スタッフと利用者さんが一緒に料理をこしらえ
お昼にそれをいただく。
これまでは作業所の机の上で、小さな電気コンロなど
使いながらやっていたのだが、近くの地域ケアプラザが
使えることがわかり、みんな大喜び。
キッチンは広く清潔で、調理道具も食器も豊富に揃っている。
こしらえたのはナポリタン。
じつは、ナポリタンに決定してからがたいへんだった。
「てふてふ」の利用者さんは中高年男性がほとんど。
経てきた職業もさまざま。
それゆえ、自分の知っていることに対して「こだわり」が強い。
ケチャップを使った普通のナポリタンをつくる、と言っても
簡単には了解して貰えない。
「いや、ソースを二、三時間煮詰めなきゃだめだ」
「味つけには○○が絶対必要だ」
ああだこうだ、どうだこうだ……と、こだわり噴出で
中心スタッフのH氏は困りはてていた。
そんな折り、近所の黄金町階段広場で小森健太郎氏と出会った。
本牧の「美濃屋あられ」社長だ。
昭和4年創業という伝統を守りながら、ナポリタンあられなど
ユニークな商品開発にも熱心な方。
小森さんはここで開催されていたマーケットで、ナポリタンを
せっせとつくっておられた。

私が事情を話すと、即座にメールでレシピを送ってくださった。
日本ナポリタン学会の、シンプルにしておいしいナポリタンレシピ!
これが凄い効果を発揮した。
なんたって日本ナポリタン学会である。
あらたに「てふてふ」に入った女性スタッフのMさんも、
その名を知っていた。
「新聞で読んだことある! ナポリで日本のナポリタンを
披露したんでしょ!」
その学会のレシピとあって、利用者さん達は
素直にこだわりを捨ててくれたのだ。
用意した具はピーマン、マッシュルーム、玉葱、ミニトマト、
ウインナソーセージ、「てふてふ」の窓外菜園に
長いことぶら下がってた小さな茄子も。

そして当日、レシピに忠実にスパゲティーを少し長めに茹で
水で洗って油をまぶした。
茹でたり切ったり炒めたりは、すべて利用者さんがやり、
私達スタッフはその補佐。
けっこうちょこまか働き、出来上がると、漂う匂いにたまらず
夢中になって食べた。
おお、ヴゥオノ! 文句なし、☆五つ!
というわけで、きれいに食べ終えるまで、
写真を撮ることなどすっかり忘れていた。
少し余分にこしらえてあったので、あわてて皿に盛ってもらい、
せめてこれだけでも、と撮ったのがこの一枚。

帰宅して、夜は前から行ってみたかった関内の「ほおづき」へ。

チャーミングな女将の小野寺志保さんは、ついこのあいだまで
デザイナーだった方。
関内のまち作りでも活躍していて、私は朝日新聞のコラム
のために、数年前、彼女を取材させていただいた。
志保さんのかもしだす、やさしくあたたかい雰囲気、
ずらりと揃った地酒、おいしい料理があいまって、一階も二階も満席。
私も久しぶりで顔を合わせた方達と楽しくお喋りさせていただいた。
一合の熱燗をじっくりと堪能。
関内も関外も、浜はおもしろい。