私ははたして、どんな仕事に向いているのだろう。
40代になってまともな適職診断を受けたのは、兼業会社員としての転職をくりかえし、くりかえし、その果てに職場の人からも、友人兼同僚からもひどく裏切られたからでした。
大学院2回生時に就活した折、リクルート社の適職判断テスト(R-CAP)みたいなものを受けたことがあります。また、士業資格合格後の30代後半、一時期、ビジネススクールが主催するキャリアアップセミナーにも参加して、受講したことがあります。
そのときから、私の職業意識は変わっていたのでしょうか?
私が最初に試してみたのは、就活生の皆さんが使うような、市販の「SPI3性格適性検査」でした。
アドバイスを受けたキャリアコンサルタント氏から、やってみたら、と言われたのがきっかけ。彼もいまだに受けてみるそうです。20代の若かりし頃と、適性は変わることがある。ただし、生まれついたその人の性格それ自体はその人のもの。だから、その良さを伸ばしつつ、会社で就業向けに弱い部分は少しだけ修正するのがいい。その弱みと強みとを洗い出す作業です。
この模擬検査は、「敏感性」「自責性」「気分性」「独自性」「自信性」「高揚性」「社会的内向性」「内省性」「身体活動性」「持続性」「慎重性」「達成意欲」「活動意欲」「従順性」「回避性」「批判性」「自己尊重性」「懐疑嗜好性」の18項目からなります。
そこであきらかになった私の性格特性は
・感受性が強い
・独自性が強く、自分へのこだわりがある
・思慮深く理屈っぽい、疑りぶかい
・反骨精神があり問題意識が高い
・段取り重視で仕切りたがり
これらの改善点としてあげられたのが、
・感情抑制・アンガーマネジメント
・協調性を意識、相手へ歩み寄る姿勢を
・時には相手に素直に答え、自己反省を続けて前進する
・自分の正しさよりも対人関係を優先させる場があることを心得る
実に耳に痛い指摘でした。
なまじ独学でなんでもかんでも乗り切ってきただけに、人様のアドバイスを聞き入れないことが多くありました。諭されても疑って、反論してしまいます。誰かのせいでミスをすれば、自己弁護に走る。マイペースで仕事をしたい。マイペースと言ってもゆっくりゆったりではなく、自分の思うに任せたハイスピードで片付けたい。結果、周囲との調和を乱したあげく、オーバーワークで健康が悪化する。
私のような人間は、ほんらいは、バックオフィス業務である事務職は向いていません。
事務は営業さんやら経営者やらの指示のもとに動く立場で、自分で経営判断を下したり、予算をかちとってきたり、売上に貢献したりもしません。事務の本分は、組織の縁の下の力持ちなのですから。
会社に勤めていたときに、なぜ、自分が常にイライラしていたのかわかってしまいました。
私は他人から──それがどんなにお偉方であっても──指示されるのが大嫌いなのです。私自身が、家ではひとり事業主なわけですから、誰かの下につく、裏に回る、陰で支えるなんて考えられない。
昔、ニッチな業界の企画編集職をしていたときに、営業に依頼されて企画提案書を作成したことがありました。私としては、フォトショやイラレを使いデザイン性豊かにつくりあげたつもりでいる。けれども、評価されるのは、契約を締結してきた営業マンです。書類がキレイだろうが、キャッチコピーがグッとこようが、それは些末な話。売上につながらねば、会社の業績にならないのだから当たり前のことです。自分で努力した成果を奪われたようで、とても腹が立ちました。
けれども、そこで、私が営業職に転身していれば。
自分で企業訪問して、契約を結んでくることを通じて成長を感じられたのかもしれません。実は個人事業では、営業をかけるというほどのことではないけれども、契約作業を行っているし、営業職は法律事項ふくめわりと勉強しないといけない職務なので、経験しておいてもよかったと思うのです。
でも若かりし頃の自分は研究者タイプでコミュニケーション苦手なので、泥くさい、足で稼ぐタイプの営業は向いていないと思い込んでいました。
ただ、私は融通が利かない人間ではあるので、人に振り回される職種はやや難があるとも言えなくもないです。
ただ、チーム戦ではなく、個で挑む仕事についてはもっと研究しておくべきだったのかもしれませんね。専門職を目指すにしても資格を取るのが遅すぎました。
ちなみに、私が中年以降、主に事務職を目指したのは。
学生時代に受けたR-CAPでは、一位が学者やら作家やらで現実味がないなかで。かろうじて上位にあってなれそうなのが事務職だったからです。その診断結果はだいぶ前に捨てたので確かめようがありませんが。当時は、大学院を出たのに、一般職の事務なんてやりたくない、としか思っていませんでした。年をとってから目指せそうなデスクワークがそれしかなかったからです。
職業適性テストが、かならずしも、自分の仕事の向き不向きを教えてくれるものではないことがおわかりいただけましたでしょうか。
この性格検査であきらかになった自分の長所と短所。
これは、どんな業界であっても、履歴書に書く材料にもなります。面接では、自分の長所をうまく生かした経験や、短所をわきまえつつどう克服したか、をアピールすればよいとされています。
私はもともと、協調性がからっきしないことは理解していました。
なので、面接ではあえて人付き合いが良好で、マネジメント経験こそないが、チームワーク重視で仕事を乗り切ったエピソードなどを添えていました。実際は、ひとりでモクモク書類を仕上げるのが得意で、他人がかかわずらうと、うっとおしいと考えるタイプなのに。これでは、転職先で働きにくくなるのは当然でしょう。
私は会社員として就業したいあまり、自分に嘘をついていたのです。
大学院出で読書家だから、気難しく扱いづらいと思われたくはなかったのです。確かに面接では好印象ですぐ採用されますが、二箇月もすれば化けの皮がはがれてしまいます。ひとりの時間を愛する身勝手なハードワーカーの素の自分に戻ってしまうのです。そして、仮初めの自分との乖離に苦しみ、謎の体調不良に襲われてしまう。すべてはそれが原因でした。
(2022/03/08)
★就職氷河期世代が自分の職業適性を考えてみた(まとめ)★
短期間で離職転職をくりかえし、会社員就業に絶望した私が自己分析をして、自分の職業適性を把握できたというお話でした。
40代になってまともな適職診断を受けたのは、兼業会社員としての転職をくりかえし、くりかえし、その果てに職場の人からも、友人兼同僚からもひどく裏切られたからでした。
大学院2回生時に就活した折、リクルート社の適職判断テスト(R-CAP)みたいなものを受けたことがあります。また、士業資格合格後の30代後半、一時期、ビジネススクールが主催するキャリアアップセミナーにも参加して、受講したことがあります。
そのときから、私の職業意識は変わっていたのでしょうか?
私が最初に試してみたのは、就活生の皆さんが使うような、市販の「SPI3性格適性検査」でした。
アドバイスを受けたキャリアコンサルタント氏から、やってみたら、と言われたのがきっかけ。彼もいまだに受けてみるそうです。20代の若かりし頃と、適性は変わることがある。ただし、生まれついたその人の性格それ自体はその人のもの。だから、その良さを伸ばしつつ、会社で就業向けに弱い部分は少しだけ修正するのがいい。その弱みと強みとを洗い出す作業です。
この模擬検査は、「敏感性」「自責性」「気分性」「独自性」「自信性」「高揚性」「社会的内向性」「内省性」「身体活動性」「持続性」「慎重性」「達成意欲」「活動意欲」「従順性」「回避性」「批判性」「自己尊重性」「懐疑嗜好性」の18項目からなります。
そこであきらかになった私の性格特性は
・感受性が強い
・独自性が強く、自分へのこだわりがある
・思慮深く理屈っぽい、疑りぶかい
・反骨精神があり問題意識が高い
・段取り重視で仕切りたがり
これらの改善点としてあげられたのが、
・感情抑制・アンガーマネジメント
・協調性を意識、相手へ歩み寄る姿勢を
・時には相手に素直に答え、自己反省を続けて前進する
・自分の正しさよりも対人関係を優先させる場があることを心得る
実に耳に痛い指摘でした。
なまじ独学でなんでもかんでも乗り切ってきただけに、人様のアドバイスを聞き入れないことが多くありました。諭されても疑って、反論してしまいます。誰かのせいでミスをすれば、自己弁護に走る。マイペースで仕事をしたい。マイペースと言ってもゆっくりゆったりではなく、自分の思うに任せたハイスピードで片付けたい。結果、周囲との調和を乱したあげく、オーバーワークで健康が悪化する。
私のような人間は、ほんらいは、バックオフィス業務である事務職は向いていません。
事務は営業さんやら経営者やらの指示のもとに動く立場で、自分で経営判断を下したり、予算をかちとってきたり、売上に貢献したりもしません。事務の本分は、組織の縁の下の力持ちなのですから。
会社に勤めていたときに、なぜ、自分が常にイライラしていたのかわかってしまいました。
私は他人から──それがどんなにお偉方であっても──指示されるのが大嫌いなのです。私自身が、家ではひとり事業主なわけですから、誰かの下につく、裏に回る、陰で支えるなんて考えられない。
昔、ニッチな業界の企画編集職をしていたときに、営業に依頼されて企画提案書を作成したことがありました。私としては、フォトショやイラレを使いデザイン性豊かにつくりあげたつもりでいる。けれども、評価されるのは、契約を締結してきた営業マンです。書類がキレイだろうが、キャッチコピーがグッとこようが、それは些末な話。売上につながらねば、会社の業績にならないのだから当たり前のことです。自分で努力した成果を奪われたようで、とても腹が立ちました。
けれども、そこで、私が営業職に転身していれば。
自分で企業訪問して、契約を結んでくることを通じて成長を感じられたのかもしれません。実は個人事業では、営業をかけるというほどのことではないけれども、契約作業を行っているし、営業職は法律事項ふくめわりと勉強しないといけない職務なので、経験しておいてもよかったと思うのです。
でも若かりし頃の自分は研究者タイプでコミュニケーション苦手なので、泥くさい、足で稼ぐタイプの営業は向いていないと思い込んでいました。
ただ、私は融通が利かない人間ではあるので、人に振り回される職種はやや難があるとも言えなくもないです。
ただ、チーム戦ではなく、個で挑む仕事についてはもっと研究しておくべきだったのかもしれませんね。専門職を目指すにしても資格を取るのが遅すぎました。
ちなみに、私が中年以降、主に事務職を目指したのは。
学生時代に受けたR-CAPでは、一位が学者やら作家やらで現実味がないなかで。かろうじて上位にあってなれそうなのが事務職だったからです。その診断結果はだいぶ前に捨てたので確かめようがありませんが。当時は、大学院を出たのに、一般職の事務なんてやりたくない、としか思っていませんでした。年をとってから目指せそうなデスクワークがそれしかなかったからです。
職業適性テストが、かならずしも、自分の仕事の向き不向きを教えてくれるものではないことがおわかりいただけましたでしょうか。
この性格検査であきらかになった自分の長所と短所。
これは、どんな業界であっても、履歴書に書く材料にもなります。面接では、自分の長所をうまく生かした経験や、短所をわきまえつつどう克服したか、をアピールすればよいとされています。
私はもともと、協調性がからっきしないことは理解していました。
なので、面接ではあえて人付き合いが良好で、マネジメント経験こそないが、チームワーク重視で仕事を乗り切ったエピソードなどを添えていました。実際は、ひとりでモクモク書類を仕上げるのが得意で、他人がかかわずらうと、うっとおしいと考えるタイプなのに。これでは、転職先で働きにくくなるのは当然でしょう。
私は会社員として就業したいあまり、自分に嘘をついていたのです。
大学院出で読書家だから、気難しく扱いづらいと思われたくはなかったのです。確かに面接では好印象ですぐ採用されますが、二箇月もすれば化けの皮がはがれてしまいます。ひとりの時間を愛する身勝手なハードワーカーの素の自分に戻ってしまうのです。そして、仮初めの自分との乖離に苦しみ、謎の体調不良に襲われてしまう。すべてはそれが原因でした。
(2022/03/08)
★就職氷河期世代が自分の職業適性を考えてみた(まとめ)★
短期間で離職転職をくりかえし、会社員就業に絶望した私が自己分析をして、自分の職業適性を把握できたというお話でした。