陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

神無月の巫女でも光る君への愛

2024-12-15 | 感想・二次創作──神無月の巫女・京四郎と永遠の空・姫神の巫女

日曜日といえばNHK大河ドラマ。
現在めっちゃドはまり中の「光る君へ」は本日12月15日がいよいよ大団円! しかも、今回は拡大版1時間スペシャル!! 気分は盛り上がります! 皆さん、準備はいいですか~?

『源氏物語』の生みの親にして世界最古の物語作者とされる紫式部の半生を、大胆な脚色をまじえてドラマにした話題作。瀟洒な舞台セットと個性的な俳優陣の演技力にくぎ付け。大宰府とか越後の国府とかはCG再現だろうけども、寝殿造のお屋敷はゴージャスな手づくりセットらしい! 100カメでも特集されてましたよね。

最終回直前で、ファン感謝祭が放送されていましたけども。
豪華キャストで司会もノリノリでめちゃくちゃ楽しめました。ヒール役も脇役もみんな魅力的で。こんなにハマれた大河ドラマ、久しぶりで。私の中では「独眼竜正宗」「太平記」「真田丸」以来の大ヒット! 再放送も、NHKの関連番組(土スタとか歴史探偵とか紀行とか、ファンミーティングとか)も、おじゃる丸アニメコラボもすべてもれなくチェックしました。いやあ、面白かった! X(旧ツイッター)で毎回放送後に投下される二次創作絵もすばらしくて、目の保養になりますよ~! NHKさんの本気を感じました!

このドラマ、やたら月をみあげるシーンが多く。
セーラームーンの主演声優だったあの三石琴乃さんも序盤にカメオ出演(道長の実母、早世する)。乙女ちっくで胸キュン、オタクを虜にする演出がふんだんに。そんな月繋がりで、今回、管理人の独断と偏見まじりで神無月の巫女コラボ妄想を。今年は20周年ですから、もはや何でも企画ありありです!

「光る君へ」の主軸となるのは、紫式部となる前のまひろと、摂関藤原家の三男坊道長との幼馴染ラブストーリー! 主演の吉高由里子さんと柄本佑さんは共演が多く息もぴったり。「この世をば我が世とぞ思う望月の」の歌で知られる道長は光源氏のモデルともされ、藤原氏の栄華を極めた歴史上名高い豪胆な人物。ですが、本ドラマでは弓馬の道に通じるも気立てがよく、やや控えめな三枚目。だが、いざととなると色気もある、なかなか可愛い男子っぷり。キザなイケメンすぎる貴公子キャラでもなく、ちょいとふざけたワル男でもない。少々不器用そうだが、一途で、そこがいい。



初恋でいわば筒井筒の仲。お互いにほんのり惹かれあっている。
想いあまって廃屋で…の第十話(…だったはず)は、アニメ神無月の巫女の銀月の夜回みたいにちょっと衝撃的で、お茶の間では見られないシーンが!(艶笑)

なのにロミオとハムレットよろしく、お家の事情で正式には添い遂げられない。危ういロマンスはあるものの(!)、けっきょく伴侶にはなれず。けれども、宮中ではソウルメイトとして互いをささえあっていく。



この関係、いわゆる姫子とソウマくん、そのものですよね。
このふたりはまあ初歩どまりなんですけども。ソウマくんは姫子を千歌音ちゃんのもとへ送り届けるためにロボットの操縦者をひきうけ、背中を押す。恋に敗れはしたが、それでも戦友になったのです、このふたりは。

ところが、物語後半部になると道長は史実通りの権謀術数に長けた政治家に。
身分の差を超えた愛のある社会を夢見た理想主義者のまひろとは、老いらくの恋とはならず、やや距離感が生まれてしまう。それでも周囲のごたごたに巻き込まれ、無常を感じて世をはかなむふたりが持ちつ持たれつで、言わずもがなで励ましあう姿、なかなか微笑ましいですね。ソウマと姫子も、大人になってもふらりと出会って近況を語り合い、互いの健闘と未来を祈るような関係になってほしいな、と。

ちなみにまひろさん、ピアノではありませんが。
なぜか琵琶をお弾きになれます。学者の娘なので、この時代の女性にしてはかなりの教養がおありで、まあこのドラマ、キャリア女性ものっぽさもあるようでいて、実は宮中ではけっこう苦労していたりもします。

なお、この大河ドラマ、NTR属性(+托卵!)まであるのですが、それが源氏物語の藤壺と光源氏の禁断の関係の元ネタになったと。なんという同人っぽさ。まさか現実の紫式部が実人生をネタにしたとも思えませんが、平安時代の男女関係ゆるやかだったので、ありえなくないのかも。倫理的にどうなのか…。宣孝さま、太っ腹だな…。まあ、正妻の女性も妾の子を養育させられるのが当たり前だったりしたからおあいこなんですが。先妻(定子さま)の皇子を育ててらした彰子さまってすごいのだな。


ドラマ上、まひろには少女漫画ばりに他にも第二、第三のロマンスが発生するのですが、前半に出てきた散楽の踊り手の直秀(オリキャラ)はけっこう人気がありましたね。いわゆる道化役というやつか。まひろと道長のキューピッド役になるのですが、悲劇的な最期を遂げるので、視聴者の涙を誘いました。神無月の巫女でいったら、マコちゃん(早乙女真琴)みたいなポジションなのかも。再登場してほしかったですね。国際ロマンス詐欺の男(笑)、あれでいいのか、それで?


紫式部といえば、対になるのが清少納言ことききょう。
春はあけぼのではじまる『枕草子』は教科書に出てくる有名なエッセイ。この名随筆が主君である皇后定子さまをお慰めするために書かれたものだとは。『草子』にも描かれた雅な雪遊びの場面(香炉峰の雪)が実写で美しく再現された回は眼福もの。



清少納言を演じるファーストサマーウイカさん、とんでもなくキャラが濃いめ。
この人、トークが面白くて、頭の回転が速そうですね。吉高さんも、柄本さんも、素顔は気さくな感じでファンサービスがよろしいのだけども、この人が出ると、漫画家イエナガの町田啓太さんとおなじですべて持って行ってしまう、謎の存在感が! 百合漫画の『姫(きみ)のためなら死ねる』にでてくる定子さまマニアの強火担ぶりが発揮されて。後見役の兄・藤原伊周が失脚したせいで邸引きこもりになった主につきっきりで、炎の中でも定子さままっしぐら。ご病気で身まかられたときもそばを離れずにいた少納言。高畑充希さんの定子さまが、そりゃもう、おキレイなのよ。ききょうが見蕩れてしまうぐらいに。



この熱い忠義心っぷりといえば、そう姫宮邸の侍女長こと如月乙羽さんですよね!
彼女は主・姫宮千歌音への憧れと敬意を抱いてはいますが、同時に、おのが主の想いの向く先を信じていて、不安を覚えつつも、姫子に後を託す。姫子に残した手紙の文面を見るに、筆まめな印象を受けます。

もし、姫宮千歌音の人生輝き一代記みたいなものがあったとしたら、執筆者はおそらく乙羽さんなのでしょう。
清少納言みたいに、千歌音ちゃんの高貴で美しく華やかなりし部分だけを残して、後世の汚点になるような事実は削りとったのではないか、と思われます。だからこそ、千歌音ちゃんは姫子の前でしか素顔になれなかった。世間に煙たがられてもひたむきに一条帝への愛を貫きつづけた情熱家の定子さまは、禁断の恋にまどい、それでも血のにじむ決断をくだした千歌音と通ずるものがあり、乙羽さんこそ、清少納言のような理解者だったのでしょう。推し活の鑑のようなお方ですわ!

第一話から衝撃的なラストで閉じるインパクト絶大も、毎回続きが気になって仕方がない構成も、神無月の巫女に並ぶといえます。
とくに最終回直前の残り二、三話でも容赦なくヒロインを追い込む地獄の展開(視聴者のメンタル的に)! 脚本は鬼なのか? 大石静マジック、すさまじき



最後に神無月の巫女っぽいなと感じたワンショットは。
「光る君へ」のOP映像の、いわくありげな、ふたつの手の距離感。アニメ神無月の巫女のOPでも、千歌音ちゃんと姫子の手がつかず離れずといった、じつにエモえもな場面がありますよね。



まひろが抱っこしてとせがんでいるような画面も、アニメ神無月の巫女ED絵で有名な、姫子側からの抱擁おねだりズームアップと似ているので、誰か「光る君へ」コラボで神無月の巫女EDパロディやってください、お願いしますッ!(他力本願)




(2024.12.15)



★★神無月の巫女&京四郎と永遠の空&姫神の巫女ほかレビュー記事一覧★★
「神無月の巫女」と「京四郎と永遠の空」、「姫神の巫女」ほかに関するレビュー記事の入口です。媒体ごとにジャンル分けしています。妄言多し。




【追記】
放映前に記事をアップしたかったのですが、結局間に合いませんでした。
最終回、とてもよかったですね。みんな、幸せそうでよかった! 毎回、再放送まで欠かさず追いかけてよかった! 物語は生きるよすがになる! ありがとうございます! 




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