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演出の技術:説明力

絶対に必要な力ですし、教えるのにプラスなのは当たり前ですよね。
最近よく使う説明は「共通テストにセンター試験が変わり、何が変わったのか?」という質問で、「思考力・判断力・表現力」をみるように変わった、という話をするのですが、そのどれも演劇に必要です。今後それぞれお話していくかと思いますが、まずは表現力について。
 この表現力は、説明する力の根幹です。これは「言い換える力」と言ってもいい。同じことでもどのように言い分けるか。相手の背景を考えて、一番ピンとくることを言う。これが重要だと思っています。

特に、説明、例証、適用という順番にして、分かりやすく伝えることを目指しています。
そのために、連想しりとりを使ったり、雑談があったりします。
そういう時にこの人はこう言う映画を見ているな、と思ったら、そのシーンの説明をしたり、こう言うスポーツをしていた、と分かればその例えを用います。

 例えば、あるシーンで「俯く」必要があったとして、①「落ち込んで」セリフを言ってください。②「背中をくの字に曲げて」セリフを言ってください。③「くの字に曲げて、右足のつま先を見つめて、靴紐に話しかけ」セリフを言ってください。という3つの指示があったとしてどれがいいでしょうか?
 私は稽古の段階にもよりますが、③の指示を出せる演出家でいたいと考えています。でも現場では多分、②が多いのかな、と思います。聞かれて③を答えることが多い気がします。①は読み合わせの段階ではそれでいいのかな、と思います。
 ③の時、自分の靴紐がほどけていて情けなくて笑ってしまっても、靴紐が亡き妻がわざわざ探し出してきてつけてくれたものである事を思い出して泣く、など俳優が取る演技の選択肢にはいろんな可能性があると思います。
「俯く」というト書きでこういうの多分いくらでも思いつけます。

 ある関西のとっても先輩の俳優さんがテレビで「窓の方に行ってセリフを言ってくれ」と言われて「その動機はなんですか?」と悩みだす俳優がいて勘弁してくれと思う、と言っていました。多分画面的な問題なんでしょうね、その指示自体は。言われたらとりあえずそうしたらいいんじゃないか、その理由は自分で考えたらいいんじゃないか、って言ってました。
 これ、私なら窓の外にトンビみたいな大きな鳥が飛んでいて小さい頃に読んだ「ニールスの不思議な旅に出てくる鳥みたいだなーって思ったんです」って説明します、聞かれたら。
 シニア劇団だったら「ここまでちょっと暗いシーンが続いていたんで明るくなる必要があって、さらにこのセリフはいろいろ大変な経験を歳を積むにつれてしてきた主人公が童心に帰るところなんです」とか言います。多分上の例の③まで言う感じですね。

こんな風に演出家は(私だけかもしれませんが)説明力=表現力を使っていきます。
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