陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

少女革命ウテナ、地上波でコスプレされる!

2018-11-19 | テレビドラマ・アニメ

このブログの随分と古い記事にあったかと思いますが。
憧れのアニメキャラクターというブログ記事テーマで、少女革命ウテナの主人公・天上ウテナについて書いた覚えがあります。放映20周年を迎え、記念リヴァイヴァル漫画も描かれ、百貨店ではイベント展示でにぎわい、いまだにグッズも販売され、ひとびとの心を掴んで離さない。

僕っ娘であるとか、男装の麗人であるとか、剣戟バトルであるとか、ヲタク的に好かれそうな要素はお持ち合わせていますが、このキャラクターの人気を裏付けているのは、主人公の崇高さではないでしょうか。「気高い」ことを何よりも生活の信条に置く主人公は、昔、命を救ってくれた恩人=王子様に近くなりたくて、校則違反の学ランを着て登校してしまいます。普通だったら排他されそうなのですが、薔薇の花嫁と呼ばれる感情のない同級生・姫宮アンシーを救ったことで、生徒会メンバーにも気に入られ、さらには学園理事長とも懇意になってしまうという。特権階級とも親しくはなったのに、主人公はあいかわらずサバサバしていて、親友の若葉とも態度を変えたりはしません。

この稀代の物語「少女革命ウテナ」にひとびとが読み込む夢はさまざまであり、ある人はこれを思春期からの旅立ちとも思い、ある人は少女同士の愛憎混じった百合だと言い、大人の干渉の届かない子どもたちのディストピアだとも感じ、さらに過激なイデオロギーになると男性原理からの女性の解放と自立とまで言い放つひともいるかもしれませんが。私にとっては、どのような哲学者や思想家の本よりも、なお純粋な生き様を示しているような教本というべきものでした。ひとことでいうと、それはまさに美学なのです。

ところで、私はこのアニメを子どもの頃、地放送局の深夜帯再放送で見かけたのでした。
ビデオが買えなかったので、カセットテープに録音して大学時代よく聞いていました。BGM集は買ったけれども、DVDを揃えるのは時間がかかりました。最初に全話観たのはレンタルによってですが、アニメ本編もさることながら、おまけ映像特典の実写ミュージカル(宝塚ではないけれど、全員女性だったような)の出来ばえの良さにも惹きつけられたものです。そのときのミュージカル主演の女性は、黒髪のままでしたが、かなり馴染んでいましたね。

近年、人気アニメが実写ドラマや映画になったり、ミュージカルで舞台化したり、はたまた歌舞伎にもなったり。要するに三次元化することにも抵抗がなくなりました。芸能人の皆さんも、むしろ教養として、名作漫画やアニメについて大っぴらに語られるようになり、バラエティー番組で話題の漫画(けっこうなイロモノでも)が取り上げられたりもします。




さて、すでに話題になっていますが。
テレビ東京の新ドラマ25『このマンガがすごい!』では、11人の演技者が人気漫画のキャラクターなりきりをしてしまう企画。その放映第七回は、なんと女優でモデルの山本美月さんが、ウテナに扮するというもの。監督も兼ねて、なんども演出を重ねたという渾身作には、ファンからもかなり反響が大きかったということでした。

この山本美月さん、漫画やアニメ大好きで、ツイッターではプリキュアの絵も披露しています。
ウテナの漫画版は、もちろん私も大好きですが、今から見ればやはり古くさい面もあるとは思うけど、若い子にも受けるんでしょうかね。この衣装、学ランはビロード地なのかな。少女漫画の八頭身いやそれ以上の体形を実現できるのは、驚くべきことでもあります。





なお、版権者サイドもいつになく盛り上がっている模様。







「このマンガがすごい!」という番組では、ほかにも、「火の鳥」とか「うしおととら」とか「ARMS」とかも役者リクエストで実写化。「ベルばら」とか「ドラゴンボール」とか「ワンピース」とかありえそうだけど、敢えて今まで実写化されていないものが選ばれたのかも。

幾原邦彦監督といえば。
2019年4月放映開始予定、フジテレビのノイタミナ枠のテレビアニメ「さらざんまい」のPVも流れています。「ピンドラ」のペンギン、「ユリ熊嵐」のクマ、ときて、今度はカッパ…?! 公式サイト(http://sarazanmai.com/)で女性らしき後ろ姿も見えますが。竜宮の乙姫さまみたいな感じがするけれど、イクニアニメに出てくる女子ってめんどくさいのが多いですからね。カッパの伝説を下敷きにした、現代人の人間関係に鋭く切り込むお話…?

あのころのアニメの主人公には、勇気、友愛、精神的気高さがあったのではないでしょうか。
最近は、女子高生・女子中学生の気持ちを細かく追いすぎたり、ふわふわ可愛いけれど、やたらと驚かすために残酷にしてみたり、お話がちいさくまとまっているのが多くて、主人公の行動に美学が感じられないのが多いですね。思い出補正で語っている面もありますが、もう、そういう暑苦しい正義や美徳らしきものが敬遠されているのでしょうね。

【少女革命ウテナ レヴュー一覧】




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