13日から行われる横浜高島屋イベント「ヨコハマ・グラフィティー」
の前夜祭が開催された。
1960年代から70年代にかけて、音楽、ファッション、ダンス
といった若者文化をリードしたナポレオン党、クレオパトラ党、
そして本牧が生んだグループサウンズ、ゴールデンカップスがテーマ。
いまも元気な彼らが、歌い、踊り、語る横浜は、私のような
余所者にはとても眩しく、永遠に入ることの出来ない世界である。
宴がはねた後、このパーティーにいらしてた
メディア・プロデューサーのW氏とばったり会い、代官坂を一緒に降りた。
「いまね、山崎さんの新刊を読んでるところ。いやあ、びっくりした、
ショックだったねえ」
「どうして? なにがそんなに……」
いや、まあ、けっこう波乱な生い立ちや過去を
赤裸々に書いてはいるのだが……。
「よくあそこまで書いたねえ。僕だったらとてもそんな勇気はないな」
「そんなとんでもないこと、書いたかしらねえ」
「いや、なんていうか、どうしてあそこまで書けたのか。
ちょっとショックで……」
坂を降りても、すっとそう言われ続けていたので、
その後、一人でタクシーに乗ってから少し落ち込んだ。
まあ、確かに、人が見たくない部分を書いてしまったかも知れない。
ことに、自分の友人がそんな体験をしていたなんて
もしかしたら知りたくないことだったかもしれない。
でも、一日に昼と夜があるように、この世の半分は「闇」でできている。
戦争、大量虐殺、貧困、虐待……それがいっこうになくならないどころか
身近なところにも黒く渦巻いている。
頭では知っていても、多くの人はそこから眼を背けたがる。
そのくせ、愛だの絆だのやさしさだの世界はひとつだのと
あたかも闇を光で覆い尽くしているかのような言葉を溢れさせている。
いつのまにか、わたしもそうした中に入っていたような気がして
だんだん、自分に腹が立ってきた。
闇を良く知っている身なのに、死ぬまでそれを振り払うことが出来ず
どんな華やかな衣を身にまとおうと、素肌にまとわりつかせているくせに
説得力のある言葉で語ることが出来ない。
それが歯がゆくてたまらなかった
「よくあんなことを赤裸々に……」と言われると、たしかに
ぼろぼろの下着をみられてしまったような気分にはなるのだが
書いた以上、読んでいただかねばと思う。
子供の虐待だって、弱者への差別や偏見だって、いま現在
少しもなくなってはいない。
それが人間なのだと私も思うのだが、「絆」だの「笑顔」だの
といったきれいな言葉を「大切にしてます!」と公言するのなら
知らなければならないことがあるのではないか。
私自身、自戒をこめてそう思う。
「誰にでも、言えなかったことがある」(清流出版)
華やかに発展を続けてきた横浜。
しかし、その裏にはこんな事実もあった。
これもぜひ知っていただきたい。
「天使はブルースを歌う」(毎日新聞社」
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