拝啓、私の読者様。
ひめちかです。ふたたびのひめちかです。おかえりなさいの神無月の巫女です。
ひ孫の代まで忘れない、感動の百合のレジェンド、開幕です。
拙ブログ恒例の毒づきレビューもはじまります。あくまで私見ですので、心臓を裏側から刺すようなことが書かれてあっても、びっくりしないでくださいね。
明日発売の電撃マオウで姫神の巫女が始まります神無月の巫女を知ってる方もそうでない方もよろしくお願いします。 pic.twitter.com/14472TD117
— 介錯(セブン) (@Kai_Seven_) May 25, 2020
はい、皆さん、「電撃マオウ2020年7月号」ご覧になりましたか?
驚きですね~。いや、いや、びっくりですね。公式、どんだけファンサービスするの。こんだけ、「姫子」と「千歌音」で甘々デートなんて、なんてご褒美なの? うきうきドキドキでリンダ困っちゃう!!
たぶん、アニメだけ知ってて、ウェブノベル読まずにいきなり漫画を読んだひとは思ったかもしれません。百合センサーが高くて、女の子ふたり揃ってりゃなんでも百合変換できる思考回路のひともそうだったかもしれません。そういうことにしておきましょうか。だって、そうのほうが幸せなんだもの。
ウェブノベル「姫神の巫女」の漫画版、その新連載第一回は心憎い演出盛りだくさんです。
だからこそ、古株ファンは心配になります。私が知っている百合といえば、「マリア様がみてる」みたいな、女の子同士の精神的な交流(+多少のスキンシップはあればいい)はここにあるのだろうか。まあ、そこはおいときまして。
都会の喧騒を嫌う黒髪の美少女、皇月千華音(こうづきちかね)。
誰もが振り向く麗しい少女。だが、誰にも無関心で無関係。顔合わせてほほ笑むのは、待ち合わせ場所にいた可憐な女の子・日之宮媛子(ひのみやひめこ)。タピオカ飲んだり、映画館デートしたり、展望台でツーショットしたり、といかにも女子高生なふたりの日常。楽しい時間の帰り道、千華音は不穏な気配に遭遇し──…。
と、ざっくり書けば。
ウェブノベルの第一章のほぼ半分くらいを一話で消化していますね。
「京四郎と永遠の空」「絶対少女聖域アムネシアン」もそうでしたが、この原作者先生は一話のインパクトがなかなか凄いので、最後の最後にとんでもないしかけがあります。すでにSNS上では話題になってましたけどね…。
東京は嫌だけど、好きなあなたのために仕方なくついてきたわ、な感じの千華音ちゃん。
転勤族のリーマン亭主に人生賭けてきた、アンニュイな主婦のぼやきみたいでなんかちょっとおもしろいです(違)。いや、彼女がおのぼりさんになった理由はもっと殺伐としてるんですけどね。次回になったら、明かされる構成にしたんですね。
原案小説では、最初にうすら寒いシーンからはじまっており、植竹ポエムの美文もあいまって、以後、千華音のメランコリックな独り言が続いて酔ってしまうところ。
この漫画版では、くどくどしさがほどほど柔和されているのがポント。漫画だからのネームの見やすさ。
千華音は不感症で、音や刺激が苦手なのは鄙びているというよりもHSPなひと?
殺人者として育てられたせいか、お子様にすら怖がられ。超人的な運動能力をもつのはわかりますが、この千華音ちゃんも絶対ロボットの手からこぼれた媛子をスライディングキャッチできそうですし、無敵で無力にうちひしがれない。無機質な感じは、ムラクモのかおんに似てるのでしょうか? だからこそ、イザというときの脆さが悲しい。
媛子ときたら、都会じみているのか、なかなか積極的です。
神無月の巫女世界の前世の姫子がいたとしたら、またそれとは違った意味で大胆なのでしょう。でも、ひめちかシリーズで、いちばん良心的なのはやはり「アムネシアン」のあの姉妹ですよね。とがった個性がないからこそ、目立たなかったのがやや残念ですが。展望台(うしろに不思議な紋様が浮かんでいるのはなぜ…?)で世界の広さを諭してる媛子は、千華音になにを訴えたかったのでしょうか。アニメのOPで背中合わせで始まったふたりは、終盤、揃って村を見下ろした直後、目を合わせて社の下に──そんな場面にならずに、ポーカーフェイスの千華音はなにか沈んでいるようにも見えます。神無月の姫子は悪意がなくて天然で振り回してるのですが、姫神の媛子はほんまに作為ありまくりで翻弄される千華音ちゃんがなかなか…(笑)。
神無月の巫女のスピンオフ漫画が予告解禁になりました。「姫神の巫女」電撃マオウで次号より連載開始ですよろしくおねがいします。 pic.twitter.com/SBh7UCjzlk
— 介錯(セブン) (@Kai_Seven_) April 26, 2020
ひとつのタピオカを共有しているのに、不自然に手を重ねないふたり。
このふたりの距離感を感じるしかけです。千華音ちゃんは、媛子の「ほんとう」をどこで受け取るのでしょうか。外伝の短編小説「神無月の巫女~月日御伽草子~」(神無月の巫女新装版DVD-BOX附録冊子所収)にあるように、「全部持って生まれてくる」じゃなかった千華音ちゃんと媛子に、やきもきしてしまいますね。姫子と千歌音の転生バージョン(?)はすべて、おなじ想いで生まれてくるという前提がわれわれファンにはあるので、そこをどう突き崩して新しい物語を編むのか、と。
姫神の巫女世界のふたりは、ほんとうになんといいますか、最初の最初はどちらも利己的に見えてしまうので。女の子の表面的な仲良しこよしのうすら寒さを感じます。それは感動できる百合じゃないなァと感じてしまいますが。いまの百合コンテンツは、とにかく可愛い女の子どうしをぺアにすりゃ萌えてくれるというファンのおめでたい脳内変換に頼り切ってる感が私にはあります。他作品ディスりってひどいですね、我ながら。
神無月の巫女、今でも好きでいてくれる方がいて嬉しいです。久しぶりに描いた姫子と千歌音です。 pic.twitter.com/diOpJKGx1V
— 介錯(セブン) (@Kai_Seven_) September 18, 2018
古くから神無月の巫女を知って、ポーズの一つ一つまで脳にしみこんでいるぐらいだと、細かい演出に一巡目はくらくらし、二巡目は胆が冷えます。
指を滑り込ませない微妙な塩かげん対応。タピオカ間接キッスでの驚き顔。涙をぬぐうハンカチとともに、物騒なものを持ち歩いている千華音。千歌音ちゃんならば、つまらない姫子のすすめる漫画ですら、喜んでみるだろうにと。ふたりの生まれがお揃いをそらとぼけて忘れる媛子、釘をさす千華音。お誕生日会の招待状なんて、ドレスで着飾るなんて、夢のまた夢。ひみつの花園でふたり写真をふたりで現像という秘蔵ではなしの、公開ツーショット。
姫子は写真を撮る娘の設定がしっかり踏襲されてますね(^^)スマホだけど…→RT 姫神の巫女
— 柳沢テツヤ (@T__Yanagi) June 3, 2020
「姫子は千歌音を思い出すために記録を残そうとする」といったおなじみの設定。
「京四郎」だと絵のモデルと画家で、曰く言い難い叙情(DVD第三巻附録特典「逢瀬」およびコミックス第二巻参照)がありましたね…。この姫子がカメラっ娘の設定は、神無月の巫女では原作漫画にはなくアニメ版では最終回に重い意味をもつので、思い出した方も多かったはずです。でも、記念にスマホでパシャパシャやる媛子がなんだか軽すぎていやだな…と思わないでもなくて。島の儀式などは秘伝だからこそ、大都会で全世界発信できそうなスマホで仲良しデートを記録してしまうことに危機感を覚えるべきなのに、千華音はひょっとすると写真が保存できる、知り合いとだけやりとりできるだけの機械ぐらいにしか思ってないのかな?
姫神の巫女の漫画が電撃マオウで連載開始!百合好き編集さんの意見等も取り入れつつ進めていますので編集部のほうにも感想等よろしくお願いします。そんな編集さんとの打ち合わせで入ったこの絵も、掲載はカラー片面pだったわけですが実は横広で描いていたりします。 pic.twitter.com/mpqnQE1iWh
— 介錯(セブン) (@Kai_Seven_) May 30, 2020
現代世界なので、最新の文化が身近にあるのはいいのですが。
あまり日常性を出し過ぎると、バブル時代のドラマのポケベルやセルラーフォンみたく、数年経っただけで時代遅れ感が否めない面もあります。ウェブノベル連載時からさらにアップデートしてるのは面白いのですが、スマホが出てくる話はオチが読めそうで…。
姫神の巫女のコンテを描いている時は自然とお二方の声を再生させて書いている気がします。それと今回は1枚にまとめてみましたが、コマを割ったほうがいいのか枚数に分けたほうがいいのか手探りしています。
— 介錯(セブン) (@Kai_Seven_) June 4, 2020
えっ?!
姫神の巫女のコンテ起こしてるときは、柳沢テツヤ×植竹須美男の声で再生してるの?!──と読めてしまった私は、もう一回転生したほうがいいかも(殴)。
*漫画「絶対少女聖域アムネシアン」&ウェブノベル「姫神の巫女」、そのほか関連作レヴュー一覧*
漫画「絶対少女聖域アムネシアン」および、ウェブノベル「姫神の巫女」、そのほかの漫画などに関する記事です。
★★神無月の巫女&京四郎と永遠の空レビュー記事一覧★★
「神無月の巫女」と「京四郎と永遠の空」に関するレビュー記事の入口です。媒体ごとにジャンル分けしています。妄言多し。