冷蔵庫は空っぽ。
冬とはいえ、S村では旬の無農薬野菜を
毎日、ふんだんに料理していただいていた。
ヨーグルトだって、うちでこさえていた。
だけどいまは何にもない。
とりあえず近くのコンビニへ行き、卵や豆腐、
チンすれば食べられる冷蔵、冷凍食品も少し。
贅沢なような貧しいような……。
そのついでに、長いことご無沙汰していた
称名寺へ向かった。ここは日々の大事な散歩コースだった。
だけど足首を折ってから横浜滞在が短くなり、
ご無沙汰になっていたのだ。
風は冷たいけど日差しの明るい日曜日とあって、
人が多い。
梅の花がちらほら。あらま、達磨さんも咲いてる!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/57/836495ce445664fbf4fa3a14a7cc9db3.jpg)
じつはこれ、ここのおみくじに付いている達磨さん。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/dd/c7be2bac28df57541ba5282383282bef.jpg)
さて金沢文庫はと見れば、おお、運慶展が開催されている!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/db/9c50905f72a51e0f115ea3b9f064491e.jpg)
さっそく入り、二階の展示会場へ。
観覧客も多い。
運慶は工房を率いていたから、弟子たちが製作したものも
多いだろうが、このリアリティと品格は、まさに運慶という
才能あってこそだろう。
と、じっくり観はじめたとたん、咳が飛び出した。
しかも止まらない。焦れば焦るほどひどくなる。
静かな展示場に響き渡る私の咳。
「大丈夫です! これはただの花粉症です。
コロナやインフルエンザや風邪ではありませんから、
うつりません。ご安心ください!」
と大声で叫びたかったが、もちろんそんなことはできない。
よけい迷惑だろう。
たまらず、展示会場の階段を駆け下り、
金沢文庫からも飛び出した。
ンもう、なんなのさ、これ!
横浜はまだそこまでいってないと思ったのに、
私の弱っている喉は、少しの花粉にもやられてしまうのか、
絶えずごろごろ鳴いている。
速足でうちに帰り、さびしくこもりっきり。
夜中に、どこか逃れの地はあるまいかとネットで捜したが、
北海道とか沖縄とか、遠いところばかり。
一番近いところで草津温泉だって。
どうやって行けばいいのさ。