映画「あなたが寝てる間に…」

どちらかというと絶世の美女とも言えないヒロインが、複数男性に好意を持たれて…なんていうのは少女漫画の定番といえば定番。あらかじめ意中の相手が分かりきっているのに、そこまでハラハラドキドキさせるのも王道。しかし、王道ながらもいい味出してるラブストーリーが、1995年のアメリカ映画「あなたが寝てる間に…」（原題：While You Were Sleeping ）なのです。なんとなくタイトルから、ラブサスペンスの気配を嗅ぎ取ってしまう（爆）のですが、れっきとしたハートフルなラブコメディ。クリスマスの夜にぜひともおすすめしたい一作。シカゴを舞台にしたトレンディドラマのようなラブロマンス。

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両親を亡くし、アパートには猫しかいないという孤独な生活まっただなかのルーシーにも、ひそかに憧れの男性がいた。駅の改札口での職務で見かけるエリートの青年に思い馳せつつも告白できない日々。ところが、ある日、その青年ピーターが不良に絡まれてホームに落下。慌てて駆けつけたルーシーは、身を挺して彼のいのちを間一髪で救う。病院に昏睡状態のまま運ばれた青年に付き添ったルーシーは、ひょんなことから、青年の家族たちにフィアンセだと誤解されてしまい…。

格別好きでもないのに事情があって恋人の振りをしているうちに本気になったとか、相手の素性を知らないのに一面的な部分だけに惹かれてしまったとか、勘違い、すれ違いではじまるのは、いかにもラブコメディの常套手段。しかし、本作がおもしろいのは、ルーシーがピーターのエリート弁護士というスペックにではなく、彼をとりまくあたたかい家族関係に癒されていくというステップを踏んでしまうところにありますね。

ルーシーの誠実な人柄に惹かれたピーターの一家は、当の本人が眠っているあいだで確証もないというのに、すっかり彼女を新妻あつかい。上を下へのおもてなしを受けてルーシーもまんざらではない。ピーターの弟ジャックだけはルーシーがほんとうの婚約者であるか疑いをかけるものの、父の経営する家具会社から独立する夢などを打ち明けあううちに、ルーシーと親しくなり、しだいに恋心を寄せるようになります。

ついにピーターの意識が回復するも、周囲のお膳立てがすでに成立しているムードでは、ピーターもなぜかルーシーと結ばれる運命を受け入れてしまう。困ったのはジャックにこころ揺れてしまうルーシーのほう。さらには、ピーターのほんらいの婚約者までも現れてひと騒動に。

日本でじっさいにこんなことがあったとすれば、結婚詐欺だのなんだのと裁判沙汰にまでなりかねない事例だとは思いますが。エリート兄貴の噛ませ犬っぷりに笑いたくはなりますが、結婚というものが互いの家族とのお付き合い，お互いの人間関係の縁を結ぶことだということを知らしめてくれる、なかなか良識的なお話ですよね。ルーシーに横恋慕するアパートの大家のドラ息子も道化役ながら、なかなかいい味出しています。

主演は「スピード」「デンジャラス・ビューティー」のサンドラ・ブロック、お相手役は「めぐり逢えたら」のビル・プルマン。
監督は「ナショナル・トレジャー」のジョン・タートルトーブ。

（2012年11月12日）

あなたが寝てる間に… - goo 映画