陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「三十九夜」

2010-03-09 | 映画───サスペンス・ホラー
たいがいのサスペンスというのは、意図しないうちに、巻き込まれてしまうもの。しかも、訳ありの美女を行きがかり上救ってしまったがゆえに、男の立場が危うくなるというパターン。その定型を生み出したのは、アルフレッド・ヒッチコックだったのでしょうか。
映画「三十九夜」(原題 : The 39 Steps)は、1935年のヒッチコック作品。英国時代の代表作とされています。

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ロンドン、イーストエンドのある劇場の見世物に、立ち寄った男ハネイ。
舞台で芸人が喝采を浴びているなか、銃声が起き、観客はパニック状態に。逃げ惑う人びとを縫って脱出したハネイは、助けを求める女を連れ出していた。
女は英国の諜報員で、英国の機密情報を売ろうとしているスパイ団を追跡していたが、敵に狙われていると明かす。女は寝入りばなに背中を刺され、死の間際に伝言を残す。スパイ団のリーダーである小指のない男を捕まえるために、スコットランドに言ってくれと。

成りゆきからハネイは、スコットランド行きを決意せざるをえない。なぜなら、女を襲った敵と、殺人の容疑で警察からの双方から追われてしまうから。
ハネイは一見善良そうな紳士に見えるので、警察に事情を話せばいいと思うのですが。逃げたのは、のちに明らかになるように、彼にもやましいことがあったからなんですね。

列車で逃避行をはじめ、ハネイの遁走劇は息も吐かせぬ展開の連続。途中の宿屋のおかみさんに助けられたり、また列車内で身を隠すために女性客を縦にしたりと、ハラハラドキドキの連続。
この逃避行中に出会った人物、そして小道具が、のちに再登場して意外な役どころになったりと、おもしろい。そして、最初と最後がさりげなくつながっている構成の見事さも、さすがというべきか。

列車内で同席した紳士が雑談している下着の話題は、第二次大戦前としては精いっぱいの下ネタだったんでしょうかね。

主演はロバート・ドーナットとマデリーン・キャロル。
宿屋の若おかみを演じたのが、「おかえりなさい、リリアン」の主演ペギー・アシュクロフト。


(〇九年八月十五日)

三十九夜(1935) - goo 映画

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