陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

ひとの話が聞き取れないという絶望について、そろそろ語ってみよう

2020-10-05 | 医療・健康・食品衛生・福祉

30代以降になって転職したときに、愕然としたのが記憶力の低下でした。
若い頃は言われたことをメモもとらずに覚えられたのに。
今は一字一句、ノートにとって、夜になんども見返さないと覚えられません。頭が悪くなったのだろうかとひたすら悩んでいました。

職場でも、家庭でも、ずっとひとの話を聞いていない。
作業を教えたのに覚えていない。仕事ができない、電話にも出られないのか。
ずっと、そんなことばかり言われ続けてきました。

確かに私は子どもの頃、中耳炎を患ったことがある。
けれども、完治しており、健康診断でもまったく聴力に異常がありません。

勤務先では、口々にいろんなひとが話しかけてくることがあります。
2人以上が同時に話しかけてくると、パニックになって何も考えられなくなります。
前回言ったのに、と言われても別のことのように聞こえる。専門用語がわからない。早口で聞き取りづらい。同じ中身を言っているのだろうが、ひとが変わると意味が分からない。この人は私を陥れるために、こんなことを語り掛けてくるのではないか。ひとりで静かな場所に逃げたい。

私はこれまでずっとこんなことの繰り返しでした。
その理由が、図書館でふと調べた本でわかったのです。

その症状には、名前がありました。

──聴覚情報処理障害(APD)。
音として聞こえているが、言葉として認識できない。要するに、HSPの一種なのかもしれません。
こちらのサイトに詳しくはありますが。

要するに、雑音やうるさい場所での会話が聞き取れない、不特定多数でのコミュニケーションが苦手。電話やっラジオ、テレビの音声が聞こえない。どれも当てはまります。

英語のリスニング学習に断念したのも、映像よりも本の方が好きなのも。ひとから教わるよりも、自分で参考書で黙々と勉強したほうが捗るのも。すべて、これが原因でした。これは、学生時代に勉強ができたのに、なぜか社会人になるとポンコツ扱いされてしまうひとに多い兆候です。

いくらコミュニケーションスキルを磨く本を読んでも、心理学を学んで人間関係をよくしようと思っていても。
根本的に脳が誤作動を起こしているのですから、どうしようもないのです、それは。

アニメや映画など映像作品を見ても楽しめなくなったのは、年のせいで感性が鈍ったせいもあるかもしれませんが、根本的に字幕がないと楽しめないからです。

この症状については、もっと世の中に理解が深まってほしいと思うとともに。
聴覚の精度を高めるトレーニングや補助具もあるようなので、自助努力も欠かせないのでしょう。


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