して主張を展開するやアクセスは70万回を超え『狂気のユーチューブヒトラー』として賛否両論の嵐を巻き起こす。
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もともとヒトラーはヴェルサイユ条約により疲弊し弱体化したドイツに「誇りを取り戻そう」として活動を始めたので、その理論は結構マトモなのです。
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いま「アメリカを偉大に」というトランプ政権のスローガンを聞くと「歴史は繰り返している」ように思えて仕方がないのです。
トランプの「アメリカを偉大に」と、習の「中華民族の偉大なる復興」と、道半ばで諦めた安倍の「戦後レジームの脱却」。日本の「標語」は内向きで対外的には無害にも拘らず、真っ先に破綻しました。
次は中国の「標語」ですが、これを自ら「中国の夢」と言ってるので、夢で終わりそうです。
アメリカは、今では「アメリカを偉大にし続ける」と一段階上昇しました。
トランプは、戦争好きなグローバル金融資本と戦っているようにも見えるので、取り敢えずは「大虐殺」は無いように思えます。
「教育勅語」は「明治天皇の、思いと願い」なので、その歴史的内容の真偽は問題ではないと思います。
教える人に問題が有れば、どのような真実でも曲がった教えになるので、道徳教育の難しさは感じます。
しばらくしたら、この件の投稿をしようと思います。