「高卒」 と 「大卒」

　とある複数の国籍を持っていた国際的国会議員が、「中小事業者」を対象とする持続化給付金を、生活に窮した学生も対象にするように提言し「生活も成り立たない。（大学）学校を辞めたら高卒になる。就職どうなるか。奨学金を返せない。」と首相に対応を迫りました。

　この発言に対して「高卒をバカにしている。」「学歴差別だ。」などの批判があり、その弁明は「勉強して、頑張って、奨学金も借りて大学に入って、学費、生活費を払えなくて、下手したら自己破産だ・・・大学をやめた場合、次の人生設計を高卒というスタートでどうやってやっていけるのか、人生設計そのものを変えないといけなくなるという意味。」です。

　大学生が中退して「高卒になり」、奨学金を返せない場合に自己破産が可能かどうかは判りませんが、これは「奨学金制度」の問題であり、「中小事業者が対象の給付金」とは関係ありません。勿論、大学生を事業として営んでいる輩もいるので一概には言えませんが、それでもそれは「大学制度」の問題で、「金儲けの為に大学生でいる事」を禁止すれば解決します。なんなら、夜間大学や放送大学も有ります。
　
　この議員の言う「大学中退高卒資格者」は「アルバイトが出来なくなり、生活苦で大学をやめる人」を意味すると思いますが、アルバイトすらできない労働環境で、大学をやめて「職に就く」事が可能な人は極めて稀です。稀ではない一般の大学生が「大学をやめたら生活苦が解消される」と考えているのなら、その人は元々「大学生の資格」は有りません。「休学（最長4年間）」と云う手段もあるし、そう簡単には「高卒」に戻ることは出来ません。一旦大学に入り、中退して「高卒」に戻るには、本人に特殊な能力が必要になります。

　大学の学費や生活費が払えないからと言って大学を辞めても、経済的な解決にはならないと云う事です。その対応策は「学費免除」「生活保護」など既存の政策が有ります。

　「就職氷河期」と言われた時代が有り、郵便局等に就職する為に「大卒資格」を返上し「高卒資格」で試験を受けた人が多数いました。この人たちは自ら人生設計を変更し、国から補助金を貰った訳では有りません。

　無能な人が「大学」を卒業して生きて行くのも、有能な人が「中卒」で活躍するのも、「憲法愛好家」なら「他人が口出しする事ではない」ことは理解できるはずです。

　憲法第一三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

　憲法第一四条第一項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。