(備忘録として転送)
[特別寄稿]
● 日本にとって大切なことは何か。
(作家、未来生活懇談会委員 C.W.ニコル)
良い、正しい国家あるいは社会には、三本の一体となる柱がなければなら
ない。まず、安全の柱で、あらゆるものを真に保護する。二本目は健康の柱
で、金と力がある者だけでなく、人間のみならず生命あるものすべてがみな
健やかであらねばならない。そして、残るもう一本の柱は美しさだ。真の美
的感覚はいつも変わらず自然から生まれる。もし周りの自然環境が不健康で
均衡を欠き、危険な状態であれば、そこに生まれるのは醜さあるいはあやま
った美的感覚でしかない。
この安全と健やかさと美しさがあれば、社会は正義と安寧を求めつづけて
ゆける。
その鍵は「教育」と未来永劫怠らぬ「用心深さ」だ。
教育が目先の目標や領土の不当な支配やあやまった理想をめざせば、国家
の進歩はそこで滞り、やがて後退する。
もしわれわれが国家や宗教教義や理想がたった一つしかないと教え込まれ、
唯一人類が他の全生命の上に君臨するとあやまって考えるならば、失敗は免
れない。なぜなら、自然も宇宙もそんなあり方はしていないからだ。
私は日本国民です。ケルト系日本人です。生まれたのと教育を受けたのは
イギリスであり、カナダとエチオピアに暮らして仕事をし、世界を広く旅し
た。この国を愛し、この国の将来を信じるがゆえに、私は日本人になった。
私にとって、「日本」とはたんに人々のみならず、この列島に生息するあら
ゆる生物と生命の体系、それに文化と歴史であり、それらすべてが日本以外
の世界中の同じものと結ばれている。
調和と均衡を脅かすものは、それが熊にとってであれトンボにとってであ
れ、湿地や川や水田や森、あるいは小学校や町の公園にとってでも、生命を
育む善良なるものを何であれ脅かすのであれば、それは間違っているか利己
的か、それとも目先のことにとらわれているか、ひょっとすると悪でさえあ
る。われわれはこれを監視しなければならない。
教育は、それ自体が生きた仕組みとなり、あらゆる生命を尊び敬う生きた
体系となるように、綿密に大切に行わなければならない。生命の大小さまざ
まな循環がいかに絡み合っているかを理解しようと目指すものだ。教育は安
全と調和を目指し、健やかさを求め、美しさと多様性を正しく理解するため
に行われるべきものだ。
日本は素晴らしいスタートが切れる。われわれには言論、宗教、政治、移
動、就業の自由がある。この数十年、日本は平和の約束を堅持してきた。わ
れわれには北の海氷から南の珊瑚の海まで、自然界の生物とその生息地との
夢のような多様性がある。われわれの国は複雑な海岸線をもつ島国なのだ。
日本は地球上でもっとも識字率の高い国の一つだ。もし私が日本の良いとこ
ろを挙げて一覧表にしようとしたら、どこまで行っても終わらないだろう。
われわれはこの土台の上に築かなければならない。怠慢や無関心や利己主
義、あるいは他人や他の生き物たちへの理解と尊敬に欠けたまま、放擲して
はならない。
私が語っているのは自分の国、祖国への真の愛情だ。誇りにあふれた、祖
国を守る心がまえのある愛情、しかし人種差別と偏見のない愛情だ。新しく
日本人になった者として、今こそ、この国は誇りうる国となるでありましょ
う。
※ 執筆者の紹介
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/cw_nicol.html
[特別寄稿]
● 日本にとって大切なことは何か。
(作家、未来生活懇談会委員 C.W.ニコル)
良い、正しい国家あるいは社会には、三本の一体となる柱がなければなら
ない。まず、安全の柱で、あらゆるものを真に保護する。二本目は健康の柱
で、金と力がある者だけでなく、人間のみならず生命あるものすべてがみな
健やかであらねばならない。そして、残るもう一本の柱は美しさだ。真の美
的感覚はいつも変わらず自然から生まれる。もし周りの自然環境が不健康で
均衡を欠き、危険な状態であれば、そこに生まれるのは醜さあるいはあやま
った美的感覚でしかない。
この安全と健やかさと美しさがあれば、社会は正義と安寧を求めつづけて
ゆける。
その鍵は「教育」と未来永劫怠らぬ「用心深さ」だ。
教育が目先の目標や領土の不当な支配やあやまった理想をめざせば、国家
の進歩はそこで滞り、やがて後退する。
もしわれわれが国家や宗教教義や理想がたった一つしかないと教え込まれ、
唯一人類が他の全生命の上に君臨するとあやまって考えるならば、失敗は免
れない。なぜなら、自然も宇宙もそんなあり方はしていないからだ。
私は日本国民です。ケルト系日本人です。生まれたのと教育を受けたのは
イギリスであり、カナダとエチオピアに暮らして仕事をし、世界を広く旅し
た。この国を愛し、この国の将来を信じるがゆえに、私は日本人になった。
私にとって、「日本」とはたんに人々のみならず、この列島に生息するあら
ゆる生物と生命の体系、それに文化と歴史であり、それらすべてが日本以外
の世界中の同じものと結ばれている。
調和と均衡を脅かすものは、それが熊にとってであれトンボにとってであ
れ、湿地や川や水田や森、あるいは小学校や町の公園にとってでも、生命を
育む善良なるものを何であれ脅かすのであれば、それは間違っているか利己
的か、それとも目先のことにとらわれているか、ひょっとすると悪でさえあ
る。われわれはこれを監視しなければならない。
教育は、それ自体が生きた仕組みとなり、あらゆる生命を尊び敬う生きた
体系となるように、綿密に大切に行わなければならない。生命の大小さまざ
まな循環がいかに絡み合っているかを理解しようと目指すものだ。教育は安
全と調和を目指し、健やかさを求め、美しさと多様性を正しく理解するため
に行われるべきものだ。
日本は素晴らしいスタートが切れる。われわれには言論、宗教、政治、移
動、就業の自由がある。この数十年、日本は平和の約束を堅持してきた。わ
れわれには北の海氷から南の珊瑚の海まで、自然界の生物とその生息地との
夢のような多様性がある。われわれの国は複雑な海岸線をもつ島国なのだ。
日本は地球上でもっとも識字率の高い国の一つだ。もし私が日本の良いとこ
ろを挙げて一覧表にしようとしたら、どこまで行っても終わらないだろう。
われわれはこの土台の上に築かなければならない。怠慢や無関心や利己主
義、あるいは他人や他の生き物たちへの理解と尊敬に欠けたまま、放擲して
はならない。
私が語っているのは自分の国、祖国への真の愛情だ。誇りにあふれた、祖
国を守る心がまえのある愛情、しかし人種差別と偏見のない愛情だ。新しく
日本人になった者として、今こそ、この国は誇りうる国となるでありましょ
う。
※ 執筆者の紹介
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2003/cw_nicol.html